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バトル・ロワイアル〜タッグマッチ篇〜

40 ◆L0v/w0wWP.:2008/12/21(日) 00:12:09 ID:???
「ボ、ボス…竜平は―」「聞いてくれるかな?」

充の言葉を遮って桐山が相変わらずの抑揚の無い調子で
だが、どこか威圧感のある、それでいてどこか悲しげに
語り始めた。充はその場で硬直し額から吹き出した
脂汗か頬をつたって、開きっぱなしの学ランの下に
着込んだ無地のシャツの襟元に落ちた。

「俺はどっちでもいいと思っていたんだ。」
「ど、どっちでもいいって…?」

充には桐山が何を言っているのかわからず、目をしばたたかせた。
だが、桐山はふいに月が煌々と輝く空を見上げ、また目線を
充に戻して続けた。

「俺はときどきなにが正しいのかわからなくなるよ。」
「―ボ、ボス!?」
「今回もそうだ。俺は北野と一緒にここまできた。」

ますます何を言っているのかわからなかった。
だが―だが、充の心に先ほどから芽生えていた
違和感は桐山が口を開くたびにその大きさを増幅させていく。

「俺は、聞いたんだ。北野にこれからどうしたいのか。けれども
 北野もこれからどうしたらいいのかわからないと答えた。」

充はちらと北野雪子の方に顔を向けた。雪子の表情が先ほどとは違い
ひどく申し訳なさそうなものに変わっていた。充は自分がそんなに
頭の良い人間では無いと自覚していたが―彼女の表情を見て最悪の
予想が頭をよぎった―まさか、まさか―――いや、そんなはずはない!
そんな馬鹿な事はあってはならないはずなんだ!

「そこで、俺はコインを投げたんだ。表が出たら政府の連中と戦う。裏が出たら―」

突然、言い終わらないうちに桐山が後ろに飛びのき、とパンッという乾いた音ともに
彼が先ほどまで立っていたあたりの少し前を何かが高速で通過していった。
充が音をした方向を見ると。多少髪を乱し、見覚えのある半自動式拳銃を握った
野田聡美が自分が登った岩肌から、肩から上をのぞかせていた。

「の、野田…」
「沼井くんっ!!!」

聡美の悲鳴ハッと、今までの方向に目線を戻し、そして―――絶句した。

「ボ、ボス…そ、それ…なんすか。」
北野雪子を庇う様に構える桐山和雄の手にはすでに刃を起こした
刃渡り10センチほどの銀色の折りたたみナイフが握られていた。

「いいそびれてしまったな。コインの目は裏だったよ。だから――俺はこのゲームに乗ることにした。」

【残り 36人】


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