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バトル・ロワイアル〜タッグマッチ篇〜

142 ◆L0v/w0wWP.:2010/07/29(木) 22:58:20 ID:???
青笹や柴が生い茂る茂みを南佳織(女子20番)は、葉で足が傷つくのも忘れ
焦燥感とともに早足で駆けていた。教室で目を覚ましてからの数々の出来事は
佳織の精神をこれでもかと言うほどすり減らしていった。

(恵…瑞穂…!どうして…どうして私だけがこんな目に会うの!)

彼女の考えはただの責任転嫁でも現実逃避でもなく、確かに佳織は
ただせさえ不運極まるこのクラスの中でもさらに不運だった。
まずこの新ルールに基づいて組まされた相手である。彼女と同じ出席番号の
元渕恭一は男子クラス委員長と言う立場であるにもかかわらずルール説明前から取り乱し、
しかも見当違いで自分本位な発言をして坂持に窘められるなどして、
クラスメイトほぼ全員の失望を買っていた
(もっとも彼が最初から、どの程度期待されていたかは怪しいが)。

普段の恭一は女子の委員長である内海幸枝(女子2番)ほど人望も無く、
仕事よりも自分の勉強を優先するような生徒だったので、佳織も最初から
さほど期待はしていなかったのだが、それでもクラス会等ではそれなりに
リーダーシップを取っていたので、この醜態は悪い意味で驚かされた。
教室を出発した跡も恭一は虚ろな目つきでぶつぶつとうわ言のように
なにか呟いておりどう見てもまともな精神状態ではなかった。

他の生徒以上に不安を抱いて分校の玄関を出た佳織の前にさらに衝撃的なものが飛び込んできた。

「瑞穂ッ!」

特徴的な切りそろえられた前髪で、暗がりでもすぐにそれとわかった。
江藤恵と並ぶ彼女の数少ない親友、稲田瑞穂が分校の前で仰向けに横たわって死んでいた。
瑞穂とは小学校時代から親しかったが、小学校高学年くらいから、
時々わけのわからない事を口走って、他のクラスメイトから敬遠されるようになり、
佳織も時々ついていけない時があったが、それでも大事な友人である事には変わりなかった。

あまりの事態に佳織が茫然自失としていると、すぐ後ろにやって来ていた恭一が、
なにやら叫びながら、一人で駆け出してしまったではないか。あまりの事に
佳織はあっけに取られてしまい、追いかけようとした頃には恭一の姿は
夜の闇の中に消えてしまっていたのだった。


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