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新人賞スレッド@避難所

431反重力ダサい。時代は鍋:2005/11/16(水) 20:02:20
 ナベ=カタ使いが人気のない公園まで逃れえたのは、いくつかの僥倖の積み重ね……
 では無かった。
「お疲れ様」
噴水近くまで走ってきたナベ=カタ使いが立ちどまる。ライトアップされた夜の噴水。
きらきらと輝くそれを背にして、見覚えのある追跡者が咥えタバコのリラックスした態度で待っていた。
誘導された、と思うまもなく、公園の各所から銃や剣で武装した他の追跡者が姿をあらわした。
 ナベ=カタ使いは無言で空中から北京鍋と中華鍋を取り出した。
鍋……それも中華系の鍋に特化したアポーツ(物質引き寄せ)能力。
それこそがナベ=カタ使いの能力の全てであり、限界だった。
 敵は五人。銃使いが二人に剣使いが一人。拳闘スタイルを取った女を傍らに置き、
最初のタバコ女は笑みを浮かべたまま動こうとはしなかった。
 ナベ=カタ使いが先に動く。右手の北京鍋を剣使いの首筋へと叩き込む。
剣使いは水平に振り上げた剣の切っ先を下げて、北京鍋の一撃を綺麗に流す。
蛇のようにうねった剣が北京鍋をかいくぐりナベ=カタ使いの腹を目指すのを、左手の中華鍋が迎えうつ。
 火花を散らして離れたところへ、拳銃使いが襲い掛かる。
黒の皮手袋が持つ二丁のガバメントから、必殺の一撃が次々とナベ=カタ使いへと放たれる。
 ナベ=カタ使いは中華鍋の連続召喚でそれに応えた。視界を塞ぐ黒い鍋、鍋、鍋。
と、鍋の影を地を這うように進んできたナベ=カタ使いが、拳銃使いの足を払った。
 避けようとバックステップをする拳銃使いの足元に違和感。
そこには既に多数の中華鍋が召喚されており、拳銃使いは為すすべも無く倒れた。
「一人」
ナベ=カタ使いが今夜はじめて声を漏らした。拳銃使いは、自分の頭が北京鍋と中華鍋によって挟まれている……まるで巨大な二枚貝に挟まれたように……ことに気が付いた。
上を向いた鍋と伏せた鍋。それにつつまれた自分の頭。鍋のふちが首にあたる。
 拳銃使いが悲鳴をあげるよりも早く、中高く跳んだナベ=カタ使いが両足でその鍋を踏み抜いた。
 拳銃使いの頭が北京鍋の中に転がった。




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