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他人が書いた小説の一部を批評するスレ

1イラストで騙す予定の名無しさん:2004/02/20(金) 16:17
 書いてみたはいいけど、この表現どうなの?会話シーンに自信ないんだけど、ちょっと見てもらいたい・・・。
 そんな悩みを抱えるあなたは、このスレに、書いた作品の一部を載せてみましょう。
 ついでに、執筆上の悩みもガンガンぶちまけましょう。
 
 投稿する際には、あまりに長いのは避けてください。また、このスレはオリジナル限定とします。
 その他は、ライトノベルであれば、ジャンルその他は問いません。

714711:2005/02/07(月) 01:35:33
・炸裂したのは中性子爆弾です(敵対国によるテロ)。
・ミーア(姫さん)は助かりますが、母親と王太子が死にます。
・ミーアは主人公です。

715イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/07(月) 21:14:12
>>714
冒頭2行目で読む気が失せたが頑張ってみた。


ネーミングでまた失せた('A`)
ところで、オープンカーってのは主人公が乗ってんだよな?
仮にも一翼ならそんな無防備な物に乗らないぞ。
後、中性子爆弾は遺伝子破壊を主に置いちゃいない。主人公微妙な軍事知識だな。
アレは生物殺傷のための水素爆弾だ。
んで全部読むとなんとなーく展開予想できてしまうな…いや、コレは伏線として取っておこう

716無名人:2005/02/07(月) 23:08:11
久しぶりのカキコになります。いつかのゾンビ映画オタクでございます。
ディズニーランド上空を通り過ぎるヘリ部隊を見上げるゾンビの群れから
先をUP致しますので、批評の方、よろしくお願いいたします。

参考スレ
>>244

 交差する二つの剣の上に日章旗と星条旗が描かれた濃緑色の猛禽たち。
 AH−64アパッチ攻撃ヘリ五機と、UH−60ブラックホークヘリ六機の
計十一機は、新木場を右に臨みながら、有明方面へ向かっていた。
 ブラックホークのドアは総て開け放たれ、機内には迷彩服を着込み、自衛隊
と米軍双方の武器を装備した兵士達でひしめいているのがはっきりと見えた。
 三〜四人を除いて、あと全員十代後半の少年・少女達で占められている。
 彼ら初年兵達は、同じグループ同士で固まって話をしたり、武器のチェック
を念入りに行ったりしていた。

 十八歳になったばかりの山本宏樹は、武器のチェックも仲間同士の話の環にも
加わらず、一人壁にもたれて機外を食い入るように見つめていた。
眼下に流れる荒廃した街、路上に次々と現れるおびただしい数のゾンビを凝視
する目には殺気が満ち、M−16ライフルを抱える手は力が入りすぎて震えて
いた。
「大丈夫か?」
 宏樹の真正面で同じ様に座って乾パンを食べていた三十代半ばの男、酒巻直哉
が轟音の中、大声で話し掛けてきた。
「え!? は、はいっ!!」
「怖いのか?」
「いいえ! そうじゃないんです。 ただ…」
 宏樹はそこまで言いかけると、苦痛に耐えるかのように顔をゆがめた。
 その様子に直哉も先を促さなかった。
「ただ…。やつらが憎いだけです」
 暫くして、宏樹はそれだけを吐き出すように言った。
「そうか…」
 直哉の呟きはヘリの轟音にかき消され、宏樹の耳には届かなかった。
「やつらへの復讐を望むなら、まずは生き延びる事を考えろ。俺たちの後ろに
ついて、やる事為す事を一つひとつ見て憶えていけ、いいな」
 そう言って直哉は、乾パンの缶を宏樹の方に差し出す。
「分かりました、有難うございます」
 宏樹は礼を言って手を出すと、直哉は乾パンを手のひら一杯に出したので、
落とすまいと慌てて両手で受け止めた。
二個ほどを口に入れて頬張っていると、軍曹の階級章を付けた五十前の白人
の男、宏樹の小隊長であるジェームズ・アルドリッチの低い声がヘリの轟音
を圧して響く。
「目標まであと十分だ!」
その声に、宏樹は慌てて残りの乾パンを服のポケットに押し込んだ。

717無名人:2005/02/07(月) 23:09:29
東京ビッグサイトの西隣に位置する港湾地区、有明四丁目。
錆び付いたコンテナや大型トラックが路肩を埋め尽くす目抜き通りに、
無数のゾンビが溢れていた。
路上をうろつくゾンビは場所柄を反映して、ヘルメットを被った作業員や
トラックの運転手だった者が殆どだった。
東京フェリーターミナルのビルの上から五機のアパッチが現れて、
一斉にロケット弾をゾンビが群がる目抜き通り目掛けて発射する。
ロケット弾は次々と路上で炸裂、炎が総てを呑み込み、爆風と破片がゾンビ
たちを薙ぎ倒していく。
ロケット弾から逃れたゾンビたち目掛けて、今度は機首に取り付けられた
機関砲が火を噴く。
雨あられと降り注ぐ機関砲弾に、頭が破裂して脳漿を撒き散らし、どてっ腹に
穴を開けられて臓物を路上にこぼしながら、次々とゾンビが倒れていく。
アパッチはターミナルビルから有明埠頭橋へかけて目抜き通りを掃射し、
再び反転して同じ攻撃を繰り返した。

アパッチが持てる弾薬総てを使い切った時、路上には燃え上がる車やトラック
の残骸と、焼け焦げ、ミンチにされた多数のゾンビで埋め尽くされていた。
未だ致命傷を受けずに動いているゾンビも見えるが、先程とは比べ物にならない
ほど減少しており、もはや脅威ではなかった。

今度はブラックホークが有明埠頭橋上空でホバーリングする。
都内からやってくるゾンビの群れを、そのうちの一機が備え付けの重機関銃で
釘付けにしていた。
「ロープを降ろせ!」
 軍曹の命令に、宏樹と直哉はナイロンロープの束を機外へ放り投げた。
「よーし、行け、行け!」
 号令と共に、直哉と火炎放射器を持った四十初頭の自衛隊員が、煙と巻き
上がる埃で霞む地上へ降下した。
彼らの様子は、機内からは分からなかったが、銃火と立ち昇る炎は見えた。
「よーし、小僧ども、お前達の番だ! 行け行け!」
 軍曹の声に、宏樹は真っ先にロープを掴み、地上へとその身を躍らせた。
 
 ブーツが地面に着くのを感じると同時に、宏樹はライフルを構えて走り出した。
 自分に課せられた任務を心の中で確認しながら走っていると、突然左足首を
何かに掴まれて、うつ伏せに倒れた。
「な・何だぁ!?」
 見ると、焼け焦げた下半身のないゾンビが、足に食いつこうとしていた。
「こ・このやろっ!!」
 宏樹は左足でゾンビを蹴りつけ、引き剥がそうとするが、相手は唸り声を
あげながら手を離さない。
 悪戦苦闘している宏樹のところへ、兵士が一人駆けつけて、ゾンビの横腹
を思いっきり蹴りつけた。
 横からの思わぬ一撃に体が一回転し、その拍子にゾンビは手を離す。
仰向けに転がったゾンビを兵士は足で押さえつけると、ライフルの台尻でゾンビの
頭を殴り始めた。
殴り続けるうちに頭の皮が剥がれ、頭蓋骨が露出する。台尻が骨を突き破って脳を
潰すと、ゾンビはようやく動きを止めた。
「宏樹、大丈夫か?」
 兵士がそう言って宏樹の方へ顔を向け、手を差し出す。
 同年代の、柔道部員のようながっしりした体格と、いかつい顔立ちの少年。
同じ部隊の親友、豊田隆であった。
「あ・ああ。隆、有難う」
 差し出した手を宏樹が掴むと、隆は一気に引っ張り上げて立ち上がらせた。

718無名人:2005/02/07(月) 23:10:16
「一、ニ、三!」
 号令と共に乗用車やワゴン車がひっくり返され、即席のバリケードが築かれる。
そのすぐ後ろでは、眼鏡をかけた小柄な少女が、楽しそうに路面に開けられた
穴の中へ爆薬をセットしている。
 その傍らへ爆薬を抱えて、隆と宏樹が駆け込んできた。
「源田、持ってきたぞ」
 源田由紀子と言う名前の少女は、宏樹が差し出した爆薬を受け取ってうなずく
「おれ、もうダメ…」
 隆は息も絶え絶えにへたり込んだ。
「豊田君、あと一つでセット完了だから頑張って」
 由紀子は微笑みながらそう言うと、電気コードを巻いたリールを持って軽快
に駆け出した。
「体は強い方じゃないのに、こういう時だけは元気だよな」
 隆はへたり込んだまま呟く。
「大丈夫か?」
 宏樹はそれに答えず、呼吸を整えながら言った。
「ああ、ちょっと休めば大丈夫だ」
 
「ねえ、誰かこっち手伝ってよ!」
 突然上から降ってきた声に宏樹と隆が見上げると、色白で日本人形のように
端正な顔立ちをした少女が、バリケードの上から二人の方を見詰めていた。
「俺はこっちを手伝うから、まだ休んでていいぞ」
 宏樹がそう言うと、隆は弾みをつけて立ち上がった。
「そういう訳にもいかないだろ、俺は源田を手伝うよ」
 隆が爆薬を拾い上げて由紀子のところへ駆け出すのを見送ると、宏樹は古賀
と呼ばれた少女のほうを振り向いた。
「で、俺は何をしたらいいんだ?」
 古賀美里は宏樹を手招きして、傍らの重機関銃を指す。
「コレ据え付けるのを手伝って」

 可動式の銃座に、二人掛りで重機を設置し、美里が固定するのを宏樹は銃
を支えて助ける。
 美里が作業をしている間、宏樹は外の世界に視線を向けた。
 外装がボロボロに剥げた東京ビッグサイト。
 焼け焦げ、地上に落下して横倒しになったゆりかもめの車両。
 腐食が進み、今に倒壊しそうなレジャーランドの観覧車。
 乗り捨てられた乗用車の列を縫い、こちらを目指してヨタヨタ歩いてくる
無数のゾンビたち。
 眼前の光景に、宏樹の目つきが自然に険しくなっていく。
 怖い表情で外を見詰める宏樹の肩を、美里は軽く揺さぶった。
 次の瞬間、宏樹は腰のホルスターから拳銃を引き抜き、美里の眉間に銃口
を突きつけた。
 ヒッと短い悲鳴をあげ、息を呑む美里。
 宏樹はその悲鳴で我に返り、慌てて銃を仕舞う。
「ご・ごめん…」 
 美里は固まったまま動かない、気まずい空気が二人の間に流れた。
「俺、他の所を手伝うから。休んでてくれ」
 宏樹はそう言って、逃げるようにバリケードから飛び降りて駆け出した。
「あっ、待って!」
 美里の声は、遠ざかる宏樹の耳には届かなかった。

719無名人:2005/02/07(月) 23:11:58
以上になります。
できるだけロメロ作品的な雰囲気を意識したつもりで書きました。

720イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/08(火) 00:43:03
>>711
SFということですから、普段から翻訳物をよく読まれるのでしょうか。
翻訳物によくある文体に見えました。
代名詞を主語にするとか、ものを主語にした受動態なんていうのは、日本語としてはまず見かけないものですよね。
一番最初からそう来られると、ちょっとつらいものが…。
あと、視点がぶれまくってます。
視点がぶれると読んでいて疲れますので、視点は統一していただけるといいかと。

>>716
ミリタリーはよくわからないので、用語は読み飛ばしました。
All You Need Is Killを少し前に読んだせいか、初陣にしては、ずいぶん落ち着いている印象を受けました。
戦場臭さがないっていうか、硝煙のにおいがしないっていうか…。
もうちょっと切迫した戦闘シーンだと、用語がわからなくても楽しめると思うのですが。
そこが残念でした。
書きたいこととか雰囲気は伝わってくるので、もうちょっと軍事用語がわからなくても楽しめるお話だといいなあ(希望)。

721711:2005/02/08(火) 01:00:45
>>715
サンクス。
やはり最初の数行は余分ですな。消す。
オープンカーなんたらと「未来技術による」中性子爆弾は
ここで説明されていない細かい事情が後発で出ます。
展開というかどんな物語(ずばり復讐)かは冒頭で予感させないと
ダメと言われてきたのですが、かえっていけないのかな……
冒頭の「被爆」は最後のどんでん返しにおける伏線となる予定です。


>>716-718
私の好みのせいかもしれませんが、
ゾンビの雰囲気を出したいのか、人間を書きたいのか、
両方とも狙って、印象に残る描写がないように思えます。
冒頭であれば、ひとつのことに集中してみるのが手かな、と。
つまり主要人物紹介に集中するか、あるいはどういう状況かの
描写と、主人公(+せいぜい1人)のみの紹介に努めるか。

722711:2005/02/08(火) 01:02:46
>>720 上
最近、ちょっとそっち系を読書しすぎてました。
日本語の勘を取り戻すべく勉強しなおしてきます。

723711:2005/02/12(土) 21:19:10
>>715
名前で読む気が〜〜が気になっていたのですが、
今日はじめて知りました。ガンダムデスティニーは
見たことないので名前は偶然です。ってツウヨウシネエナ。

724イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/15(火) 04:24:27
 今まで創作活動には縁がなかったんだげっちょ、思う所あって書き始めてみた話の冒頭です。
 批評は勿論、文法の誤り・勘違いとかも指摘してください。

===========================================================================

 バリ、という乾いた音が、深夜のコンビニに響いた。
 紙を裂いたような音と感触に、山崎直人(ヤマザキナオト)は慌てて手元の
雑誌を見やる。
 ページをめくる際に力が入りすぎたのか、グラビアページが真ん中から縦に
破れてしまっていた。大股開きで笑顔を浮かべるアイドルの豊満な体が、ちょ
うど股ぐらから二つに裂けてしまっているその姿は、いささかシュールである。
その光景に直人は、こみ上げてくる笑いを抑えきれず、ついには吹きだしてし
まった。
「あ」
 呟き、慌ててレジへと視線を滑らせる。幸いなことに――というか都合のよい
ことに、店員の姿はない。次いで店内を見回したが、店員はおろか自分以外の客
の姿も見えない。深夜とはいえ、なんとも寂しい光景である。
 少なくとも、今の行為を見咎められはしていないようだ。直人はホッと表情
を緩め、そして無残なアイドルの肢体へと視線を落とした。
 これをどうするべきか。否、どうにもするべきではない。
 逃げよう。
 まずは静かに雑誌を閉じ、そ知らぬ顔でマガジンラックへと戻そう。そして、
店内のどこかに居るであろう店員に気取られることなく、可及的速やかにこの
店を出るのだ。それだけで良い。
 店と、やがてあの雑誌を購入する気の毒な客には済まなく思うが、かといっ
て顔も知らぬ者のために、ろくに興味もない――時間潰しのために読んでいた
雑誌に身銭を切るつもりは一切ない。悪いのはたやすく破れる紙質であり、粗
末な媒体を商品に利用する出版社、そしてそんな商品を閲覧可能な状態に陳列
する店舗だ。むしろ自分は粗雑な管理体制の犠牲者である。
 判決、無罪。帰ってよし。
 完璧な自己弁護の組成に満足した直人は、今しがた考察したプランを最速最
短で実行せんと、雑誌を閉じ、顔を上げて――耳元に囁かれた言葉に硬直した。
「困るんですよねぇ、お客さん」
 冷ややかな声音に、その表情に焦りの色が浮かぶ。皮膚が泡立つ感触。いつの
間に店員が? 疑問を抱く間もなく、直人は弾かれたように振り向いた。
 そして彼の意識は断たれた。
 首と一緒に。

725724:2005/02/15(火) 04:25:01

「……なんつって」
 床に突っ伏した死体を背にひとりごちると、男はレジへと向かって歩き出した。
 べっとりと血に濡れた銀髪をかきあげ、片手の『戦利品』を見やる。驚愕と焦
燥に彩られたその『表情』に、男は満足げに顔を綻ばせる。
「今日はいい日だ。いやマジで」
 男は『戦利品』を目の高さまで掲げ、その双眸を見つめながら微笑んだ。
「これなら6000、いや7000は堅いかぁ? ウッハウハだわなぁ、『死に損ない』殺しは」
 『戦利品』の額を小突きながら、愉快そうに笑い続ける。
 レジにたどり着いた男は、カウンターを乗り越えると、足元に転がる店員の死
体を踏みながら、もう一つの『戦利品』を拾い上げた。
 二つの『戦利品』を掲げた男は、まるでほお擦りでもするかのように顔を近づ
け、むせかえるような血の臭いを胸いっぱいに吸い込んで嘆息した。
「みんなお前らのおかげだよ。ん〜? 聞ッいッてッまッすッかッ、マクフラ
イ?」
 『戦利品』同士の額をクラッカーのように小刻みに叩き合わせてリズムをとり、
男はとても愉快そうに嘲笑う。ひとしきり笑い終えると、男は二つの『戦利品』
を脇に抱え、床に転がる二つの首なし死体をそれぞれ見やり、にんまりと笑った。
「毎度あり」
 生首を抱えた男は、弾む声でそう言って、コンビニを後にした。

726猫丸:2005/02/16(水) 08:44:54
 ここに書き込むのも久しぶりです。ここんとこ受験だったもので。でも
一昨日とある法学部に合格したので、これからは小説も書きまくりたいと思います。

727イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/17(木) 09:07:26
>>724
首切り直後辺りの描写がちょい足りない風味。

出来るだけ簡潔に日常から非日常へ転換させたいのはわかるけど、
情景の情報が足りなくて、首を切られたってのが実感しにくく、いまいち転換に驚けない。

他はわりかし良い感じだと思う。
きどった言葉多いのも、全体に通せばくせのうちだとは思うし

728724:2005/02/20(日) 06:30:47
>>727
はい、そうです。いきなりポンッと転換させたかったんです。
ですが、読み返したら確かにブツ切りというか、情報不足ですね。
最大限情景が伝えられるようにリライトしてみます。

>きどった言葉多いのも
書いてて、自分の読書の中から好きな言い回しを拾って、それを
余り消化せずに切り貼り継ぎ接ぎで書き出してる感がありました。
我ながら感心できる傾向じゃないんで出来れば矯正したいんです
が、クセなのかな……

ありがとうございました。

729イラストで騙す予定の名無しさん:2005/02/23(水) 09:34:57
>>724-725
全体の批評よりも細かい部分を突っつくほうが簡単、というか
おれの文章力じゃ批評なんて無理、ということで細かいところを指摘してみる。

>いささかシュールである。
>深夜とはいえ、なんとも寂しい光景である。
こういうテンプレートで中身のない文はむしろない方がいいのでは。
もし書くならもうちょっと実感がもてるような表現がいいなあ。

 >これをどうするべきか。否、どうにもするべきではない。
 >逃げよう。
いや、どうにかしてるよ。逃げてるよ。逃げてる時点でもう「どうにか」しちゃってるよ。

>冷ややかな声音に、その表情に焦りの色が浮かぶ。
省略した部分を埋めると
(店員の)冷ややかな声音に、(山崎直人の)表情に焦りの色が浮かぶ。
となるわけで。
前半と後半で動作の主体が違うのに、それを省略しちゃってるもんだから状況がかなり取りにくい。
「その表情」=「山崎直人の表情」ってのは前後の文脈から推理しないと分からないし。
文法的にもちょっと危ないかも(俺も大して文法知らないけどね)

前半よりも後半の方がよく書けてると思う。
後半はノッて書いてたのだと予想。

730イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/06(日) 22:15:30
今書いている長編の書き出しです。
全く話の中身に触れていない書き出しなのですが、文章作法の突っ込み等をいただければと思って書き込みました。
宜しく御願いします。
-----------
 祭と云う物に興味はない。いつもの通り道である境内が人間で溢れ、草木の隙間を縫って歩かねば為らぬのだ、寧ろ、煩わしい。数が寄ると小さき物に気を配りもせぬ。
 茂みを抜け、静かな本殿の裏手へ。先客が居た。社の張り出した板の上に、人間が二つ。片方が腰をかけ、片方がその膝に頭を載せて居る。腰をかけた人間は知っている。
チリリと私の首の鈴が鳴ると、腰をかけた人間が、
「おいで」
 手招きをする。私はニャアと鳴く。立てかけてあったリアカーに飛び乗り、板を伝ってかの人間の元へ。躊躇無く膝の上に乗り、手を丸めて落ち着く。乗っている人間の頭が少々邪魔である。大きな手が私でなく、その頭を撫でているのも気に食わぬ。
 もう一度、ニャアと細く鳴く。彼の手は私には来ない。直ぐ横にある顔を見た。人間の女と云う者。目蓋は閉じている。
 挨拶代わりに鼻先を舐めてやった。
 冷たい。
-----------
いくらなんでも短すぎ?('A`)

731イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/09(水) 16:14:38
感じたことをいくつか。

うお、旧仮名かと思ったら違った。
なんか既視感がある。
漢字を多用しているので、この猫にはそれくらいの学はある→なのに
人間を「ふたつ」と勘定するという点。
ひざに頭を乗せているのは男のほうだと、読み進める前から勝手に
決め付けていた→誤読はおれだけか、それともミスリードを誘うつくり
なのか。
ということはこの猫は雌か? 嫉妬しとるのか? 人間の女とこの男を取り
合うのか、とかいらん想像をさせる余地があるのはいいことだと思う。

732イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/13(日) 21:31:11
通りすがりの者です。

誰かが膝枕してる膝に猫も乗る? 不自然のような。
もしかして膝枕がミスリードなら、なおさら中途半端な不自然さ。

細かい文章作法としては、
>チリリと私の首の鈴が鳴ると
の前は一字下げるのでは?
あと、
>茂みを抜け、静かな本殿の裏手へ。先客が居た。
の文章はなんていうのだろう。体言止めじゃないけど、
転調のような効果で使うものだろうと思う。
でもその前の文が短すぎて効果がなく、ただぶつ切り感を受ける。
その直後にまた「かの人間のもとへ」と同じように使っているし。
そういうのは効果的に用いないと、文章力を疑われそうだ。
とくに擬古文調?な文章だから目についてしまう。
これが軽いタッチのコメディ調なら、たぶん気にならないんだろうけど。

733猫丸:2005/03/22(火) 08:38:34
 今書いているラノベの冒頭です。批評よろしくお願いします。

 バス停のある団地から少し歩くと、小さな山が間近に迫ってきた。雨が降っているということもあって、辺りは薄暗く人影もほとんどない。閑静な小道には、雨粒が木の葉を揺らす音だけがしつこく響いている。
 そんな中を犬笠蓮太は、大きなリュックを背負ってぼちぼち歩いていた。隣には、小学生が持つような真っ黄色の傘を持った十二歳そこそこの少女。艶やかな黒髪が腰の辺りまで伸びていて、眼前の風景を見つめる物憂い表情は小柄な体に似合わない大人びた印象を与える。
「いやじゃのう、こんなに雨が降って」
ふと、少女が年寄りくさい口調で言った。
「恵みの雨、とでも考えれば?」
どうでもいいや、とばかりに肩をすくめる蓮太。
「…ナウなヤングなのか年寄りなのか分からん返答じゃな」
「奈々姫は100%年寄りくさいけどね」
二人の足元で溜まった水が撥ねる。奈々姫と呼ばれた少女は濡れた靴を恨めしそうに見つめてため息をつく。

734イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/23(水) 01:16:47
>>733
せっかく特色あるキャラなんですから、
先に会話があって、あとで人物描写や
風景描写に持って行ったほうが
インパクトあるかもしれません。

735イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/23(水) 23:33:05
>>733
主人公と思われる犬笠蓮太の描写がないのは、わざとでしょうか?
彼の顔が浮かばなかったので、頭に絵が描けませんでした…。
文章の量が少なくて、内容についてはあまり書けないので、文章的なことを書きますと、
十二歳そこそこというのは、違和感を覚えました。
十歳そこそこ…が普通ではないかと思います。

736猫丸:2005/03/24(木) 08:29:10
 批評ありがとうございます。

 蓮太の描写がないことについてですが…やっぱり必要ですかね。いろんなラノベ見
ても、たいした特徴のない男キャラの描写はほとんどない気がするのですが。参考に
なりそうな作品を知ってたら教えてください。

737イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/24(木) 14:44:54
私も蓮太の描写がないことが気になりました。
外見よりも、年齢がわかりません。
女の子より(外見が)年上か同年配かさえわからないのでは、
すんなり彼の視点に移入できないのでは。
さらされている部分が短すぎるせいかもしれませんが、
導入としては弱いように感じます。
セリフと人物描写を先に持ってきて、そのあと情景描写の方がいいと思う。

それから、細かいことですが、セリフのあと(間)の地の文は一文字下げるのが
一般的だと思います。掲示板だからこうなったのかもしれないけど。

738イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/24(木) 23:31:29
>>736
これといって特徴がない、とか、いまいちぱっとしない顔だ、とか、
いくら地味で目立たない男キャラであっても、何かしら書いてあると思うのです。
さすがに主人公に関する情報が皆無というのは、ないんじゃないでしょうか…。

739猫丸:2005/03/25(金) 11:34:17
>>738

うっ…。そう言われてみれば多少の描写はありました。今まで特に気にしませんでしたが
こういう描写もそれなりの必要性を持って書かれているんですね。以後精進します。

740イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/25(金) 22:32:04
「……です――」
 今、彼女はなんと言ったのだろうか。まともな考えが、うるさく鳴く蝉の声にかけされていく。彼女は夕日に赤く染まった顔を俯かせている。これ以上の言葉は聞けそうにないし、もう一回言って貰うのもなんだか憚られた。
 考えよう。まず俺が帰ろうとすると、下駄箱に手紙が入っていた。そこに丸っこい字で五時に体育館裏へ来てくれと書いてあった。俺は、藪か冬子辺りがからかっているのではないかという不安と、もしかしたらと言う期待でここへ来た。そこで待っていたのが鈴白春だった。
鈴白春――その名前を思い浮かべると、俺の心臓は激しい音を立てて胸を叩きはじめる。脈打つそれを数えると、少しずつ静まっていってくれた。彼女はなんと言ったのだろうか。彼女が言った台詞。それは告白と言う奴じゃなかったろうか。もし、そうであるなら答えは一つしかない。が、冬子や薮の悪戯という可能性も捨てきれない。なにせあいつらは俺の気持ちを知っている。
風が吹いた。それは彼女の腰まで伸びた黒髪を揺らす。肩は震えている。彼女の白い頬が赤いのも夕日のせいだけではない。期待が不安を塗りつぶしていく。
「鈴白さん――」
 彼女が顔を上げると、黒目がちな大きな目が現れた。その目に考えていた答えが吸い込まれていく。「あ……その……」なんと言えば良いのか。答え? なんの答えなのだろう。彼女の目、きれいな長髪、すっと通った鼻筋、白い肌、潤んだ桜色の唇。に入る彼女の全てが、俺の頭を真っ白に染め上げて行く。
「えっと、その……」わけもわからずうめきを漏らすと、彼女がくすりと微笑んだ。
「なに? 秋山君」彼女のその言葉に、口が勝手に動いてくれた。
「その――俺も前から君のことが……」彼女の目はこちらをじっと見ている。どこか、不安はあるのだけど、それ以外の何かで満たされている、そんな目。まるでその目に促されるように、俺の口は動く。
「……好きだった」
 蝉の鳴き声が一際大きくなった気がする。
「その、よろしく」
 俺はにっこりと笑って手を伸ばすと、彼女の白い手が答えてくれた。
「よろしくね」
 彼女の手はとても暖かかった。

おねげーします。

741イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/26(土) 03:36:23
>>740
>蝉の声が一際大きくなった気がする。
この部分なんかは、私としては好みの表現です。
ですが、全体的に表現過多のような気がしないでもない。
この量で一冊続くとなると、斜め読みしてしまう箇所が増えそうです。
もう少しこざっぱりしていてもいい感じかな、などと。
素人考えですがご参考になれば。

742猫丸:2005/03/26(土) 10:18:26
>>740

 確かに私も少々回りくどい気がします。でもこれがラストシーン、あるいは
ストーリーの根幹となるシーンだったりしたらいいのかなとも思います。

743イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/26(土) 18:03:28
>>741

あ、これでもくどかいんですね。レスありがとうございます。
是非参考にさせていただきます。

>>742

冒頭で結構重要な部分です。伏線にもなっているのでw。もう少しあっさりと行ったほうが良さげですね。

744イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/26(土) 19:34:36
>>740
私は蝉などの分量はさほど気にならなかったのですが、経緯を語るのが説明的すぎる気がちょっと…。
それと、これジャンルとしては何小説になるんでしょうか。
怪奇小説っぽい文章に見えてしまったのですが…。

745イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/26(土) 20:17:52
>>740
私はわかりやすい文章で、丁寧に書いてあって好感が持てました。
私に関しては、怪奇小説ぽいとは感じませんでしたが……。
ただまだ書きなれていらっしゃらないのかな? と思うところがいくつか。
一字抜けているところがこれだけの文章で二箇所あるし↓
>蝉の声にかけされていく
>に入る彼女の全てが
そのほかにもちょっと読んでいてひっかかるところがありました。

>考えよう。まず俺が帰ろうとすると
という文で、短い回想に入るのですが、私は最初、回想と思わずに、
現在から続いた状況と読みかけてしまいました。
「ちょっとさかのぼって考えてみよう」みたいに直すと
スムーズに読める?かも?

重箱の隅をつつくようなレスですいません。
自分の文を推敲するようなつもりで読んでいますので。

丁寧に書いてあるだけに、ほかの方々がくどいと感じられるのかもしれません。
でももっと書き慣れていけば、
徐々にメリハリのきかせ方や、描写の抜き方などが
自然に身についていかれるのではないかと思います。

746イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/26(土) 21:45:17
>>744です。
>>745のレスを読んで気づきましたが、言葉が足りていないようでしたので、補足します。
怪奇小説にぴったりの文体だ、ということではないのですが、文章全体に漂う緊張感が、
恋愛小説のどきどき感ではなく怪奇小説の緊迫感のように感じられてしまったのですね。
わくわくよりどきどきが前に来てしまって、恋しているふわふわみたいなものが追いやられているというか。
皆さんの書かれている蝉も、期待を高めるよりは不安や緊張を煽るような要素に感じました。
もっと楽しい空気も感じ取れれば、恋愛小説だということがわかったかと思うのです。

747イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/27(日) 14:58:15
みなさん、ご意見ありがとうございます。

>>744
自分でも、ちょっと分野がわかりません。広義なミステリーになるのかな。
章末で主人公は死にますし。ただ、最初は恋愛小説なようなノリで進める予定なので精進が必要ですね。
ただ、ヤオイかオオツキかそんな感じのお話なので、広義のミステリというかw
回想シーン、もうちょっと考えてみますね。ありがとうございます。

>>745
誤字については、なんと言って良いやら。気をつけます。
三人称で短編を一つ書いたことしかなく、二作目なのですが一人称が全然なじまないみたいで……目下研究中です。
やはり、回想は考えないと駄目ですね。それに書きなれないと。

>>746
う〜ん。恋するふわふわ……。む、難しい。変な汁が出そうです。

748イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/29(火) 21:15:50
冒頭文晒します。批評をお願いします。

"実験台募集中!
 貴方の魔力を高めて高位な魔道士になってみませんか?"
 その広告には、そんな見出しが大きく書かれていて、下の方に
"興味のある方は、トルシェの街郊外 魔女・シルフィエルの館まで"
 という文句とともに、簡単な地図が描かれていた。
 この広告が貼られているのは、トルシェの街の中央広場にある掲示板。
 貼られている広告はこれだけではなく、酒場のウエイトレスの募集や、近隣のモンスター退治依頼、行方不明になったペットの捜索依頼等々、多種多様な広告や依頼記事が並んでいる。
 その中でも、最も目に留める人が居ないであろうこの実験台募集広告を見て、雑踏の中、足を止める一人の少女の姿があった。
 
「『実験が成功すれば、貴方の魔力は格段に高まります。危険は一切ありませんので、お気軽にご応募下さい』と」
 そこは、警備兵の控え室のような簡素な一室だった。
 窓は無く、壁には扉が一枚と、その向かいに、殺風景な部屋を写し出す鏡が備え付けられているのみ。
 部屋の中にはある物は、テーブルと一対の椅子だけだった。
 木製の椅子にもたれかかりながら、男は手にした広告の内容を読み上げている。
 年の頃は二十代後半といったところか。金(ブロンド)の短髪に、たれ目気味で、軽薄そうな印象を受ける。
 服装は、麻の服の上からジャケットを羽織った、街によくいる若者のようなラフな格好だ。
 男は、誰に言うでもないような口調で続ける。
「いやー、流石にこれで『実験台になりたいですっ!』なんちゅー奇特な奴は、そうそうおらへんのと違うかなぁ?」
 言って男が目を向けた先には、テーブルを挟んだ向かい側に、同じような椅子に座り、腕を組んだまま沈黙しているもう一人の男。
 こちらは三十代前半程の、精悍な顔つきをした男である。目の前の男よりはやや長めの黒髪で、額の傷が印象的だ。
 服の上に軽鎧を着込んでおり、腰にはミドルソードが一振り。見た目の印象としては、経験豊富な剣士といったところか。
 黒髪の男の反応が無いのを気にする様子も無く、手元の広告に目を戻し、金髪の男は再び口を開く。
「あのばーさんも、もーちょいまともな文句を考えて欲しいもんやなぁ」
「不満があるのか」
 ここで、黒髪の男が、唐突に口を開いた。
 金髪の男は、やっと反応を示した黒髪の男に向き直る。
「いや、不満とはちゃうねんけど──」
「俺達は、ただシルフィエル様の指示に従うだけだ」
「……はぁ、やっぱりあんさんと話しててもおもろないなぁ」
「そう思うなら黙っていろ」
 そう言って、黒髪の男は口を閉ざし、金髪の男は大袈裟に肩をすくめる。
 特にやることも無いため、再び先程の広告でも眺めようと、手元に目を移し──
 コンコン
 突然、ノックの音が鳴り、続けてくぐもった声が響き渡った。
『すいませーん。街の広告を見て来たんですけど……』
 その声を聞くと、男達は同時に顔を上げ、壁に備え付けた鏡へと視線を向ける。
 先程までは部屋の中を写していたそれには、今は一人の少女の姿が映し出されていた。
「奇特な奴がいたようだな」
「……そのようやなぁ」
 それを確認すると、二人は席を立ち、扉を開けて部屋を出た。

749イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/30(水) 21:33:52
>748
はっきり言うと、かなり読みにくいです。
気づいただけで、あまり必要もなく受動形になってる文がいくつかあるし、
使用している語句も重複ぎみで、描写も多いわりに風景が目に浮かびません。

細かい突っ込みをするようですが、部屋の描写からは
警備兵の控え室みたいには思えないとか、
「読み上げている」という描写から、
実際に読み上げている台詞が離れすぎているとか、
印象的というだけでは額の傷がどんなものか想像できないとか、
そういう細かな点が積み重なって、フラストレーションを感じます。

冒頭としては、謎の広告というのが印象的でいいです。
つかみはOK!という感じなのに、文章で損をしてらっしゃるように思います。

750748:2005/03/30(水) 23:05:36
>749
ご意見ありがとうございます。
描写は自分で苦手気味な自覚があったので、具体的なご指摘に感謝です。
受動態が余分、語句が重複気味ですか……気をつけてみます。

部屋は、例え方の方がまずかったみたいですね。こちらは例えを変えてみます。
「読み上げている」の部分は、実は最初は台詞のすぐ近くにあったんですが、読み返してるうちに、部屋の描写を入れた方がいいなと思って、間に足してしまった結果、こうなってしまいました。完全に裏目でしたね。
修正で元の文を壊してしまっては本末転倒でした。気をつけます。
額の傷の細かい描写を入れなかったのは、描写漏れというか、単純にミスですね。追加修正したいと思います。

最初の部分は印象的に見せることを重視して考えていたので、そこを評価していただけたのはうれしいです。ありがとうございます。
しかし、肝心の文が読みにくかったら意味が無いですよね。
折角色々助言をいただいたので、ご指摘を受けた部分に注意して、修正してみようと思います。

751イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/31(木) 12:56:49
くぐもった声が響き渡った

これがおかしくね?

752イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/31(木) 13:03:16
二つの文章に分けず、一つの文章を纏められる希ガスるところがいくつかあったとおも。
あと、情景のイメージが作者さんの頭の中で固まってないか〜って感じもあり。
それと、場面転換のタイミングのせいか??となった。
描写に関しては、視覚だけじゃなく、音と匂いと肌触りあたりを入れると厚みが出て良くなると思われ。
読みやすい文章ではあると思うしね。がんがれ。

乱文だけど、箇条書きのほうがやりよかったんでw。

753イラストで騙す予定の名無しさん:2005/03/31(木) 19:39:10
情景描写、人物描写、私も苦手ですw
もしかしたらそうすると不都合があるのかもしれませんが、
たとえば視点人物を決めて、その人視点で描写したらどうでしょう?
色気もそっけもない部屋だ→向かいに座ってる人物も負けず劣らずそっけない
などと視点人物の感想を地の文に混ぜると、描写に味付けすることができて、
無味乾燥になりがちな文を救ってくれることがあります。
最初のブロックはともかく、次のブロックでは有効かと。

754ブラッド・レイン 1/3:2005/04/01(金) 00:33:59
習作ぽく書き始めた作品ですが、思いのほか興が乗ってきたので、
どなたか批評をお願いします。タイトルは「ブラッド・レイン」です。

----------------------------------------------------------------

「雨、やまないね」
 いったい何度目だろうか。うっすら埃の積もった机に頬をくっつけて、僕の向かいに
座った奈里子(なりこ)は言った。汚いからやめろと僕はいつも言うのだが、奈里子は
やめようとしない。だって図書室の机だから大丈夫だよ、というのが、奈里子のよく
分からない言いぶんだった。
 奈里子の指は、机に伏せた『鏡の国のアリス』の上で、何やら奇っ怪な文様を描き続
けている。
「やまないな」
 僕も応えて窓の外を見る。真っ黒な雲から真っ赤な雨。この三日間、飽きもせず弱ま
りもせず、かと言って「天の底が抜けた」というほどの激しさもなしにだらだらと降り
続いている。
「またモドキが増えるかな、昼雄(ひるお)」
「……かもな」
 僕は校庭にできた小さな川を眺めながら言った。「かもな」も何もあったもんじゃない。雨が降れば降っただけ、人間は減ってモドキは増えるに決まっている。
「嫌だね。ほんっとに嫌」
 奈里子は顔を上げ、頬の埃をぬぐった。指先の灰色を見て顔をしかめる。仕方がないさ、
と言いかけて、僕は口をつぐんだ。奈里子は一七歳。毎週の〈儀式〉が憂鬱になる時期だ。
歳をとるということがどういうことなのか。まさか忘れているということはないだろう
けれど、奈里子自身はあまり気にしている風もない。実感が湧かないのかもしれないし、
とっくに諦めているのかもしれない。何にせよ、僕にはそれを奈里子に訊く勇気はなかった。
「今夜も見張りを立てるのかな」
「……多分な。勇一とか克美、張り切ってるし。身を守らないわけにもいかないし」
「嫌だね。ほんっとに嫌」
 とんとんとん。指先でアリスの額を小突きながら、奈里子は口を尖らせる。同感だった。
嫌なものだ。どんなに繰り返しても慣れないものだ。「もともと人間だったもの」を殺すのは。

755ブラッド・レイン 2/3:2005/04/01(金) 00:34:37
「それ」が初めて降ったのは、もう五年も前のことになる。鉄錆の味がする、赤い雨。
すわ天変地異か、と、騒動にはならなかった。もっと深刻な問題が時を同じくして持ち
上がったからだ。
 あのときのことは今でもよく覚えている。何かに憑かれたような目をした大人たちが、
家やビルや電車や車の中から、傘も差さずに屋外へと歩みでた。箸や書類や鞄や携帯電
話を持ったままの大人たちは、みな空を見上げて、びっくりしたような表情で雨を顔に
受け続けていた。子供が泣きながらその脚にすがっても、こうるさげに蹴り飛ばされる
のが関の山だった。
 そして、大人たちは変わり始めた。何に変わったのか、と問われたらこう答えるしかない。
あらゆるものだ。僕たちの見ている目の前で、大人たちはこの世の、そしてこの世以外
のあらゆるものに変わり始めたのだ。
 たとえば、ある大人は巨大なダチョウに変わった。ただしそのダチョウには目も羽毛
もなく、代わりに強酸を噴きだす円形の口と、死人を思わせる冷たい土気色の皮膚があ
った。
 別の大人は服も身体も風化したかと思うと、転瞬、数万匹の蛾に変わった。その蛾は
猛毒の鱗粉を持っていて、群れで人を襲った。獲物が鱗粉をたっぷり吸いこんで麻痺す
ると、おもむろに長い産卵管を突き刺すのだ。体表を蛾が覆った数十秒後には、獲物は
幼虫のためのベッド兼エサに成り果てているという具合。無数の卵が孵った後は、生き
たままむさぼり食われることになる。
 また別の大人は犬に変わった。その犬の身体は、実は無数の長い長い線虫の絡み合った
代物で、どういう方法かは分からないが犬の形状を保っているのだ。与し易しと見て
うっかり近づこうものなら、全身の穴という穴から進入されて苦悶のうちに息絶えることになる。
 そのほか体高一〇メートルもある真っ黒な象に変わった大人もいたし、サソリと蜘蛛を
掛けあわせてカゲロウの羽を生やしたような節足動物に変わった大人もいた。――例を
挙げればきりがない。そいつらの姿に共通点があるとすれば、どこかしら生物らしき
外見をそなえているということくらいだった。だから生き残った者たちは、生物に似たもの
という意味で、いつからかそいつらを〈モドキ〉と呼ぶようになっていた。
 モドキの特徴は千差万別だが、大抵の個体に共通する点もある。たとえば、かなり
積極的に人を襲うこと。たとえば、明かりに群がる性質を持つこと。
 そしてたとえば、夜になると活発に活動すること――。

756ブラッド・レイン 3/3:2005/04/01(金) 00:35:14
 ごつり。
何か硬いものが肩に当たって、僕は目を覚ました。
「当直だぜ、大将」
 克美だった。僕が寝床と定めている理科準備室に照明はないが、低い声と「大将」と
いう口癖でそれと知れる。さっきは何かが肩に当たったと思ったが、克美が軽く蹴った
ようだ。そう言えば、今夜の見張りは克美と一緒だった。気を利かせて起こしに来てく
れたのだろう。
「ん……ああ」
 僕はあくびを噛み殺しながら机の下から這いだした。気分が悪い。不快で混乱した夢の
微かな記憶が、アスファルトにへばりついたガムよろしく、頭蓋骨の内側に黒くわだかまっている。
――夢トハ、昼ノ間ニ見聞キシタ事柄ヲ長期記憶ヘト移行スル際、脳ノ活性化ニヨッテ惹
起サレル、あとらんだむナ記憶ノ再生ニ過ギナイ。
そんないかめしい文章をふと思い出す。確か、そうやって再生された記憶を覚醒後につぎ
はぎして辻褄を合わせたものが夢の正体だとかなんだとか。もしそれが本当だとすれば、
ある夢が悪夢かそうでないかは、起きた後の気分次第ということになる。さて、どの本に
書かれていたことだっただろうか。
「おい、どうした? 早く行こうぜ」
 思わず目をつぶる。克美が懐中電灯で僕の顔を照らしたのだ。電池も豆電球も貴重品だ
から、普段から点けっぱなしというわけにはいかない。
 謝ろうとして目を開けると、克美は机の下の布団を舐めるように照らしている最中だった。
「……何してるんだよ」
「いやぁ」
 克美は岩から削りだしたような顔をにやりと歪め、
「てっきり、寝るときも奈里子と一緒だと思ってたんだけどな」

「そんなに怒るなよ、大将。悪かったって」
 背後からの謝罪は、しかし悪気のないからかい混じりだ。僕も別に怒っているわけじゃない。
ないのだが、照れ隠し半分に肩を怒らせて歩きだしてしまうと、歩調を緩めるきっかけが
どうにもつかみにくかった。
「しかし、よく降るな」
 怒っていないことを伝えるつもりで、僕は言った。事実、克美が気まぐれに振り回す
懐中電灯の光を反射して、血塗りの針のような雨が窓の外に見えていた。
「ああ、まったくだ。モドキも随分ざわついてるみたいだぜ」
 追いついてきた克美に、これと言って変わった様子はない。克美は僕や奈里子とは違う。
身を守るのに何のためらいもないタイプだ。こんな世界ではそっちの方が正常なのだろうか。
「ま、さすがにそろそろやむだろ。今夜を乗りきっちまえば、また降りだすまではのんび
りできるさ」
 そういうわけだから今夜はよろしく頼むぜ、大将。克美はそう言って僕の背中をどやし
つけた。
 そうこうするうち屋上に着いた。僕たち二人の今夜の持ち場だ。用意のいい克美が大き
な傘を広げ、僕を入れてくれた。
「遅かったじゃないか」
 合羽のフードを跳ねあげて近づいてきたのは勇一だった。見張りのための暗視鏡を着け
た勇一は普段にも増して威圧的な印象だ。背が高いから、では恐らくない。背なら克美の
方がさらに高いが、克美はどんな格好をしても威圧感など少しもない。
「まともに動く時計が少ないもんでね」
 克美がひょいと肩をすくめる。まぁ、嘘ではない。
「……早く持ち場に着け。俺は休ませてもらう」
 勇一は暗視鏡を乱暴に剥ぎ取りながら言った。頭をひとつ振って滴を跳ねとばし、暗視
鏡を克美に押しつける。作の一つ一つを嫌みったらしいものに感じるのは、やはり僕が勇
一を嫌いだからだろうか。

757754:2005/04/01(金) 00:50:18
……失礼。

>>756の最後から二行目、
>作の一つ一つを嫌みったらしいものに感じるのは、やはり僕が勇一を嫌いだからだろうか。
は、
>動作の一つ一つを嫌みったらしいものに感じるのは、やはり僕が勇一を嫌いだからだろうか。

の誤りです。

758イラストで騙す予定の名無しさん:2005/04/01(金) 03:22:26
>>754〜756
すごく面白いです。先が知りたくてたまりません。
文章も読みやすく、リズムがいいです。

ただ、モドキの具体的な説明が早すぎるように感じました。
この時点ではもっと漠然と恐ろしげな感じで触れるだけにとどめて、
個々の細かな描写は実体が出てからの方がいいと思います。
そこはもっとひっぱって、それより少年たちの現状を説明するのを
先にした方が、より読者の期待が高まるのではないかと。

また、具体的な描写が、一般的な話として語られて、浮いてしまっているような。
「誰々の父親はこんなモドキになった」「担任の教師はこうなった」
という具体的な例示にしてしまえば浮かないと思いますが、
なんだか筆が乗って書き込んでしまったかな?という感じを受けてしまいます。
でもその描写がとてもユニークです。楽しんで読みました。
それだけに、もっと効果的にかましていただきたい。
期待しています。

759754:2005/04/01(金) 08:33:15
>>758
どうもでございます。

>また、具体的な描写が、一般的な話として語られて、浮いてしまっているような。
>「誰々の父親はこんなモドキになった」「担任の教師はこうなった」
>という具体的な例示にしてしまえば浮かないと思いますが、

うーん、ごもっとも。
主人公にとって、モドキへの変身は実際に自分の目で目撃した事件な
わけですから、身近な話として語らせた方が臨場感が出ますね。
的確な指摘、ありがとうございます。

760イラストで騙す予定の名無しさん:2005/04/01(金) 09:21:29
キャラクターの外観がまったく描かれていないね。
別に細々と描写する必要はないと思うけれど、例えば
「奈里子の大きな瞳が」とか、「克美のひょろ長いシ
ルエットが浮かびあがる」とか、こちらが想像する助け
をくれるとありがたい。とくに克美は真っ白けだし。

761748:2005/04/01(金) 10:25:39
>751
家の外から中の人に呼びかけたのを、中で聞くのをイメージしたんですが、おかしいでしょうか?
言葉自体がおかしいかな……?

>752
読みやすいように一つの文に表現を詰め込まないようにしてるつもりだったのですが、度が過ぎたみたいですね。修正してみます。
イメージが固まっていない……うーん、そうかもしれないです。それに、視覚でしかイメージして無かったって言うのは正にそうでした。
音と匂い、肌触り等ですか……なるほど。
激励のお言葉感謝です。がんがります。

>753
視点を特定の人物寄りにする。ですか。
初心者が、視点の切り替えを多用しすぎると、視点がぶれて、読みづらく・わかりづらくなるっていうのを聞いたことがあるので、敬遠してたんです。
私ごときが使うと、正にそうなってしまうんじゃないかと不安だったり……でも一案ですよね。試してみます。

>>754-756
全体的に、描写も良いし、読みやすくていい感じだと思います。
ただ、ちよっと説明不足な点があるかなと。自分の読解力不足かもしれませんが。
というのは、奈里子に関する事が、後半語られてないこと。
奈里子といたのは夢の中で、実際奈里子はそばにいないというのはわかるのですが、
主人公が奈里子のことに直接触れていないので、ちょっと戸惑ってしまいました。
未熟者故、的外れな意見でしたらすいませんです。

762添削屋さん:2005/05/04(水) 10:45:04
>タイトルは「ブラッド・レイン」?

----------------------------------------------------------------

「雨、やまないねぇ」
 もう何度同じ台詞を彼女は繰り返したことになるだろう――
 うっすらと埃の積もった机に頬をくっつけて、奈里子(なりこ)は、また
消え入りそうな小さな声でそう囁いていた。
 汚いからやめろと僕はいつも注意するのだが、奈里子はそれを決して
やめようとしない。
 だって図書室の机だから大丈夫だよ、というのが、奈里子の言い分。
 奈里子の指は、机に伏せた『鏡の国のアリス』の上で、何やら奇っ怪な
文様を描き続けている。
「確かに、やまないよな」
 僕もそう応えて窓の外を見た。
 真っ黒な雲から真っ赤な雨。この三日間、飽きもせず弱まりもせず、
かと言って「天の底が抜けた」というほどの激しさもなしにだらだらと
降り続いている。
「またモドキが増えるのかな、昼雄(ひるお)――」
 彼女は漸く、思い出したかのように、僕の名前を口にした。
「……かもな」
 僕は校庭にできた小さな川を眺めながら言った。
「かもな」も何もあったもんじゃない。
雨が降れば降っただけ、人間は減ってモドキは増えるに決まっている。
「嫌だね。ほんとに、嫌――」
 奈里子は顔を上げ、頬の埃をぬぐった。
そして指先の灰色を見て顔をしかめた。
言わんこちゃない――仕方ないだろうよ?
と言いかけて、僕は口をつぐんだ。
奈里子は一七歳。毎週の〈儀式〉が憂鬱になる時期だ。
歳をとるということがどういうことなのか、まさか忘れているという
ことはないだろうけれど、奈里子自身はあまり気にしている風もない。
実感が湧かないのかもしれないし、とっくに諦めているのかもしれない。
何にせよ、僕にはそれを奈里子に訊く勇気はなかった。
「今夜も見張りを立てるのかな」
「……多分な。勇一とか克美、張り切ってるし。身を守らないわけにも
いかないし」
「嫌だね。ほんっとに嫌」
 とんとんとん。指先でアリスの額を小突きながら、奈里子は口を尖らせる。同感だった。
嫌なものだ。どんなに繰り返しても慣れないものだ。
「もともと人間だったもの」を殺すのは。。。


  <<<正直、良く分からんが―――>>>

763添削屋さん:2005/05/04(水) 10:52:37


 根本的に、時間経過? が、おかしいんでないのかい この文章は――

764イラストで騙す予定の名無しさん:2005/05/04(水) 11:38:50
あ、HNが変わってる

765イラストで騙す予定の名無しさん:2005/05/15(日) 18:40:00
>奈里子は顔を上げ、頬の埃をぬぐった。
>そして指先の灰色を見て顔をしかめた。

顔に埃が付いたら、皮脂があるので指でぬぐっても頬に汚れがこすれる。
指先が灰色になるくらい汚れたなら、顔にも筆で書いたような線が引かれたはず。
奈里子がプラスチック製とかなら別だけど。

766砂漠の星のオプティミスト?:2005/06/15(水) 07:32:19
 ぶわんぶわん、ぶわんぶわんと、音が響く。
「ねえちょっとオーガスト、もっとスピード出ないの?」
「無茶言うなメリウェザー、これが限界だ! これ以上出したらエンジンが
火を噴きかねん!」
 赤く広大な砂の大地を、砂上クラフトが疾駆していた。
 通称『ホバー』と呼ばれる型。旧時代の二輪車めいた形をした、随分と
古いモデルである。
 超速に舞い上がる砂と熱気を呑み込んで、ホバーを操舵する男が喚いた。
「火を噴くの? それは派手だね、なかなかいい。少なくとも、ガリッと
齧られて死ぬよりはいい散り様だなあ」
「派手って何だ派手って、花火じゃないんだぞ!? 大体落ち着き払ってる
場合なのかこれが!?」 
 重力制御装置が砂をかき分け、ホバーの通った後に浅い轍(ワダチ)を
作る。限界を超える速度から来る揺れが、轍の形を時折歪ませる。

          (以下 略)

 例えばこういうさくひんっていうのは、確かに素人衆の中では筆力が
ある方で、おそらく作者自身は、さぞや「これは、かなりイケテル!」
と、確信していることだろうが――

 その分、傍から見ればというか、プロの人間ならば思いっきりシビアに
内容の精査に入る訳で――「果たしてこの登場人物の在り方ってどうよ?」
みたいな処から入って、よくよく見てみれば……嵐の駄目出し百連発! 位
は何時でも直ぐに出されてしまう、みたいな――典型的な素人騙し的な物だね


※何処かの賞に応募しているのなら、二次選考突破、位までは赦してあげても
全然構わないとは思うけど、一応編集部としては電話で呼び出して、二時間位
プロの作家として認められる為の条件――みたいなものを懇々と説教してあげ
て欲しいよなぁ〜 是非 今の内に――とか、思うタイプの 奴 かなぁ〜※

767イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/16(木) 15:11:24
初投稿用に見栄えのするバトル物に挑戦してみたのですが、正直、今までと文体などが全然変わったものになってしまったので、少々不安です。
批評、よろしくお願いします。
なお、これは中盤で盛り上がる場面のバトルシーンの一部です。

「運命とやらもなかなか粋なことをしてくれるわね。ここなら余計な邪魔が入ることもない」
 ちょうど空自身、まったく同じことを考えていた。
「グラディウス王子の暗殺者、剣(レイピア)だな」  
「そういう貴方はアウレイリア姫の飼い犬ね」
 挑発するように切り返してくる。
 今さら精神戦が無意味なことなど知っているだろうに。
 だが、その小気味の良さは悪くない。
 彼女は小振りな剣を両手に構えている。 
 すらりと伸びた長身に、最低限の防具を身につけた動きやすそうな服装を身につけている。
 闇夜にも鮮やかな長い金髪を後ろで束ねて、その美貌は獲物を前にした女豹のように活き活きとしている。
 碧眼に灯る焔の刃は、剣の二つ名にふさわしい。
「千載一遇とはこのことだわ。そう思わない?」
 澄んだ声音だが、女性としては少し低めだ。
「ああ。まったく同感だ」
 一目見た時から分かっていた。
 彼女は自分と同じ、剣のみで戦う暗殺者だ。
 騎士などと違い、暗殺者は様々な得物を使い多種多様な戦い方をする。彼らは状況や相手に合わせて、自身の戦闘のスタイルを調整しなければならない。だから、一流の暗殺者が『全力』で戦い己の技量の全てを尽くすには、自分にとってもっとも見合った状況で、もっとも相性の良い相手と対峙し、しかもその敵が自身と同レベルの技量を備えていなければならない。
 力量が上がれば上がるほど、ただでさえ稀少なその確率は0に近づいてゆく。
 それが、この瞬間。
 奇跡にも等しい可能性の積み重ねの果てに、今、彼らは最高の敵と相対しているのだ。
「そろそろ始めましょうか」
「そうだな。間合いの駆け引きですら名残惜しいところだが、いつまでもこうしているわけにもいかない」 
 その微笑、
「きみに会えたことを__」
「__神々に感謝するわ」
 どちらかの主が居合わせれば、嫉妬したに違いない。
 闇夜に剣戟の音が高鳴って、火花が散る。
 交叉する刃を力任せに吹っ飛ばすと、彼女は地を蹴ってくるりと宙を舞う。
 こちらも右足にあらん限りの力をこめて跳躍し、必殺の突きを繰り出す。
同時の雄叫び。稲妻のような金属音。
 ズザッ、と地を滑りつつ着地する。
 頬を伝う一筋の血。あと一瞬遅ければ、下顎の付け根から上が空を舞っていたはずだ。
 実際のところ。
 心の底から眼前の敵の首を欲するその一時の間だけ、彼らは恋に落ちていたのだから。

768767:2005/06/16(木) 15:30:44
ついでに冒頭も晒しておきます。ラノベの投稿においては冒頭シーンはかなり大事だと聞いたので。

月のない、星明りだけがうっすらと闇を照らす夜だった。
 かすかな夜風に、水面がさざ波立つ。
 そんな湖畔の草原に、白馬が一頭寝そべっている。
「ごめんね、カイ。遅くまで付き合わせてしまって」
 ささやくような女性の声。白馬はかすかに首をもたげると、指し出される細腕に顔を寄せる。その影をよく見れば、白馬の額には一本の角が生えていることが分かっただろう。
 額に角持つ白馬の主人は、まだうら若い鎧姿の女性だった。と言っても、少女と言うほど幼いわけでもないし、淑女と言うにはまだあどけない面影を残していた。
 星明かりに青白く映える、ほっそりした輪郭。腰まで届く栗色の髪に、美しいというよりは愛らしい小造りな顔立ち。そして、雲一つない夜のように澄んだ、深い黒曜の瞳。
 艶やかな花と言うよりは、繊細な装飾を施された宝剣のような印象を受ける佳人だった。だが、どういうわけか女性の左目は、布に巻かれて隠されていた。
「ここに来るのは七年ぶりか」
 傍らの白馬に話しかけるとも、独り言ともつかぬことを呟きながら、湖の向こうに切なげな視線を向ける。 
 ややあって、なにかを振り切るような微笑を浮かべて
「帰ろうか、カイ。城まで乗せていってくれる?」
 ぴくりと耳を立てて、唐突に白馬が立ち上がる。主人の声に反応してのことではない。
 しゃらん、と鞘から抜く時に剣が鳴るように。
 形の良い眉が吊り上がって、黒曜の瞳の色が変わる。
 射抜くような視線が、何もないはずの闇に向けられる。
 足音一つ聞こえなかったはずであった。
 だが剣士である以上、これだけの数の殺気を向けられれば、嫌でも気づく。
「カイ。下がっていて」
 額に角持つ白馬は主人を信じきっているらしい。とくに脅える様子も見せず、主人の一歩後ろに控えると、そのまま彫像のように動かなくなる。
 女性は剣を抜くと、あたりに気を配りながら正眼に構える。装飾一つない実戦用のものだが、鋭くも澄みきった銀月の刃はその身にふさわしい。
「どうしました?娘一人に数人がかりで、近寄ることさえできないとでも?」
 揶揄するような言葉を、闇の向こうに投げかける。
「……女だてらに多少は使えるという噂、嘘ではないらしいな」
壮年の男のものらしき、かすれた低い声。
「別に逃げたければ止めはしません。お前達には敵に背を向けてはならない義理などないのですから」
負けじと言い返す女性。いや。鈴の鳴るような音でありながら、その口調は剣士のものだ。
 がさりと草を踏む音。二人、横手にまわった。
 だが、まだ動くわけにはいかない。
「ふん。数々の武勲も白昼での話よ。騎士など闇夜では、我らに捕われ喰われる者に過ぎぬ」
 反対側の横手に……たぶん三人。
 彼女の額に、大粒の汗が流れる。
 人数を正確に把握できるほどの腕は、彼女にはない。ただ予想していたよりも、ずっと多い。
「フレイル王国が第二王位継承候補、アウレイリア姫殿下とお見受けするが、相違ないか?」
 刺客の言葉に、一瞬だけ場の流れが止まる。
 女性は一息つくと、
「いかにも。我が名はアウレイリア。今は亡き、サーレイス王の遺志を継ぐ娘です」
 高らかと、誇らしげですらあるかのように彼らの誰何に答えた。
 それが、宣戦布告だった。

769イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/18(土) 19:11:16
>>768 冒頭としてはちょっと……人物描写の連続で入りづらいと思う。
>美しいというよりは愛らしい小造りな顔立ち と、
>艶やかな花と言うよりは、繊細な装飾を施された宝剣のような印象を受ける佳人
という描写がイコールしないような気がするんですが。
「いうよりは」が2文連続してるし。こういう表現の重複が多いです。
そのせいか、なんかゴタゴタした印象。

>>767の文の方がテンポアップして感じられる。
でもバトルものなのにバトル描写より人物描写の方が多いって……。
>間合いの駆け引きですら名残惜しいところだが
って台詞で言ってないで、黙って間合いの駆け引きをするところを
描写した方が、緊張感が伝わると思うんだけど。
敵同士の殺気と、男女間に漂う艶っぽさをかけたところはいいと思う。
でも暗殺者はうんぬんの下りは、言いたいことが伝わらないし、
いまいち読者を納得させる力を持ってないと思う。

文体を変えたということだけど、まだこの文体に慣れてないのかな?

770イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/18(土) 20:53:43
CivというゲームのWikiにアップした物です。そのゲームを下敷きにして書いたものなのですが・・・
どうか批評をお願いします。

まずガレー船5個船隊が九州南部に召集された。そして本土中の部隊−弓兵7部隊、戦士1部隊、槍兵2部隊が続々と到着し、我先にと乗り込んでいく。その近くの小高い丘の上に、厳重に警備された指揮所があった。中にいたのは、将軍・徳川と、軍事担当・神原の姿があった。
「どうですか、閣下!見事な眺めでしょう。規模は以前の大陸進出と同じ程度ですが、あの時はほとんどが槍兵部隊でしたからな。しかも今度は、わが国が大陸諸国に負けぬ力を持っていることを証明できる戦いです。兵の意気込みも違います」
興奮しながら語る神原を横目に、徳川は冷静だった。この軍事担当は必ず勝てると言い、それを信じてみようとあの時思ったが−正しかったのだろうか?中国の戦力を見下しているのではないか?やはり、他の策も講じておく必要があるな。
「どうかしたのですか、閣下?」
顔を急に覗き込まれ、今考えたことを感ずかれていなければいいなと思いつつ、平静を装った。
「いや、なんでもない。ところでこの春嵐計画は、対中国戦争計画と聞いたが、北京強襲しか考えていなかったのか?」
神原は眉を少し吊り上げた。気分を害したらしい。
「そんなことはありません。現在進行している、海上から北京を強襲・制圧する“鈴蘭作戦”の他に、大陸自国都市よりインド領を通過し、中国各都市を占領する“秋桜作戦”がありました。しかし、大陸侵攻はわが軍の機動力が不足していることと、本土が南から攻撃される恐れがあるため、この“鈴蘭”を採用しました」
「なるほど、ありがとう。頼もしい限りだな。ところで本当に君も、この侵攻船団に乗っていくというのは本当か?」
ある程度機嫌が直ったのか、苦笑しながら答えた。
「はい。ただ、ずっと船の上に乗っているだけです。わが軍が勝利するところを間近で見ようと、私は船から降りる、と言ったら部下から猛反発を受けました」
「それはそうだろう。もし万が一のことがあれば大事だからな」
「大丈夫です。閣下。わが軍は必ず勝利します。吉報をお待ちください」

それから2日後、強襲船団は出航した。

船団が出航してすぐ、徳川は執政室に内務、通商、外交、文化の各担当官を呼び出した。
「もし万が一の事も考えなければならない。負けた場合の事をだ。国内は混乱に陥るだろう。今本土の都市の大半が無防御状態だ。反乱でも起こされたらどうすることも出来ない」
徳川は椅子から立ち上がり、両手を後ろで組んで足早に歩き出した。
「混乱を最小限に抑えるには、君たちに尽力してもらわなければならない。やってくれるだろうか?」
物静かな紳士である東郷外交担当が、顔を真っ赤にして言った。
「一体、何を、どうやってですか!負けた場合の事などと。閣下はあの時、神原殿の言うことしか聞かなかったではないですか。それを今更−」
「すまなかったと思っている。あの時軍事担当を止めればよかったのだ。許してくれ」
東郷は目を丸くした。将軍の口から謝罪の言葉を聴くのはどれだけ振りだろうか。室内が静まりかえる中、小野文化担当が口を開いた。
「閣下、一国の主ともなると決して謝罪をしてはなりません。民の目の前では特にそうです。さあ、それでわれわれは何をすればいいのですか?」
徳川は再び椅子に座りなおした。
「・・・負けた場合、わが国は永遠に中国の属国になりかねない。そこで、中国に圧力をかけ、最悪の事態を回避したい。加藤内務担当、ガレー船と開拓団をひとつずつ用意してくれ。大至急だ。辻通商担当、大陸都市の影響圏内にある贅沢品を戦争中、奪われることの無い様。東郷外交担当、中国といつでも交渉できるよう、経路を確保していてくれ。小野文化担当、中国の政治宣伝に国民が惑わされるないように、愛国心を高い状態で維持してくれ。難しいとは思うが、頼む。日本が日本であり続けるために!」

開戦前夜午後7時。侵攻船団は台湾沖に停泊していた。中国に発見された様子はない。すべて手筈どうりいけば、明日深夜0時に宣戦布告し、午前3時に北京市郊外に上陸する事になっていた。

771イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/19(日) 14:33:37
>>770
あの、これはライトノベルとして投稿する予定の作品ですか?
それとも趣味で書いてるだけ?
作品のどの部分?

あと、ここ覗いてる人、いまあまりいないみたいだから、たくさんの批評欲しいなら、
新人賞スレにでも「批評求む」って言ってここに誘導した方がいいと思いますよ。
>>768の人も。

772767:2005/06/19(日) 21:23:28
>>769
的確な批評、感謝します。

>冒頭としてはちょっと……人物描写の連続で入りづらいと思う。
 最初に見せ場を持ってくると同時にヒロインの凛々しさを印象づける……というつもりだったのですが、たしかに人物描写の比重が多すぎだったかもしれません。

>描写がイコールしないような気がするんですが。
 愛らしく、かつ凛々しいというイメージだったのですが、改めて読み返すとたしかに読み手にはそれが分かりずらい表現になっていたかもしれませんね。

>表現の重複が多いです
 これは僕も自覚しています…orz。直してもいくつか残ってしまうのですよね…精進します……。

>バトル描写より人物描写の方が多いって
 この点については説明不足でした。これはバトルの冒頭シーンで、この後、電撃三枚分ほどバトルが続くのです。

>暗殺者はうんぬんの下りは、言いたいことが伝わらないし、
 いまいち読者を納得させる力を持ってないと思う。
 これは読んでもらった友人にも指摘されたことです。自分、設定魔のくせにそれを物語に活かす技術がまだ未熟なのですよね……。

>まだこの文体に慣れてないのかな?
 うーん、冒頭はともかく、767の場面あたりから慣れてきた…という感覚はあったのですが……。バトル物を書いたのも投稿を意識して書いたのもこれが初めてなので、やはりぎこちなさがあるのでしょうね。

>>770
 僕は批評はまったく素人なので、一つだけにしておきます。参考程度に考えておいて下さい。

 ちょうど作品の世界状況や戦略等を説明するための場面を書いているから、というのもあるかもしれませんが、少し登場人物の個性の描写がおざなりであるように感じました。
 戦記物だから、というのもあるかもしれませんがどんな作品であっても、登場人物の魅力は重要な要素かと思います。
 群雄劇の中で登場人物を個性を巧みに書いた作品には、ラノベでは『銀河英雄伝説』、一般小説だと『ローマ人の物語』や司馬遼太郎の日本史ものあたりがあるので、参考にしてみてはどうでしょう。
 同じ内容のことを言わせるのでも、ちょっと演出に凝ってみたり台詞廻しを工夫させてみるのも手かもしれません。同じ陣営や同志でもキャラごとに微妙に異なる信念や気質をもたせて、常にそれに基づいて描写することを心がけておくのもいいかと思います。

>>771
 そうすることにしましょう…。
 助言感謝です。

773769:2005/06/20(月) 15:50:56
>>767
>これはバトルの冒頭シーンで、この後、電撃三枚分ほどバトルが続くのです。

なるほど。いや、私も「長い」という言い方をしたのがいけなかったですね。
つまりアクションの描写が、人物描写の書き込み方と比べて、浅すぎるということです。
これ以降も同じような書き方をしているとしたらですが。
たとえばマンガのバトルシーンなら、コマごとに、打ち合わされる剣、互いの表情、
踏み切る足などを描いて効果線を入れれば、それなりに雰囲気は出せる。
でも小説では、アクションを体感させるような描き方が必要になる。
さらされている部分に限って言えば、この描写ではマンガどまりということです。
恋愛ものやコメディとかならともかく、バトルものなら、これでは不十分じゃないかな。

いや、バトルは本当に書くのたいへんだから、初投稿作というならがんばっていると思う。
読者が登場人物の動きを体感できるように書く、しかもテンポよく読ませる、
できればさらに「あっといわせる」。ぜんぶクリアするのは本当にたいへんだから。
プロのアクションシーンを読み込んで、参考にしてみたらどうでしょう?

774767:2005/06/20(月) 16:54:33
なるほど……そういうことでしたか。

<登場人物の動きを体感できるように書く、しかもテンポよく読ませる、
 できればさらに「あっといわせる」。
 さしあたって、僕に一番必要なのは最初の項目のようなので、そのあたりを中心に意識してみます。

775イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/21(火) 14:41:03
初書きしてみたのですがどうでしょうか?

 彼の気分は2,3日雨が降り続いていることもあってかいつにもまして憂鬱な気分だった。
何を見るわけでもなく窓からグラウンドに落ちていく大粒の雨を横目に軽いため息をひとつ演じてみた。そのため息は窓ガラスを曇らせ、雲のように窓に滞在している。
それを見ながらまた一つ、今度はさっきより大きいため息を出してみた。ため息は窓ガラスを更に曇らせ、その音は先生にまで届いてしまっていた。彼の身長はクラスで2番目という中々の長身のため、嫌でも目に付いてしまう。
「これで3度目ですよ。ため息をしている暇があったらノートを取ったらどうですか?神谷君。それとも校庭で走ってきますか?」
先生の3度目の台詞は怒りを通り越して呆れ口調になってしまっていた。
肘を机につけていた手を思わず滑らせ、頭を思わずぶつけそうになってしまいながら反射的に立ち上がった。
「す、すみません、先生。」
その3度目の台詞は頭をぶつけまいとしていた状態で言ったためなんともおかしい音程になってしまっていた。
1,2度はクラスメイトも笑っていたが、3度目になるともう飽きてしまい。ただこちらを見て彼のあわてた顔をしているだけだった。
「顔を洗ってすっきりしてきなさい。」
その呆れ顔も先生が滅多に言わない言葉もに神谷とってはもはやお決まりの台詞であった。
神谷はいつものように頭を縦に振るといつもとように立ち上がり、いつものようにトイレへ向かった。
神谷の中学校は私立のために回りは比較的綺麗で、特にトイレは今年作り直されたばかりでとても学校とは思えないでデパートの1室のようなトイレだった。手洗い場もまるで大理石かのようにピカピカに磨いてある。
神谷は蛇口勢いよくをひねり、その蛇口からとめどなく出る水を見ながら頭の中でただ一言、言葉を発してみた。
「俺は何をやっているんだろう・・・・。」
いくら外の景色を眺めても何も起こらないし、何百回ため息をついても何も変わらないのは彼もわかっていた。だがため息とは自分の気持ちに嘘偽りなく出るものである。ため息を消すためには、彼の体の中の憂鬱を消すしかなかった。
神谷は心の中で自分を軽く罵倒しながら勢いよく出る水を手ですくい、それを一気に顔へ押し付けた。水は自分が思っていた以上に勢いがよかったために手から飛び跳ね、ピカピカの台を水で汚してしまった。
その行為は何回も続けられたが、表面上の眠気は洗い流せても憂鬱を洗い流すことはできるわけがなかった。
洗い流せていない自分の憂鬱を感じながらふと自分の顔を鏡で見てみた。そこにはいつもと変わらない自分が写っていた。こんなに自分のことをまじまじと見つめるのは久しぶりかもしれないな。鏡の自分はさっきの水のせいでその髪の毛の先から顎までびしょびしょで眠気もすっかり覚めたはっきりとした黒い眼で自分を見つめ返している。だが、その目の下にはクマが出てきている。それになんだか元気がなさそうだ。○○はそんな自分を見て、またため息をついた。
その瞬間親友の言葉が頭の中を一気に駆け抜けていった。
「神谷は本当に一生ここにいるつもりなの?」
その言葉は、ふざけているわけでもなく、からかっていたような素振はまったくない。そして真剣な眼差しで神谷に向けられていた。あれが本気だとしたら俺は行きたいのだろうか?それともここに残り続けていつも通りの変わらない生活を送り続けるのがいいのだろうか?
その考えは永久に続くかとも思われた。だが、彼の考えは決まっていた。そしてこの憂鬱を消すためにはこの無限に続く構想に自ら終わりを告げるしかないことも気が付いていた。
もう引き返せはしない。本能的にそう感じていた。



冒頭だけうpしてみました。なんかキャラの気持ちがごたごたになってわかりづらい気がします。

診断お願いします。

776イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/21(火) 23:53:45
>>775
読点使いましょう。例えば最初の文なら、
「彼の気分は2,3日雨が降り続いていることもあってか、いつにもまして憂鬱な気分だった」
これだけで多少わかりやすくなったかと思います。
さらに言うなら、私であればこの文、
「2,3日雨が降り続いていることもあってか、彼の気分は憂鬱だった」
という具合に、倒置を使って主語と述語を近い位置に置きます。
また見ていただければわかるでしょうが、重複表現もカットしてあります。
とにかく、読者にわかり易い文章を心がけるのが吉かと。

777イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/22(水) 01:31:20
>>775
はじめてだから当然ですが、基本的な文章力がまだ……。
>神谷の中学校は私立のために回りは比較的綺麗で、
 特にトイレは今年作り直されたばかりでとても学校とは思えないで
 デパートの1室のようなトイレだった。
とくにこの文、長すぎるせいかミスが目立ちます。
「トイレは…(略)…トイレだった」(主語繰り返し)
「回り」(造り?)
「綺麗で」「ばかりで」(「で」重複)
「学校とは思えないで」(入力ミス?)
「デパートの一室」(「デパートのトイレ」では? 一室という表現はどうかと?)

書き換え例。
「神谷の中学校は私立だけに、比較的綺麗な造りだった。
 特に、今年作り直されたばかりのトイレは、手洗い場もまるで大理石のようにピカピカに磨かれ、
 学校というよりデパートのトイレを思わせる。」
……難易度高いです。書き換えにも苦労しました。
それ以前に、「トイレの描写なんていいよ。とっとと先に進めよ」
っていうのが読者の本音かもしれない……。

776も言ってるけど、
まず簡潔でわかりやすい文章を書くことを心がけ、それをクリアしたのちに、
徐々にニュアンスをつけ加える書き方をめざしていった方がいいと思う。

778775:2005/06/22(水) 18:43:11
診断ありがとうございます!
今一から読み直してみました。やっぱり読みづらいですね・・・・。
濁点や重複、さらには書き間違いまで・・・・(´・ω・`)
なるべく簡潔に、それでいてわかりやすくするように頑張ってみます。
ついでに辞典とかで勉強もしておきますね・・・・

後板違いなんですがやっぱりそのキャラ主点に動く時は、そのキャラのする行動等は
意味を持たせたほうがいいでしょうか?

779イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/22(水) 19:04:15

動機?ストーリーに対する意味?
後者は確実に必要かと思われ。

780イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/24(金) 02:20:57
冒頭シーンなのですが
多少なりとも「続きを読みたい」と思わせられる文章を作るのに四苦八苦してまして、ご教授頂けたら幸いです。

――

高級マンション。
築五年の二十二階建て。駅から徒歩五分。敷金礼金ゼロ。部屋割りはY3LDK(約二十三坪・賃料五十万円)からADF(約九坪・賃料十五万円)まで。
システムキッチン、ユニットバス、オートロック、ルームサービス、CS・BSアンテナ、セキュリティまで完備。利便性を重視した好立地。溢れ出す高級感を質素に抑えた無駄のない構造。住む人々に上質な暮らしを約束する最高の物件である。
その上なんと凄い事に――


――住民が全員ヤクザ。


「はぁ・・・・・・これ終わってから学校・・・・・・間に合うか?」
 げんなりと、大して高級でもない腕時計に視線をやる。
自分の事ながら、時計を身につける習慣は今時の高校生にしては珍しいと思う。
時刻は午前五時。
時計の文字盤を覆うガラスに反射する俺の顔は、誰がどう見ても疲れているようにしか見えないだろう。普段はさらさらストレートを保っているセミロングの黒髪が、へたれたワカメみたいになってる。友人に鷹のようだと言われる眼も、今は死んだ魚に例えた方が的確だ。眠気の無い時なら引き締まっているはずの口元も半開きだし、その上涎まで垂れている。
口元を拭い、時計の日付表示を見た。
日付は七月の一日。
既に至福の日曜日は終わりを告げて、学校の始まる憂鬱な月曜日に差し掛かっている。
だというのに、なぜ俺は自宅から遠く離れた高級マンションの非常階段前に居るのだろう。
(これから菊池組の組長の所に乗り込んで、手打ちを申し入れるためっすよ?)
 鼓膜を介さず、脳に直接響き渡る声。いや、声と言うには語弊があるかもしれない。これは俺と《意識同調》している上条 遊佐と言う名の若衆・・・・・・つまり俺の部下にあたる人物から送られてきた意思である。
送られてきたという表現も、適切では無いか?
俺と遊佐は今、俺の肉体を二人で共有している。
つまり、「お前が俺で、俺も俺で」状態なのだ。
(なんか、わかりにくい表現っすね・・・・・・)
 俺もそう思う。一つの肉体に二つの高次元霊的意識構造体、通称《霊識》を入れている状態と言った方が、良かったか。
(若ぁ、前から疑問だったんすけど・・・・・・高次元なんとかって何すか?)
「まあ・・・・・・便宜上の造語だから、深い意味は無い。《霊識》が幽霊やら魂みたいなもんだと分かっていれば充分だ。それより若って呼ぶなっ。俺は組の跡を継ぐつもりなんて無いんだから」
(でも若が若じゃなくなるってことは、若の部下やってるボク達は、仕事がなくなって破門されちゃって路頭に迷ってダンボールハウス作りの名人になって空き缶拾いに就職して、月に一度の安いお酒を楽しむ世知辛い生活を送るはめに・・・・・・いえ、今のは聞かなかった事にしてください。若は若のやりたい事をやってくれれば、ボクたちにとってはそれが一番なんです・・・・・・ううっ・・・・・・ぐすん・・・・・・ひっく・・・・・・うぇぇ)
「ああああ、やめっ! 《意識同調》してる時に落ち込むな! 感情も共有してんだから、こっちまでなんかヘコんでくるだろ・・・・・・」
 全身に纏わりつく切なくて寂しい感情に胸を痛ませながら、なんとか遊佐をなだめようと試行錯誤する。「遊佐、元気出せ」(・・・・・・若ぁ)「わかった、俺が悪かった、若でいいから」(やたっ! 若、これからもよろしくっす!)「・・・・・・」
今更ながら、今回の行動のパートナーに遊佐を選んだのは大きな失敗だったのかもしれないと後悔してます。ああ、帰ろうかな・・・・・・
(し、失敗とか言わないで下さいよ! ボク、仕事はちゃんと頑張りますから!)
「とりあえず、期待してるぞ・・・・・・?」

781イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/25(土) 03:31:19
>>778
質問の意味がよくわからない。
それよりまず「自分ならどうするか」考えて書いてる?
たとえば、冬のさなかでも、相当意図的にやらないと窓ガラスが曇るほどのため息って出ないとか、
自分がそんな巨大なため息をついておきながら、しかも三度めであるにもかかわらず、
教師に注意されてびっくりするかとか、
そんな生徒がいて、自分が教師とかクラスメイトだとしたらどうリアクションするかとか。
ごめん。どうも不自然。

782イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/25(土) 03:55:32
>>780
いきなり特殊な設定を口頭で(地の文でも)説明しはじめるのではなく、
肉体を二人で共有している状態を、行動なりで表現する方がベターだと思う。
他人がそんな状態の主人公を相手にして混乱するとか、
いっそことのはじめにさかのぼって回想とか、もっと見せ方に工夫が必要。

あと、私は不動産情報にくわしくないので、ADFとか言われてもわからないです。
そういう、読者がひっかかりそうな単語を省いて、もすこし短縮してもいいのでは?
>その上なんと凄い事に
というより「ただ、唯一の問題は」じゃ?

キャラや掛け合いはおかしくて魅力的。
遊佐の一人称「ボク」がなんかいい。

783イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/25(土) 16:19:04
冒頭です。人に見せるのは初めてですが、批評お願いします。

「気がついたかい?」
 十七、八歳の男の子が、声をかけてきた。黒い瞳が印象的な美少年だ。やさしげな顔立ちや小柄の体格のために、少女のようにも見える。
「ここはどこ? わたしはだれ?」
「ここは僕の家だ。君のことは、よくわからないけど、川で拾った」
 私の質問に、少年が簡潔に答えてくれた。
「でも、普通、自分のことじゃなく、僕のこと聞かない?」
 少年の指摘に、うつむいて視線をそらす。自分でも赤面するのがわかった。
「ていうか、君のこと聞きたいのは僕の方だけど。僕はユウ。君は?」
「わたしの……名前?」
 名前を思い出せず、つい問い返してしまった。
「わからない。わたしは、わたしはだれ?」
「も、もしかして、記憶喪失……なの?」
 少し考えて、微かにうなずいた。
 わたしは誰なのか、何をしていたのか、それさえも記憶にない。
 そう答えると、ずっと微笑を浮かべていたユウの顔が、一瞬、困っているような、驚いているような表情に変わり、またすぐに戻った。
 わたしは何と言えばいいかわからず、口を閉じた。
「え、えーと、お腹空いてない?」
 重くなった空気を払うように、ユウが話題を変えた。
 わたしが答える前に、お腹が勝手に返事をする。
 わたしは、とっさに顔を隠した。手の奥では、また顔が真っ赤になっているに違いない。
「ちょっと待ってて」
 そう言ってユウは部屋を出ていった。
 外からは何やら話し声がするが、聞き取れない。
 何気なく横を向くと、十六、七歳の女がいた。
 その深い翡翠色の瞳に、意識が吸い込まれる。
 その淡い黄金色の髪に、視線が引き寄せられる。
 あまりの神々しさに、身動き一つできない。
 しばらく見詰めあった後……気がついた。目の前にある鏡に。
 わたしが見とれていた少女は、わたし自身だった。
 鏡に映った顔がみるみる朱に染まっていく。
 誰もいなくてよかった。
 そう思った瞬間。
「あなた、ずいぶんと自分が好きなのね」
 わたしは飛び上がりそうなほど驚いて振り向いた。
 部屋の入り口には、ユウによく似た、背の低い少女。十四、五歳くらいだろう。笑いながらわたしを見ている。
「スープ持ってきたわ」
 そう言いながら、わたしの所に歩いてきて、どうぞと、湯気が立つお椀を差し出した。
 温かいスープからは食欲をそそる匂いがする。
 ふぅふぅと冷ましながら一口すすってみた。
 おいしい!
 もう一口飲もうとしたところで、使ってとスプーンをわたされた。
 スープには野菜や魚介類がふんだんに使われていて、とても美味だった。
 わたしはそれを、むさぼるように食べた。いつの間にか、お椀が空になっていた。
「ずいぶんお腹が空いてたのね」
 からかうように少女に言われ、顔から火がでそうだ。羞恥心で体がいっぱいになってしまった。
「姉さん、あんまりいじめちゃ、ダメだよ」
 ユウが戻ってきて少女をたしなめた。
 ……姉さん?
 少女に視線を向ける。
 どう考えても、ユウより年下にしか見えない。
「ホントに姉? って思ってるでしょ」
 図星を指された。ユウの方を見て、ごまかす。
「自己紹介がまだだったわね。あたしはエセル。これでも二十一よ」
 エセルを凝視する。
 ……何か見覚えがあるような気がした。
 鏡を見て、確かめる。
「気がついたみたいね」
 髪と瞳の色を変えれば、エセルは鏡に映っていた女に、つまりわたしにそっくりになる。もう何年かするとだけど。
「あなたは、だれ?」
 声が震えてしまった。
 必死に頭をめぐらせても、何が何だかわからない。
「それはあたしのセリフよ。ホント、あなた何者?」
 エセルの問いに、いくら考えても答えることができなかった。

784テーマは若年性テロリズム:2005/06/25(土) 21:09:00
さすがにもっと文章に肉付けするけどこんなもんでどうでしょうかね?


十二月三十日。曇り。再開発のために一時的に生み出されたサラ地。
そんな時間と場所で、僕らは三度おちあった。
彼女は普段より厚手の服装をして、彼は普段より薄手の服装をしていた。
「そんな格好で寒くない?」「そんな格好で暑くない?」と、いつも通りの間抜けなあいさつを交換する。
彼女は犬を連れていた。珍しくもない灰色の雑種犬。
「私が代わり散歩しているだけ。そもそも動物を飼うという習慣は……」
「あぁ、もういいよ。僕は暇じゃないし」
だってそうだろ? クサっても僕は受験生。
「どうせ私たちは暇人なんだよ、いつ集まろうと、どこに集まろうと問題はないじゃないか」と滑稽な声音で続ける。
「まぁ、私は自営業みたいなモノだからいいけど、受験生が暇人ってのは、ちょっと問題だよね」
「はぁ、そうですね」
腑に落ちないままの返答、こんな場所で彼女特有の入り組んだ長弁舌を聴いても、気がめいるだけ。
なんで、彼女の呼び出しに応じてしまったのだろう?
地面を見ると、廃材の破片、乾いた土塊、生気を失っている雑草があって。
「まぁ、君を今日、呼び出したのは、わかっているだろうけど進行状況を確認しようと思ってね」
天上を見ても、祝福すべき新年が数時間後に訪れる、そんな予感を拒絶する憂鬱な曇天。
「誰もが共和国建国六十周年を祝う準備で忙しいし、浮かれきっている」
周囲を見ても、青灰色の公団住宅、背の低い堤防、ドブ川。
「機は熟したんだ」
思わずこんな独り言を言いたくなる。『せめて、こんなところに呼ばなくても……』と。
どこから、とこなく救急車のサイレンが聞こえてきた。
そのサイレンも距離による音量の軽減、ドップラー効果、遮蔽物による反響の影響で、不気味なほど音量が上下する低音となって響く。
「まぁ、大晦日といっても死ぬ人間も居るし生まれる人間もいるだよね」と彼女はうれしそうにつぶやいた。
僕には『うれしそう』としか形容の出来ないつぶやきだった。
サイレンが遠のくと今度は彼女の連れている犬が騒ぎ始めた。

785イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/26(日) 14:47:24
>>783
「ここはどこ? わたしは誰?」って……ギャグならともかく、どう?
情景描写がまったくない。舞台となる場所が鏡しか描かれていない。
私の頭のなかでは主人公が真っ白な空間の真ん中にいて、宙に浮かんだ鏡を見ています。
主人公、記憶をなくした人のわりには、ずいぶん呑気だなとも思うし。
腹が鳴ったくらいで恥ずかしがってる場合かよ!と突っ込みたくなりました。

描写は足せばいいですが、冒頭、記憶喪失の美少女が……というのは。
よほどひねらないと新鮮味を感じさせないと思う。

ですが、文章は非常に読みやすい。
スムーズに言いたいことが伝わる、テンポのいい文。これはあなたの武器ですね。

786イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/26(日) 15:30:39
>>784
悪いんだけど、私は、感性を前面に押し出したこういう文章にツボがありません。
ので、その点については、こういう文が好きな方に批評してもらった方がいいと思う。

肉付けというより推敲が必要。ほかの人もだけど、誤字脱字が多い。
人称も「彼」か「僕」かに統一すべき。
>「あぁ、もういいよ。僕は暇じゃないし」
>「どうせ私たちは暇人なんだよ、いつ集まろうと、どこに集まろうと問題はないじゃないか」
同一人物の発した言葉に見えて、暇か暇じゃないのかと混乱する。
こういう文章は独りよがりな印象を与えがちだから、なおさら注意が必要なのでは。

あと、十二月三十日が大晦日って、そういう特殊設定?

787783:2005/06/26(日) 16:10:42
>>785
>私の頭のなかでは主人公が真っ白な空間の真ん中にいて、宙に浮かんだ鏡を見ています。
言われてみれば情景描写ぜんぜんないですね。orz

キャラとありがちな冒頭は再考します。……プロット作り直しかぁ。orz

参考になりました。ありがとうございます。

788イラストで騙す予定の名無しさん:2005/06/30(木) 19:27:03
連続になるけど、俺も晒してよいですか。
>>783の人と同じく、これもやっぱり冒頭部分です。

 ああ、やっぱりこうなってしまうのか。
 半ば他人事のように、春樹真人は心のなかで呟いた。
 他でもない、己の身に起こっていることだ。それが分かっていないわけではないのだけど、どうにもそれがしっくりこない。
 なぜ、こんなに落ち着いていられるのだろう。彼は不思議で仕方がなかった。なんというか、こういう時はもっと、大いに取り乱してパニックに陥ったりするものではないのか。小説やドラマなんかでは大抵そうだから、現実でもきっとそうなのだろうと思っていた。
 もっともそれはあくまで「思っていた」だけであって、実際にそうなった人を見たことがあるわけではない。もしかしたらフィクションで描かれているのは全くのウソで、これこそが正常な反応であるという可能性だってあるわけだ。
 ともかく、だ。見当外れの方向に行きかけていた思考に、彼は方向修正をかけた。今は、そんなことはどうだっていいのだ。なにせ、今彼は死にかけているのだから。
 繰り返しになるが、こんなのは彼にとっても初めてのことだ。今までは死ぬような怪我なんてしたこともなかったし、誰かがそういう目に遭っているところを目撃したこともない。だからその「死にかけている」というのもやっぱり感覚的なものに過ぎないのだが、この部分についてだけは、彼は絶対的な自信をもっていた。死期を悟る、とかいうほど大げさなものではないが、感覚としてはそれに近いだろう。自分に死というものが刻一刻と近付いてきているのが、ありありと感じられる気がした。
 少し首を起こして、問題の部分――左のわき腹あたりに目を向けてみる。明かりがない上に、どうやら目が霞んできているようだ。見えにくいことこの上なかったが、それでもなんとか、自分のシャツに赤黒い染みが広がっているのが確認できた。
 刺されたわけでもないのに出血しているというのは、どういうことだろう。もしかしたら、折れたアバラがお腹の肉を突き破って、外に飛び出しているのかも知れない――そこまで考えるとさすがに少し怖くなって、彼は目を閉じた。
 ふ、と全てが暗闇に閉ざされる。なんだかもう、痛いんだか苦しいんだか、よく分からない。もしかしたら自分はこのまま、もう二度と目を開けることはないのかも知れないけど、これ以上は無理だ。このまま、なんだかこのおかしな気分のまま、闇に沈んでいったほうがまだマシかも知れない。
 そうやって、いよいよ死というものをはっきりと意識したとき、ようやく彼の胸に後悔の念が押し寄せてきた。どうしてこうなったんだろう。一体、何がいけなかったんだろうか。
 死にたくない。そんな当たり前の情動も、この時になってようやく生まれ始めた。死にたくない。自分には、まだやりたいことがある。
 だけどそれも、激しい悲嘆となって彼の心を支配するというほどではなかった。何か大したことのない、例えるならどこかへ出掛ける予定がある日の朝起きたら雨が降っていて、ああいやだな、と思うのと同じぐらいのレベルだ。
 どうしてだろう。どうして自分はこんなにも、落ち着いていられるのだろう――
 ゆっくりと意識を失っていく間にも、彼はそんなことばかり考えていた。
 こうなることを全く予想していなかったと言えば、うそになる。だけど、では死ぬ覚悟が出来ていたのか、と問われれば、間違いなく彼は首をかしげただろう。
 それではいったい何故、彼はこんなにもあっさりとした態度で居られたのか。
 もしかしたら、彼はその時すでに予感していたのかも知れない。これは、終わりなどではない。始まりなのだ、と。

これだけじゃあなんとも言えない、とお感じになったら、もう少し先まで晒しますので、お申し付けください。

789イラストで騙す予定の名無しさん:2005/07/09(土) 17:16:53
>>788
スタートのアイデアはよい。
どうなるのだろうと引き込むものがある。
文章のリズムもよい。

ただ、悪いことは言わない。
「なぜ、こんなに──」から「──感じられる気がした」の部分は
全て削れ。

冒頭に「とにかく」は避けろ。

「とにかく(兎に角)」を使うと、
それこそ兎に角をつけるような違和感とともに、
話の流れが切れてしまう。

そういう効果が必要なこともあるだろうが、
最初のスタート時点では、できるだけ使わない方がいいと思うぞ。

さておき、主人公が死の淵から舞い戻るところから
話を始めるというアイデアは面白いと思う。
主人公をそういう目に合わせた敵がいることを暗示。

また、感情と感覚をバランスよく拾い上げる一人称型三人称の
文体は、将来の主人公と敵との激闘をしっかりフォローすると
思われて、よい雰囲気。

790イラストで騙す予定の名無しさん:2005/07/13(水) 20:27:41
>788
789と同意見になるけど、「ああ〜(中略)ありありと感じられる気がした」
ここ全部いらないっぽい。いらないというか、「なんなんだこの状態は」という
感じの独白を一行ないしは数行ていどにおさえて、さっさと脇腹の描写に入った
ほうがテンポよく読めると感じたです。
「死にかかってる」とまえもっていわなくても、怪我部分を見たら「死にそう」
ってわかるので、まず描写に語らせてから「あー俺って死ぬのか…」と独白
入れるほうがいいかな。

791未だ題名も決まっていない話。:2005/07/18(月) 02:26:29
このスレッドの人々の投下する話を読んでるとほんとに自分の作品の拙さが目に見えてしまいますが……
それでも勇気を持って投下してみます。ぶっちゃけ少なすぎて意味わかんねーと思いますが、こき下ろしてくださいお願いします。

・・

 暗闇に、雨音と波音が続いている。



「――起きろ、」

 完全な漆黒の中、唐突に命令形の言葉が生まれた。
 雨雲が夜の光を遮り、あらゆる視覚が意味を失うその場所に、何かがいる。
 言葉は、何かに向けられている。

「起きろ、逃げるぞ――」

 再び繰り返す。
 応じる者がいるのか、そこにいる一人の人間は、早急にその場所からの逃走を望み、呼びかけていた。その間も雨音は途切れず、彼方には雷鳴も轟く。稲妻の明かりもまた雲の中で生じているのか、彼ら、もしくは彼女らには届かない。
 声が小さ過ぎたのか、あるいは雑音に紛れたのか、返答はなかった。だが、―――そこに言葉でも雨音でも雷でもない、新たな音が生じた。それは初め、木の板の上を歩くような効果音で、水面がそれまでの規則性を破って波打つ気配を伴った。

「…………息を吸え、後は――俺に任せろ。暴れるなよ――」

 最初の声が、今一度呼びかけた。
 返答らしい返答はやはりなかったが、しかし微かに、低く唸るような――注意深く聞けば肯定に聞こえなくもないような別の人間の声が漏れ、
 すぐにそれは、水へと飛び込む音に消えた。

・・

冒頭部分、こんだけです。どうなんでしょうか。

792788:2005/07/18(月) 21:54:21
返事が遅れてしまってすみません。

みなさんが仰っているように、やはり少しくどいですね。
こうして横書きに直してみると、違った目で見ることが出来るのでいいですね。

とりあえず、要らない箇所があるというのは間違いないと思います。
最終的に、これの半分ぐらいの長さにするのがいいでしょうね。

では。

793イラストで騙す予定の名無しさん:2005/07/21(木) 00:33:41
>>791
こきおろすにも材料が少なすぎて……。
文章はきれいだと思うんだけど、なんだか持って回った言い回しが連続して
内容を理解するのに時間がかかる。
そういう雰囲気を意識しているのかもしれないですけど、
冒頭はすばやく読者を引き込まなければいけないから、危険かも。
雰囲気を取るか、読みやすさを取るか。
分量が少なすぎてそれくらいしか言えません。

ところでみんな、自分の文投下するだけじゃなくて、ほかの人の批評もしてあげようよー。

794イラストで騙す予定の名無しさん:2005/08/30(火) 21:07:55
思いつくままの言葉を文章にしてみたのですが、やっぱりレベルが低すぎでしょうか?
他人に自分が書いたものを見てもらう機会がなかったので心配です。
どんな感じで書けばいいかアドバイスなどありましたらよろしくお願いいたします。


夏が終わる。夏が終わる。夏が終わる。
――夏が終わってしまう!

上雲八幡、高校2年の夏もあと1週間で終わってしまう。
何の思いでもなく、何もせずに夏が終わってしまう。
今年だけではない。去年も一昨年もその前も。

今まで16年生きてきて記憶に残る夏など一回もなかった。
旅行にも行ったことがない。お祭りも地元のしょぼい神社に男友達と行ってまずい焼きそばを買って、家で食ったことしかない。

「俺の人生って終わってる」

たとえ今日死んだところで俺には灯相馬なんて絶対見えない。

―あと俺は何回同じ夏をすごすんだろうか。
そんなことを考えているといつの間にか眠気が襲ってきた。

外ではセミが最後の一鳴きとばかりにわめき、近所の公園から聞こえる子供たちの声
蒸し暑いコンクリートジャングルの中を駆け抜ける、夏の終わりを告げる風

どこからともなくリーン、リーン、リーンと風鈴の音が聞こえてくる。
あぁ俺はきっと残りの夏もこうやって同じ様に寝てばかりの夏を過ごすのだろう。
そう考えている内にいつの間にか眠っていた。

795イラストで騙す予定の名無しさん:2005/08/30(火) 21:08:25
※第1章

僕は海に立っていた。
正確に言えば砂浜の波打ち際。
見たこともない青い海と白い砂浜。
空には雲ひとつなく、水平線さえぼやけて無くなってしまいそうな海に、空と海を分けんとする船が一隻水平線に沿って走っている。

「どこだ?ここ?」
自分で言って置きながらハッとした。

そうだ。僕はこの景色を見たことがない。

いや、見たことが有るには有る。テレビや本でだが。
しかし、それにしてはやけにリアルだ。

僕の記憶にある海は、湘南の人ごみと黒い砂浜、濁った海。
そんな世界とは別世界のようでいて、僕の足に時々かかる水はやけに冷たく、時折吹く風は暑さを吹き飛ばしてくれる。

――あぁそういえば今年は崇と海に行ってないなぁ
毎年なんだかんだであいつと一回は海に行ってた気がするが今年はそういや行ってない。

まぁそんなことはどうでもいい。
あいつと海に行ったところで海にも入らずに日陰でダラダラしているだけだし。

ザバンッと大きな波が俺のひざ小僧までぬらしていった。
まるで「こっちへ来い」と呼ばれているような気がしてくる。

もう一度ザバンッと今度は腰の辺りまで波が濡らしてて行った。

796イラストで騙す予定の名無しさん:2005/08/30(火) 21:08:58
いや違う。
波が高くなっているのではない。俺が海に向かって歩いているのだ。
いつの間にか浜辺から五メートル以上はなれている。

―あぁ、でも気持ちいい。
いつの間にか風は止み、真上にある太陽は一段と大きく見えて、夏を感じさせる暑さと、それを冷まさんとする水の冷たさがとても気持ちよく感じた。

そんな事を考えていた刹那だった気がする。

「行っちゃダメ!」

世界が割れるかと思うほどの声で後ろの浜辺のほうから、普通の人よりちょっと高めの声で、でも全然癇に障る声でもなく。その声が僕が歩み続けていた足を止めた。

いつの間にか俺の胸ほどまでに水の高さが来ていたみたいだ。

「そこは行っちゃダメなの。あなたはそこには行っちゃダメ。あなたはこちらとあちらの真ん中にいるべき人だから。そこはダメ」

止めた足を今度はひねり、浜辺を見る。
そこには一人の女・・・いや少女が立っていた。

797イラストで騙す予定の名無しさん:2005/08/30(火) 21:09:50
どこを見るでもない。
俺しか見ていない目。
真っ直ぐこっちを見ている瞳。

それは間違いなく僕にかけられた言葉だと一瞬で理解できた。

「君はだれ?俺はどうしてここに・・・ここはどこ?」
「私は私。あなたはあなた。ここはここ」

相変わらずの真っ直ぐな瞳で俺を見ながら彼女の口は微笑んでいる。
まるで吸い寄せられるかのように、僕の足は今度は来た道を戻っていた。

「もうすぐあなたに会えるから。もうすぐ私と会えるから。そしたらあなたはすべてを受け入れる」

彼女がそういい終わるか終わらないかの刹那の瞬間。
俺は彼女に殴られたかと思うほどの衝撃をほほに感じていた。

段々と覚醒していく記憶
今まで開けていると思っていたまぶたが少しずつ光を取り込んでいく。
光が完全に目になじんだそこは見慣れた部屋と見慣れた片方の足。そしてもう片方の足は俺のほほに乗っており、その見慣れた部屋の中に見慣れぬ人物がいた。


以上がプロローグなのです。長くなりましたが、よろしくお願いいたします。

798イラストで騙す予定の名無しさん:2005/09/01(木) 22:46:13
通りすがりだけど、ざっと読んだので。

文章はさほど悪くはないと思う。読めたから(基準はそこか)。
ただ、書きなれてないのがよく判ってしまうのはなんとも。
とりあえず、文頭一字あけと「・・・」ではなく「……」を使うといいよ。
それから、これはもう今はさほど言われてもないし市販小説でも違ったりするんだけれど、
やっぱり文章中の数字は漢数字が嬉しいです。
上雲八幡って、名前? あんまり名前っぽくないから、学校名なのかなんなのか判断がつきません。
改行がやたら多いのは、ここに載せるから見せやすくするため? そうでないのなら、非常に厨臭いオンライン小説のようで微妙に心地悪いです。

夏が終わる。
と言う始まりは夏好きにはたまらん感じに惹かれました。
ただ、惜しむならばそれを生かしきれてないかなぁ。あと、擬音が正直あまりに安直で安すぎる。
リーン、リーン、と風鈴は響きませんw
風鈴の音、聞いたことある? リーン、リーンだとどうしても鈴虫っぽいw
どうせなら、冒頭の「夏が終わる」は全部はしょっちゃって良いかも知れない。
インパクトを狙うなら、だけど。(ただ、私個人としては夏が終わる、というその焦燥感は好きだ)

気になった部分。

「近所の公園から聞こえる子供たちの声」……「近所の公園からは、子供たちの騒ぎ声が響き〜」など、きちんと文章として成すこと。
「世界が割れるかと思うほどの声で後ろの浜辺のほうから、普通の人よりちょっと高めの声で、でも全然癇に障る声でもなく。」
……文章として成すこと。文頭の前半をまとめ切れてないので、意味がわからなくなっている。
後、個人的に「世界が割れるかと思うほどの声」が甲高いのは想像つかない。
「刹那の瞬間」……重複文。「刹那」も「瞬間」もおなじ。「刹那」使いすぎると厨臭いので気をつけて。

ざっとはこんなかんじかなぁ。
通りすがりが辛口でごめんなさい。がんばって完成させてください。

799イラストで騙す予定の名無しさん:2005/10/13(木) 16:32:04
短編の冒頭です。
出来れば、批評をお願いできないでしょうか。

 大学からの帰り道。スーパーでの買い物を終えた僕は、寄り道せずに家路を急いだ。
 ここ最近は、毎日こうしている。友人の誘いも、全部断って。「付き合いが悪い」と言われようが、構うものか。僕にはもっと大事なことがあるのだ。
 アパートの階段を上がり、部屋のドアを開ける。日当たりの悪い、六畳一間の安アパート。本来なら喜び勇んで帰って来たくなるような場所ではない。だけど――
「おかえりなさい!」
 無言でドアを開けた僕を、彼女の元気な声が出迎えた。同時に、部屋の奥から彼女の笑笑顔が飛び出してくる。薄暗い廊下が一気に明るくなるような、そんな笑顔。
「ただいま」
 僕も思わず笑顔になりながら、帰宅のあいさつをする。すっかり当たり前になった感のあるこのやりとりを、僕は喜ばしく思っている。誰だって、誰も居ない部屋に帰るよりは、出迎えてくれる人が居るほうが嬉しいものだ。たとえそれが――
「ねえ、買ってきてくれた?」
 彼女の明るい声が、僕の思考を遮る。
「ああ、うん」
 僕は、手に提げていたスーパーの袋を差し出した。彼女は僕から受け取ったそれを一通り確認すると、
「うん、オッケー。今から作るから、ちょっと待っててね」
 僕の返事を確認する間もなく、彼女の姿はキッチンへと消えていく。彼女の長い後ろ髪が、僕の視界の先でふわりと揺れた。彼女の甘い香りが、僕の鼻腔をくすぐったような気がした。本当はそんなこと、絶対にあり得るはずがないんだけど。
 部屋に上がり、ぼんやりとテレビを眺めながら待っていると、やがて彼女の料理が出来上がった。いただきます、と言って、彼女の手料理を食べ始める。おいしい、と連呼しながら。彼女は僕が食べ終わるまで、その様子を横からじっと、嬉しそうに眺めている。彼女が作った料理を、彼女が口にすることはない。たぶん、もう二度と。
 食事が済んで、テレビを見ながら彼女と過ごすうちに、寝る時間になった。布団を敷き、横になる。僕一人で。彼女は僕が寝るときになると、部屋の外へ出て行く。僕に気をつかっているというのもあるのだろうけど、僕が寝ているのを横で眺めているのは彼女自身辛いのだという。自分の立場を改めて思い知らされるような気がするのだとか。
 僕と彼女は、触れ合うことはない。別にプラトニックだとかそういうことではなくて、単純に「出来ない」のだ。だって、彼女は――
 幽霊だから。
 僕が彼女と出会ったのは、僕のアパートの近くにある、小さな公園だった。ベンチに腰掛け、一人で寂しそうにしている彼女の姿が、僕には何故か見えてしまったのだ。
 むろん、僕は最初、彼女が幽霊だなんて夢にも思わなかった。見た目には、普通の人間と何も変わらないのだ。彼女に声をかけたのは、なんだかそうしないといけないような気がしたから。僕が声をかけなければ、彼女はずっと独りきり。何故だか、そんな風に思った。
 最初に、なんと声をかけたのか。僕はよく覚えていない。だけど、声をかけられて、びっくりしたような顔で振り向いた彼女の顔を、僕は一生忘れないだろう。その一瞬で、僕は恋に落ちてしてしまったのだ。
 それからは、夜になると公園に行って彼女と話をするのが日課になった。何を話したのかは、やっぱり覚えていない。話の内容なんて、どうでもよかったんだと思う。ただ彼女と一緒に居られれば、それでよかった。彼女の口から、彼女が幽霊であることを聞かされたときも、僕は自分でも意外なほど驚かなかった。たぶん、そのときにはもう、そんなことでは揺るがないほどに彼女のことを好きになってしまっていたのだろう。
 僕の部屋に来たい、と言い出したのは彼女のほうだった。むろん、僕は二つ返事で了承した。それから、彼女が一日のほとんどを僕の家で過ごすようになるまで、さほど時間はかからなかった。
 彼女は、何でも出来た。物に触れることも、さっきみたいに料理をすることも。普通の人間と変わりなく、なんでも出来てしまうのだ。ただ一つ、「人と触れ合うこと」を除いて。
 それが障害になっているといえばそうなのだろうけど、僕は気にしていない。朝、彼女が起こしてくれて、送り出してくれる。講義を終えて、家に帰れば彼女が待っている。僕には、それだけで十分だった。

800799:2005/10/13(木) 21:54:46
少し補足。
なぜ「僕」に「彼女」が見えたのかは、この後明らかになります。
彼らが本当に今の関係でお互いに満足しているのかということも、
この後問題になってきます。

801イラストで騙す予定の名無しさん:2005/10/13(木) 22:11:26
設定、ストーリーはおいとくとして(というかこれだけじゃ何ともいえへん)。
句読点の使い方をもうちょっと何とかした方が良いと思われる。
ぶつ切り過ぎだったり、変なトコで区切ってたり。

802 草薙?剛 朗読FU:2005/10/15(土) 12:28:00
 その日もボクは、大学の講義が終わると
近所のスーパーで簡単なゆうげの買い物だけを済ませて一目散に我が家に帰った。
 ここ最近は、ボクは毎日こうしている。
 友人の誘いも、全部断って。
「付き合いが悪い」と言われようが、構うものか。
 僕にはもっと大事なことがあるんだ――
 アパートの階段を上がり、部屋のドアを開ける。
日当たりの悪い、六畳一間のIKの安アパート。
     それがボクのお城――
本来なら喜び勇んで帰って来たくなるような場所ではない。
       だけど――
「おかえりなさい!」
 無言でドアを開けた僕を、彼女の元気な声が出迎えてくれた――
それと同時に部屋の奥からはこぼれるばかりの彼女の笑顔も飛び出してくる。薄暗い廊下が一気に明るくなるような、そんな笑顔。
「ただいま」
 僕も思わず笑顔になりながら、帰宅のあいさつをする。
すっかり当たり前になった感のあるこのやりとりを、僕は喜ばしく思っている。
誰だって、誰も居ない部屋に帰るよりは、出迎えてくれる人が居るほうが嬉しいものだ。
たとえそれが――
「ねえ、買ってきてくれた?」
 彼女の明るい声が、僕の思考を遮る。
「ああ、うん」
 僕は、手に提げていたスーパーの袋を差し出した。彼女は僕から受け取ったそれを
一通り確認すると、
「うん、オッケー。今から作るから、ちょっと待っててね」
 僕の返事を確認する間もなく、彼女の姿はキッチンへと消えていく。
彼女の長い後ろ髪が、僕の視界の先でふわりと揺れた。
彼女の甘い香りが、僕の鼻腔をくすぐったような気がした。
本当はそんなこと、絶対にあり得るはずがないんだけど。
 部屋に上がり、ぼんやりとテレビを眺めながら待っていると、
やがて彼女の料理が出来上がった。「いただきます」と言って、
彼女の手料理を食べ始める。「おいしい」と連呼しながら。
彼女は僕が食べ終わるまで、その様子を横からじっと嬉しそうに眺めている。
彼女が作った料理を、彼女が口にすることはない。たぶん、もう二度と。
 食事が済んで、テレビを見ながら彼女と過ごすうちに、寝る時間になった。
布団を敷き、横になる。僕一人で。彼女は僕が寝るときになると部屋の外へ出て行く。
僕に気をつかっているというのもあるのだろうけど、僕が寝ているのを横で眺めているのは
彼女自身辛いのだという。自分の立場を改めて思い知らされるような気がするのだとか。
 僕と彼女は、触れ合うことはない。別にプラトニックだとかそういうことではなくて、
単純に「出来ない」のだ。だって、彼女は―― 幽 霊 な の だ か ら。

803イラストで騙す予定の名無しさん:2005/10/18(火) 11:24:45
>>799

>本来なら喜び勇んで帰って来たくなるような場所ではない。
>だけど――

冒頭で逆接の接続詞を使うのは、やめておけ。

あと、>>801が句読点のことを指摘しているけれども、
文体は、とりあえず、よく言えば、独特だな。
それがいい方向にでるのか、悪い方向にでるのか、
今の段階では不明。

804イラストで騙す予定の名無しさん:2005/10/18(火) 19:25:17
何故冒頭で逆説が駄目なのか、それを説明してあげないと。

……てか、俺も知りたい。

805イラストで騙す予定の名無しさん:2005/10/20(木) 02:17:10
俺は801ではないが、そもそも接続詞を使いすぎるとテンポが悪くなる。
それに、事実が転換したというイメージがより強くなってしまう。ここは
あっさり、

本来なら喜び勇んで帰ってくる場所ではないのだけど――
「おかえりなさい!」

でいいと思う。あっさりしてて。

806803:2005/10/23(日) 19:34:10
>>804
逆接の接続詞を使うと、論理の流れが一つ増える。
その分に、読者に負担がかかる。

安アパートが普通は帰りたくない場所とか、さしたる
必要のない情報でしょ?

冒頭から、逆接の接続詞で、さしたる必要もない情報のために、
論理の流れを増やすっていうのは、読者にとってストレスが
たまると思う。

最初から、俺は読者のサイドの負担など気にしていない、と宣言する
ような態度にも思われ……。

だいたい、そんな感じ。

807788:2005/10/30(日) 23:32:01
上で晒した人はもう見てないかな?
自分が晒すばっかりだと申し訳ないので、僭越ながら感想を述べてみます。

>>795
上でも他の方が仰ってることですが、文章は特に問題ないと思います。
若干表現が拙いと感じる部分もありますが、
そういうのはきっと全部書き上げてから推敲する時に自然と修正できるのではないかと思います。
少し希望的観測ではありますが。
ただ、冒頭の独白の部分、僕の読み違いでなければ
寝転んであれこれ考えている状態なんですよね?
だとすれば、そのことを少しでも説明したほうが分かりやすいのではないかと思います。
何も情報がない状態からいきなり寝ちゃうので、少し唐突な感じがしました。
あと、これは好き好きかもしれませんが、
夢の描写はもっとぼかしたほうが夢っぽくなるのではないかと思います。

>>802
某巨大掲示板のスレで「晒す」と書き込んでた人ですね。
あちらではいろいろな意見がありましたが、
そこでの評判どおり文章はこなれている感じがしました。
やはり描写不足の感は否めませんが。
ここで言われている句読点についてですが、
僕は気になりませんでしたがこれだけ同じ意見が出ているのですから
気をつけるべきではないかと。

808788:2005/10/30(日) 23:35:11
さて、連投になってしまいますが、>>788で晒した作品を本格的に執筆することにしたので、
冒頭の部分もここで頂いたご意見を参考にして修正しましたので載せておきます。
もしよければまたご意見いただけないでしょうか。


 ああ、やっぱりこうなってしまうのか。
 ぼんやりとした意識の中で、春樹真人は小さく自嘲した。
 春が近いとはいえ、まだ夜は底冷えする。背中で感じる地面の感触はまるで氷のようだ。
 うっすらと開かれた視界の先で、冬の星座がきらきらと瞬いている。死んだらお星さまになるってのは本当だろうか――なんとなくそんな考えが頭をよぎって、真人は思わず苦笑した。馬鹿馬鹿しい、夢見る少女じゃあるまいし。
 状況はどうしようもなくシリアスなのに、どうも頭がそれについていけていないようだ。なんだか思考にモヤがかかっていて、ろくな考えが浮かんでこない。痛いとか苦しいとかいう感覚も、気付けばいつのまにか無くなっている。いよいよ、おつむのほうも働きを終えつつあるらしい。
 ただじっと、真人は夜空を仰ぎ見ていた。べつに星の輝きに目を奪われていたのではなくて、たんに視界を動かしたくなかっただけだ。きっと今の自分の身体は、まるでスプラッタ映画に出てくる惨殺死体のようになっているに違いない。いくら頭がろくに働いていないとはいえ、そんなものを見てしまったらさすがに気分が悪くなるだろう。
 やがて、不意に光が差した。あいつが近付いてきたのだ。とどめを刺すつもりだろうか。
 小さく息を吐いて、真人は目を閉じた。俺の人生もこれで終わり。ずいぶんとあっけないものだ。昨日までは――いや、つい一時間ほど前までは、自分がこんなふうに死ぬなんて思いもしなかったのに。
 後悔はない。強がりではなく、本当にそう思う。今日一日の自分の行動を思い返してみたところで、悔やむべき点は見つからないのだ。他に選択肢があったとは思えないし、もし今日と同じ日が百回続いたとしたら、自分はきっと百回ともこれを同じ結末を迎えるに違いないと思う。
 自分にとって、この死は必然だった。意味はないけど、仕方がない。
 意味はない――ふいに浮かんだその言葉が、真人の心をずきりと痛ませた。死、というものに対してだけではない。一体今まで自分は、何のために生きてきたのか。形としては彼女のために死ぬわけだが、彼女から見れば自分など勝手に心配して勝手についてきて、勝手に巻き込まれて死ぬだけの男にすぎない。そう、彼女はとうとう最後まで自分のことを思い出してくれなかったのだから――
 まったく、なんてバカな話だろう。
 閉じたまぶたの奥から、一滴の涙が溢れ出た。その涙がゆっくりと、耳の裏側をつたって零れ落ちていくのを感じながら、真人の意識はゆっくりと闇へ呑まれていった。

809イラストで騙す予定の名無しさん:2005/10/31(月) 10:06:47
スラスラ読めますた。
個人的に気になるのは二点かな。

①「お星さま」→「星」で良い希ガス。
男で「お星さま」と言うのは生理的に……w


②意味はないけど、仕方がない
 ↑
 ここを強調するために、前後を改行した方が良いっぽ。

前)同じ結末を迎えるに違いないと思う。自分にとって、この死は必然だった。意味はないけど、仕方がない。
 意味はない――ふいに浮かんだその言葉が

 ↓
後)
同じ結末を迎えるに違いないと思う。自分にとって、この死は必然だった。


『意味はないけど、仕方がない』


意味はない――ふいに浮かんだその言葉が真人の心をずきりと痛ませた。死、というものに対してだけではない。


……あくまで自分個人的の、主観的な意見っす。
文章自体は読みやすかったですよ( ´∀`)

810イラストに騙されても負けない名無しさん:2005/10/31(月) 15:31:27
>>808
の文章は、何枚もある写真を描写しているようだ。
描写が単発で終わっている為、変化が感じられない。
もっと写真と写真の間を描写するべきだ。

例えば、真人のコンディションの変化が書かれていない為
「スプラッタ映画に出てくる惨殺死体」というよりも
「応急処置が終わった重傷者」的な印象を受けた。
この点を修正すればもっと迫力が出るのではないかと思われる。

811イラストで騙す予定の名無しさん:2005/10/31(月) 20:52:01
>>808
真人は痛みを感じてない?
地面が冷たいとは感じてるんだよね?
真人の感情の第一に来てるのは諦観?
真人のキャラは言ってしまえばクールだけど、大切なものには強い執着を示す人?
自分の死すら「どうでもいい」と思ってるような絶望系?
真人の感情は総括するともうぬるぽ?
そういや、血は流れてるのかな? アイツが近づいてきたけどヌルーされてる?

ここら辺が、感想と疑問点。全部疑問系なのは、続きを読まんときっぱりと分からないからね。
まぁ、参考にでも。

812808:2005/11/01(火) 01:42:12
みなさん、レスどうもです。
>>809
細かい指摘痛み入ります。
確かに男のくせに「お星さま」は変ですねw
訂正しておきます。

>>810
もう少し具体的に真人の状態を描写したらいいのですかね?
少し考えてみます。

>>811
ううむ、地面が冷たいと感じてるのに痛みは感じなくなってる、か。
確かにおかしいですね……
まあ感覚がなくなる前、倒れた直後から地面の冷たさは感じていたはず、
という言い訳はできますが、違和感があるのは否めない。

他の指摘は大体あたってます。
中でもヌルーされてるってのは正にその通り。
何故わかったんだ〜〜って感じです。
あと、後々語られることですが
この出来事は彼にとってあまりにも唐突な出来事であったので感情が麻痺している状態です。
本当はクールではなくて、もう少し素直というか、少年ぽい性格です。
大切なものには強い執着を示すってのはあたってますが。

813811:2005/11/01(火) 19:10:05
>>812
ふむ。なるほどありがとう。
冷たいのは分かった後にとしたいなら、その描写をいれる必要があると思う。
ex)その前に倒れた瞬間の痛みを熱として比較してみるという手もあると思う。
感情が麻痺しているとわかる描写がないと、読者が混乱してしまう可能性がある。
ex)異常な状況ならば、異常と捉えやすいように文体を(普段の文章と)変えてみるという手もある。

それと、真人という人物は死というものをとても身近に捉えている人物であるか、
とても空虚な人間であるようにみえる。
あなたの言う少年のようなイメージと(感情が麻痺していたとしても)繋げられない。
今後の文章で、キャラクターの一貫性がでるように気をつけておくといいかも。

疑問に答えてくれたので突っ込みやすくなりました。特にしたほうがいいんじゃない?って思うところはなかったんで。
ちなみにヌルーってのは止めを刺しに向かってきたんじゃねーのかよ! って思っただけです。
遠ざかってったほうがいいんでない? プロット上問題がないなら。




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