したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

●◎短編小説・曝し場◎●

13カサリズマ・メモリー 4/13:2003/05/05(月) 02:59
「何見とんじゃワレーッ!」
 少年は少女に向かって叫んだ。やはり青空の下で、やはり海を隔てて。
 ところで、足がなければ、少女には三角座りができない。注視したところで、少女の向こうに背景が透けて見えるなどということもない。
「ユウレイが真昼間から出てきてええんか」
 声が届く程度の大声で、単刀直入に訊ねる。少女は不思議そうな顔をして、首を横に振るばかりだ。
「お前の親は」
 以前にもしたことのある質問を投げかけるが、案の定少女は顔を曇らせ、首を振って否定した。ということは、やはり彼女は例のハンターの娘なのだろうか。だが、それを確認するのは酷な気がした。伸びをしながら、軽口を叩く。
「まあ、お前みたいなんがユウレイでも、オレはちぃとも怖くあらへんで。じぃっと見続けて、祟り殺せるワケでもなし」
「ちゃうっ!」
 少年は驚きのあまり、後ろへひっくり返った。少女が初めて言葉を発したのだ。自分と同じ言葉遣いで、怒鳴って否定した。
 ――ビックリさすな! お前しゃべれるんやないけ。
 と言おうとするも、少女は走り去って行ってしまった。少女がいなくなったここにいてもつまらないので、少年は自分の刀を拾って帰路についた。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板