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●◎短編小説・曝し場◎●
12
:
カサリズマ・メモリー 3/13
:2003/05/05(月) 02:58
ある昼時、少年は親父と一緒に野外食堂で茶漬けを掻き込んでいた。すぐ後ろの席で、世間話が聞こえてくる。
「どこにする? 廃屋なんて、そうそうないぞ」
どうやら、男女数人が肝試しをするために適当な舞台を探しているらしい。
「何言ってんの。廃屋っていったら、ここらには一つしかないよ。一年くらい前に、ハンターの一家が悪魔に殺されて以来、そのままにされてる家」
「ハンター? 悪魔狩りのことか?」
「違うの。普通の鹿とかウサギとか撃つ人。現場には他に誰もいなかったんだけど、事後調査では悪魔反応があったんだって。後には骨どころか、血の跡も残ってなかったってさ」
「やめろよこいつ。人がトマトジュース頼んだのに」
機嫌を損ねる男友達にごめんごめんと謝る女。それでなくても、食事時にする話ではない。少年に聞こえるということは他の客にも聞こえているということだが、普段からもっとモラルに反したことを平気でかます親父を持つので、少年自身は気にならなかった。
「でもさ、可哀相な話だよねえ。夫婦には、まだ小さい女の子がいたっていうのにさ」
スプーンを持つ手が止まる。――女の子?
「へえ、どうしたんだ? その娘は」
少し間があいた。少年は、自分の鼓動の変化を意識した。
「さあ。やっぱり、死んじゃったんじゃないの? 両親と一緒にさ」
「……どうしたこせがれ。糞か」
親父が語りかけてきたが、少年は青ざめたまま反応しなかった。この近辺で皆殺しに遭った、ハンター一家の娘……。
結局その日、それ以上食が進まなかった。
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