したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

放課後の吸血鬼

96妖怪に化かされた名無しさん:2020/03/20(金) 23:04:41
障壁は解除したのではない、維持できなくなったのだ。何故なら魅子の意識が途絶えたから。
美奈喪が去ったため魅子の身体は異空間からはじき出され、廊下の水溜まりの上にザバッと浮上する。
「魅子先輩!」
仰向けに倒れている彼女に、美姫と光流が駆け寄る。
「大丈夫、生きている」
彼の目はオーラ視覚を持つ、生命を輝きとして見る事ができる。
尤も、妖怪はその超常の生命力で超自然的な構造の肉体を維持している。だから妖怪は死ぬと大抵は肉体が崩壊する、即ち肉体が五体満足なのはまだ生きている証拠なのだ。
次いで彼は首筋に触れる。
「脈はある。けど、息してないぞ!」
美姫はバッとその場にしゃがみ込むと、魅子の頭を仰け反らせ、その鼻を摘む。
「気道確保!」
彼女は迷うことなく、大きく広げた口で魅子の口の辺りを覆う。マウス・トゥ・マウス。フウッ、フウッとリズミカルに息を吹き込む。
彼女が息を吹き込んでいる間、光流は魅子の手を取り脈を確認しつつ、なけなしの体力を費やしてヒーリングを行う。
程なくして蘇生はなった。ビクンと魅子の身体が痙攣し、ゲホゲホと咳き込みながらゆっくり目を開く。
「先輩っ!」
「魅子ちゃん」
二人が見守る中、彼女はゆっくりと上体を起こす。
「助かった。ありがとう、美姫ちゃん。手塚君も」
ふと、悪戯っぽい笑みを浮かべて、人差し指で自分の口をツツッとなぞり美姫を見る。
「あ、ひょっとして”初めて”をもらっちゃった? ゴメンね」
最後の一言を言うとき、魅子は美姫ではなく光流に顔を向けていた。二人とも顔を赤らめる。
「あ、あの、マウス・トゥ・マウスは唇同士を触れさせませんから」
軽く凄んでみせる。
「あ、そっか、ごめんごめん」
魅子はことさらケラケラと笑う。
——もう平常運転ってことですよね、先輩——
美姫はフウッと息を吐いて顔を緩ませる。
「えっと、真紀ちゃんを助けに行かないと」
光流が疲れ切った身体でのそりと立ち上がる。
魅子は軽く目を瞑って意識を集中する。
「うーんとね、それがどうも終わったみたい」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板