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放課後の吸血鬼

86妖怪に化かされた名無しさん:2020/03/20(金) 21:59:19
「ふふっ、やっぱり日中じゃ力が出ないようね。随分と軽いわ」
タンッと一歩下がってからアミは嘲笑う。
「……だったら、これの方がいいわね!」
その場でヒュッと爪を振るい、真紀に向かってピュウッと粘着糸を飛ばす。タンッと軽やかなステップでそれを躱す真紀。日中の筋力では捕らえられたら最後だ。
放つ、躱す、放つ、躱す、放つ、ひたすら躱す。粘着糸は爪と違って受け流す事はできない、触れれば捕らわれる、だから真紀は屋上の構造物——貯水タンク——の一つを遮蔽物として身を隠す。
——ヤバイ——
真紀は吸血鬼だ、日中は力が出せない。だから普段は誰か——魅子や美姫といった転校生仲間や地元の妖怪——とコンビを組んで行動をする。しかし今回、日没前にも拘わらず単独での戦いになってしまった。助けも呼べない状況で、日没までの時間稼ぎもどこまでできるか……
考えながらも研ぎ澄ました五感が、頭上の気配を伝える。咄嗟に飛び退くと今まで立っていた場所に粘着糸、アミが上から狙っていた。
「あらぁ残念、気付かれちゃっ、たっ」
再びヒュッと蜘蛛糸の投射、真紀はヒョイッと躱してガッと壁を蹴って飛び上がりアミにブンッと爪を横一線。
「おおっと!」
アミはグッと仰け反って躱しカウンターで粘着糸、だが真紀は貯水タンクの角を蹴り上げ、反動でそのまま床に落ちて躱す。
スタッと着地して上を見ると、タンクの脇にアミの降りる気配。角から手だけを出して再びの粘着糸。避けつつアミとはタンクの反対側に回る。
「しまった!」
相手は蜘蛛だ、天然の罠師だ。真紀の胴がベタッと蜘蛛の巣に捕らわれた。恐らくは遮蔽物に隠れてた隙に蜘蛛の巣の罠を張られてたのだろう。
「クッ!」
振り解こうとするが、日中の少女としての腕力では振り解くのは不可能。
——詰んだ!——
「ふふっ、ひっかかったひっかかった」
アミがニタァッと嫌らしい笑みを浮かべて姿を現す。距離を置いたままヒュッと粘着糸を飛ばし、腕も動かせないしっかりと束縛する。真紀は、粘つく糸によって屋上の床に大の字に貼り付けられた。


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