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放課後の吸血鬼

80待ち受ける罠:2020/01/26(日) 23:43:27
話は少し遡る。
「転校生には、見晴らし公園で待つように言ってる」
放課後、そう横口が言って昇降口から哲晴を先導する。
「見晴らし公園って……、そこ、大日向さんと喧嘩したとこなんだけど」
「おや、奇遇ですね。じゃ、きっと運命ってことで、そこで仲直りしましょうよ」
西根もついてくる。
「お、おい。なんで二人がついて来るんだよ。ちゃんと見晴らし公園に行くからさ」
哲晴が慌てる。まさか真紀と逢うときまで
「公園までは行かねえよ」
「そうそう。でも、仲直りしたらいの一番に報告してもらわなくっちゃ」
ちなみに野口は手を貸したものの、「上手くいったらいったで悔しいから」と言ってついてこない。
「ほらほら、早く早く」
西根が後ろから哲晴をグイグイと押すと、横口がニヤニヤと笑う。
「さっさと仲直りしちまえ」
「あらぁ、それは困るわねぇ。折角仲違いさせたのに」
そこへ、冷水を浴びせるような艶やかな女の声がした。気がつけば、周囲には人通りや車の往来が無くなっている。
カシャリと硬質の足音を立てながら、路地裏から蜘蛛の下半身を持つ美女が一歩踏み出す。その顔には、見る者を凍えさせるような蠱惑で淫靡で妖艶な笑みが浮かんでいた。
「え、何?」
「ほへ?」
突然の事にきょとんとした顔の二人と、対照的にサアッと顔を青ざめさせる哲晴。パッと一歩前に出てサッと両腕を広げる。
「やめろ! お前が用があるのは僕だけだろう」
「ふふっ、勇敢なのね。その勇気に免じて、その二人は見逃してあげても良いわよ」
彼女がニイッと凶悪な笑みを浮かべると、彼の後ろでドサッと人が倒れる音がする。振り向くと二人がくずおれていた。
「大丈夫よ、眠らせただけだから」
すぐ耳元で声がする。彼女は哲晴のすぐ後ろに立ち、その闇色の爪の生えた手を彼の眼前にスゥッと晒してゆるりと指を動かす。革製の学生鞄についた傷から、それの威力は充分過ぎる程わかる。
「じゃあ、大人しくついてきなさい。大丈夫、大丈夫、あの小娘が来れば殺したりはしないから、お姉さんにまかせて」
背中に柔らかなモノが二つギュムッと押しつけられるが、その感触はただ恐怖と絶望と戦慄しかもたらさなかった。


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