したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

放課後の吸血鬼

84:2005/05/31(火) 23:06:05
翌日、学校中がその事件もの噂でもちきりだった。
朝TVのニュースで放映されたせいもあるし、朝一番の全校集会のせいもあるが、何より事件のあった2年3組の教室が、警察によって封鎖されているせいでもある。
マスコミには哲晴達のことは伏せられて、第一発見者は教師ということにされていたので、話題の中心になるのは避けられたが、それでも周囲はザワザワと騒がしい。
「やっぱ、アレが良くなかったんじゃねぇか? 昔の事件の話」
昼休みに学食へ向かう途中、昨日一緒だった柔道部風の坊主頭の巨漢、横口和也が切り出した。
「そんな非現実的な」
周りに聞いている人がいない事を確認してから、同じく昨日一緒だったチビで眼鏡の西根恭一が反論する。
「いくら何だって…。私が、昨日17年前の吸血殺人の新聞記事を持って来たのは、全くの偶然です。
 そもそもそんな事件の話をしたからって、実際に17年前と同じ場所で同じ事が起きるなんて、非現実的ですよ」
「わっかんねぇぜ」
と、横口。
「先週、公園で起きた吸血殺人の犯人が、ちょうどあの時に学校にいてよ。お前の話を聞いてて、マネしてみたとか…、…ありえねぇな」
横口が、わざわざ自分で自分にツッコミをいれたりするのは、哲晴がぼんやりしているからだ。
「どうしたんですか? 中沢君」
名前を呼ばれて、哲晴が我に返る。
「え、なんだっけ? …悪い、昨日眠れなくて、頭がぼーっとしてんだ」
「ま、あんな事があったんだから、しゃあねぇな」
横口がそうまとめると、3人は学食の行列にならんだ。
開いている席について、惣菜パンだの持参のおかずだのと一緒に掛蕎麦をすすると、学食の一角に人だかりがあるのに気付いた。
一人の背の高い女生徒を、何人かの女生徒が囲んでワイワイと談笑している。
取巻きでガヤガヤしてるのは、隣のクラスの女子だが、中心のサンドイッチを食べている娘は…
ドクン、と哲晴の心臓が警鐘を鳴らした。
“彼女”だった。
肌はやや薄い肌色。瞳も日本人らしい黒。爪も短く地肌のピンク色と、昨日見た人外の要素は全てなくなっていたが、あの顔立ち――高い鼻、吊り上がり気味の目、真っ直ぐな眉――や長髪は、紛れもなく彼女だ。
向こうも、じっと凝視する哲晴に気付いて、目が、合った。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板