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放課後の吸血鬼

78持つべきものは:2020/01/26(日) 23:36:58
昼休みの2年2組、昼食後にいつも通りにワイワイガヤガヤと他愛もないお喋りに興じる、とある女子の一団。真紀もいつものようにそのグループに加わってはいるものの、俯き加減で心ここにあらずといった風情で会話にも殆ど参加しない。
不意に、坊主頭で大柄な男子生徒がズイッとその傍らに立つ。
「転校生……ええっと、大日向だっけ? ちょっと良いか?」
横口は親指を立てて、背後にある教室の出入り口を指さす。そこには眼鏡の小柄な男子生徒——西根——が立っている。
「えっと……」
「手間は取らせない。多分、今、悩んでる事に関係していると思うぞ」
「わかった」
真紀はコクンと首肯し、スックと立ち上がった。
「悪いが、ちょっと借りるぜ」
彼は他の女子達にそう告げると、彼女を教室から連れ出した。それなりに迫力のある彼の事だ、文句の出ようもない。
「さて、野上君から聞いた話だと、『中沢君を傷つけた』って言ってるそうですね?」
三人で廊下の端の方に来ると、西根が口を開く。
「……」
真紀は顔を曇らせたまま、反論せずに沈黙で返す。
「奇遇な事に、中沢君も『転校生を傷つけた』と言っています」
「……!」
真紀の目が見開かれる。
「どうです? もう一度逢って話し合ってみては?」
「モヤモヤしてスッキリしねえんだろ? だったらもう一度話してスッキリした方がいいんじゃないか?」
「ありがとう」
ペコリと一礼する真紀。その目の端には僅かに涙が浮かんでいた。


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