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放課後の吸血鬼

72妖怪に化かされた名無しさん:2006/01/04(水) 01:11:51
――世界ガ、紅イ――
夜空は夕焼けのように、地面は曼珠沙華の花畑のように紅い。
――総テガ、紅イ――
星々はルビーの欠片のように、遠くの街並みは燃え盛る炎のように紅い。
――デモ、一番紅イノハ……、哲晴――
暗がりの中なのに彼の姿だけは、メラメラと燃え立つように、パアッと輝くように、はっきりと紅く見える。
それは血の色。甘く愛しく美味しく美しい生命の色。
こんなにも世界が紅いのは、きっと自分の瞳が血色をしているせいだろう。
――牙ガ、疼ク――
痒いようなくすぐったいような、ズクズクとした疼き。何かを噛まねば治まらない牙の疼き。
こんなにも犬歯が疼くのは、きっと伸びているからに違い無い。
――喉ガ、渇ク――
身体中の細胞がルビー色の滴りを求めて燃え立ち、喉がヒリつく。
熱に浮かされたように夢の中のように、フラリと立ちあがり、突然の事で呆然としている哲晴をじっと見詰める。
自分には獲物を捕らえる為の魅了の力はない。が、あまりにも美しい異形の存在を突然見た人間は、なす術もなく立ち尽くしてくれる。
これから哲晴にキスを、その首筋に吸血鬼のキスをする。そう考えただけで、顔がニマッと淫らに綻ぶのが判る。
ちょこっと牙の突き出た、鮮やかな朱唇をペロリと舌で湿らせ、抱きしめるために、ゆっくりと両腕を広げる。
「うわあっ」
動きに反応したのか、哲晴がクルリと踵を返す。が、足をもつれさせて、ドテンとそのまま転ぶ。
好都合だ。ニッと口を歪める。べつに今の脚力なら余裕で追いつけるのだが、一瞬でも早く血を飲めるに越した事はない。
慌てて起き上がろうと四つんばいになる彼に、猫の様に敏捷にバッと飛びかかり、そのまま馬乗りになる。
「あっ」
急に飛び乗られて、哲晴はビタンと潰れてうつ伏せになる。
「つーか、まーえ、たっと」
耳元に口を近寄せてピンク色の吐息を吹きかけると、彼がびくりと一瞬震える。
「もう、哲晴ってば、逃げないでよ」
拗ねた声を出してみせ、その右の首筋にそっと唇を近づける。
「ねえ、ボクとキス、したいんでしょ?」
怯える彼の耳元に毒々しいまでに甘く囁く。
「して、あげるよ。……吸血鬼のキスを、ね」
そのままグイッと身体を押しつけ、ギュッと抱きしめる。
「や、やめろよ。何の真似だよ」
ようやく声を絞り出した彼の臀部に、背中に、真紀は艶めかしく腰を、胸をグイッと擦りつける。
「ふふっ。哲晴の身体って、あったかぁい」
するりと前に手を回し、彼の学ランのホックとボタンをプチプチと外していく。これからの事を想像して、興奮のあまり真紀は哲晴の首筋にハアハアと荒い息を吐きかける。
その身体の下で哲晴が必死に身を捩ると、真紀は冷たく輝く鋭い爪を生やしたほっそりとした指で、彼の頬をそっと撫でる。
「んもう、動かないでよ。怪我するよ」
爪をチクッと喉に当てると、哲晴のからだがビクッと震える。
「ひっ」
恐怖で硬直する彼の首筋から喉を、そのまま爪でツゥッと撫でる。
「ふふっ。美味しそう」
首筋から右肩にかけて顕わになると、ブルブルと震える哲晴のそこにふうっと息を吐きかけ、そっとキスをする。その柔らかな刺激に、哲晴は身体をピクッと震わせる。真紀はそこへペタリと舌を押し付け、ヌルリと這わせてから、ペロリペロリと何度か円を描くように首筋を舐める。
「うっ……、あっ」
その度に哲晴はうめきとも喘ぎともつかない微かな声を上げる。
命の霊液の、紅玉の甘露の、哲晴の血の予感に、真紀の口からは唾液が止め処無く流れ続け、彼の肌を湿らす。
じっとりと濡れた少年の首筋に勢い良く噛みつこうとして、真紀ははっと動きを止める。そのまま口を肩へとずらし、再び舌を、軟体動物のようにツツッとはだけた肩へと這わせる。
「うっ」
新たに刺激を受けて哲晴がまた微かにうめき、ピクッと身体を捩る。
やがて十分に少年の若い肌を味わってから、真紀は一旦離した口をクワッと大きく広げる。そのままガッと勢い良く噛みつくと、白銀の牙が少年の肩に突き立てられ、その肌をグサッと貫く。
「あっ、あっ、ああああっっっっっ」
夜の公園に切なげな少年の声が響く。


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