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放課後の吸血鬼

6655:2005/09/10(土) 21:20:30
一瞬、ずんと重い空気が漂い哲晴の口を塞ぐ。はっとして、真紀はあわてて口を開く。
「あ、ごめん。魅子先輩のことだったね。…魅子先輩はね、“霊能力を持った転校生”への想いから生まれたんだ。
 もう20年くらい前になるけど、超能力ブームってのがあったんだ」
「あ、知ってる。外国からエスパーが来て、スプーン曲げしたんだろ?」
これは西根からの請売りだ。
「そう。その時に超能力者への想いから“エスパー”って妖怪が生まれて、先輩はその一人なんだ。
 だから先輩は、ボクと違ってあの姿が本当の姿なんだよ」
「へえ。もう一人の無口な娘は?」
「美姫ちゃんは、針女(はりおなご)っていう妖怪なんだ」
「あ、知ってる。四国の妖怪でしょ? 髪の毛を操る」
えっと目を丸くして、哲晴を見る。
「あ、知ってるんだ。珍しい」
「まあね。西根、――ほらあの小さい方――が、そういうのに詳しいんだ」
「ふうん。あの眼鏡君がね…。正確に言うとね、美姫ちゃんはその先祖返りだよ」
 何百年か前の先祖に、たまたま針女がいて、その血を受け継いで針女になっちゃったんだ。だから、あの娘もあれが本当の姿なんだ」
「先祖帰り、てことは…、じゃあ、普通に家族とかがいるんだ」
「うん。でもね、うまくいってないよ…。血の繋がった家族でも、普通の人間は、なかなか妖怪を受け入れるのは難しいみたいなんだ。だから、妖怪でも差別しないキミみたいな人間ってのは、貴重なんだよ」
そう言って、真紀は哲晴の顔をまじまじと見つめる。ドキッとして、一瞬息が止まる。
「ね、今度はキミの事を教えて欲しいな。もっとよく、知りたいから」
黒真珠のような瞳で、じっと見つめながら話す。金縛りにでもあったように、目を離せない。
「ええと…、じゃあ、何から話そうか?」
「そうね…、まずは趣味から」
「うーん。趣味って言ってもな…、せいぜいゲームやったりマンガ読んだりくらいで、あんまり趣味らしい趣味もないんだけどね」
「へえ…、じゃあ普段何をやってるの?」
「学校帰りに、本屋とかCD屋とかひやかしたり、友達の所で駄弁ったりゲームしたり…。あ、たまに休みの日に、友達と映画を見たりすることもあるか…」
「部活とかは?」
「一応は文芸部だけど、完全に幽霊部員だね」
「なんか、徹底的に無趣味だね…。それとも、暇だからボクに付き合えたのかな」
真紀は口元に手をあて、暫し考える。
「それもあるかもね。でも、他に何かあっても、多分僕は君に付き合ったと思う。その…、君の手助けをしたいし…」
「ありがと」
ニッと微笑む。


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