したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

放課後の吸血鬼

6453:2005/09/10(土) 21:17:04
ファミレスを出た後、真紀を前にして魅子は言う。
「いい、真紀ちゃん。無茶はしないでね。とくに、哲晴君が一緒なんだから」
「うん。折角の協力者だもんね。哲晴は何があっても、ボクが守り抜くよ」
「ふうん、“協力者”ね…」
何か言いたげに横目で短く呟く。
「ま、いいや。頑張ってね。真紀ちゃん」
次いで、哲晴の方を向く。
「えーと、あのね。あくまでも念の為言っておくけど、危険を感じたら、真紀ちゃんを置いてすぐ逃げてね。
 真紀ちゃんが心配かもしれないけど、真紀ちゃんは少々の事じゃ大丈夫だから。例えば、ナイフくらいじゃ掠り傷にしかならないし、重傷を負ってもあっと言う間に再生するし、かなり不死身に近い体だから。
 むしろ、その場を離れてすぐにあたし達に連絡してくれた方が、応援に駆けつけられるから」
そう言って、魅子は携帯の番号を教えた。
「あ、それから、間違っても一緒に戦おうなんてしちゃダメだからね」
「それなら大丈夫だよ。昨日、経験済みだからね」
真紀は、ヒョイと哲晴の鞄を指差す。革製のそれにザックリとついた傷を見れば、その気は失せるというものだ。
「じゃ、真紀ちゃんをよろしくね」
一瞬、魅子はニヤッと笑う。
「…僕らの住んでる街の事だから、頑張るよ」
「ふうん…街の事…ね」
とまたぼそりと短く呟く。
「さて、連絡事項もすんだ事だし、今日も探索に出発進行!」
魅子の元気な掛け声と共に、4人は2人ずつに分かれて歩き出した。

「なんか、真紀先輩、何回も、彼のことを見てましたね」
繁華街を歩きながら、ぽつりぽつりと美姫が切り出した。
「そうね。2人ともかなり浮かれてるわね。本人達はまだ素直に言えないけど」
と、その前をトトンとスキップしつつ魅子。
「だから最後に釘を刺したんですか」
「そっ。でも、真紀ちゃんはこの位でヘマするような娘じゃないし、むしろ守るべき人がいた方が却って頑張れると思うんだけどね。まあ、念のためよ」
「それで、あの人。大丈夫なんですか」
おずおずと、本日最大の懸念事項を切り出す。
「大丈夫も大丈夫。彼も真紀ちゃんの事何回も見てたから、ね」
そう言いつつ、ピタリと足を止める。
「真紀ちゃんのこと大切に思っているから、きっと秘密は墓まで抱えて行くわね」
「それで、暁学園の事まで喋っちゃったんですか?」
「あ、それは違う」
後を向いたまま、手をヒラヒラと振る。
「あれは反応とか見て、判断材料にするためよ。もしまずい相手でも、どうせ記憶を消すんなら、あたしらとの会話まで全部消すんだし」
「結構、冷徹に計算してるんですね…」
「当ったり前じゃない。だ〜いじな真紀ちゃんのためだもん」
「でも、良かったですよ。真紀先輩…」
ぽつりぽつりと語る美姫は、どこか俯き加減だ。
「寂しい? 憧れのセンパイを取られちゃって」
クルリと振り向いて、ニヤニヤと美姫の顔を覗き込む。
「妙なコト言わないで下さい」
口早に言い、一瞬微笑を崩してプウッと頬を膨らます。それを見て満足したのか、魅子はクリルと前を向いてトコトコと歩き出す。
「あ〜あ。うらやましいな。真紀ちゃんも美姫ちゃんも、相手がいて…」
「だから先輩、アレは違いますってば、ただの女好きです」
元の微笑みに戻す間もなく、再びプクッと頬を膨らませる。
「また、また〜。あたしの霊感によれば…、おっと、こっから先は言わぬが華っと」
「何ですか、その思わせぶりな言い方は」
「まあまあ、彼が美姫ちゃんのコトが大好きで、大事に思ってるのは間違いないんだから、さ」
再びトトンとスキップしながら、先を歩く。
「それは…、そうですけど…」
「もうちょっと、素直になりなよ、美姫ちゃん」
と、急に魅子が立ち止まった。ぶつかりそうになって、美姫も慌てて止まる。
「そうよね。大丈夫なのよね。でも、な〜んか引っかかるのよね…?」
きゅっと、軽く眉間に皺を寄せて考えこむ。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板