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放課後の吸血鬼

6352:2005/09/10(土) 21:16:20
と、魅子が哲晴と真紀の顔を交互に見比べ、ニヤニヤとして口を開く。
「で、ずばり聞くけど、お二人さんって、ドコまで行ったの?」
ジュースを飲みかけの哲晴と美姫が、ゴホッと急きこむ。
「せ、先輩、いくらなんでも…」
「このファミレスまで」
美姫がゴホゴホと咳き込むが、真紀はそれを制してしれっと済ました顔で答える。軽く溜息をついているところを見ると、予想済みらしい。
「う〜ん、残念。てっきり映画館くらい行ってるかと思ったのに」
一瞬、魅子がむぅ〜と口を尖らせ、軽く眉をひそめる。
「昨日の今日じゃ、まだそんな暇ないよ」
軽く言い放ち、ジュースを一口飲む。と、魅子はクイッと眼鏡を直しつつクルリと隣を向く。童顔に浮かぶのは、新たな獲物を得たニヤリとした笑みだ。
「で、美姫ちゃんはナニを想像したのかな?」
「え…それは…その…」
しどろもどろな美姫に、例によってさっと助け舟が出される。
「はいはい、そこまで。あんまり美姫ちゃんをからかわないでよ、先輩」
「あの…、そろそろ調査の話をしませんか?」
美姫がおずおずとと提案する。
「あ、そうだね。ごめん。じゃ、作戦会議の続きといきましょうか」
魅子がざっとテーブルの地図を眺め、美姫もそれに倣う。
「あ、赤い点、ずいぶん増えたんだ」
「哲晴のおかげだよ」
と、真紀が微笑む。
「やっぱ、この街に住んでる人がいると違うね…。ありがと」
魅子はじっと哲晴の顔を見つめる。
「いやぁ。助けてもらったし、役に立てて良かったよ」
人差し指でポリポリと頬を掻きつつ、哲晴は答える。改めて礼を言われるとやっぱり照れくさい。
「ふうん…、助けてもらった、ね。ま、そういう事にしましょう」
哲晴から目を逸らさずに、一瞬、魅子が笑顔のままスッと目を細める。口元を更にニッと曲げ、何やら怪しげな雰囲気だ。
しばし地図を見つつ、4人で今後の探索の分担を決める。とは言っても、単純に地図をスパッとニ分割する程度だが。
街の中央を東西に走る鉄道――その近辺は既に探索済みだ――沿いに、魅子がショキショキと鋏で地図を南北に分ける。
「じゃあ、南側が美姫ちゃんとあたし。学校のある北側が真紀ちゃんと哲晴君って事でOKかな?」
「ボクは別に南側でも…、というか、家もこっち側だし…」
「あっ、そうだっけ? …うーん、じゃあ南側お願いね。北側はあたし達が調べるから」
一瞬、何か考えるようにしたものの、結局は真紀の言い分を認める。
「あ、それより、魅子先輩。今日はどうだった?」
魅子はふるふると首を振る。
「全然ダメ。昨日と同じで、あたしの探知能力を使っても、全然わかんなかったよ。多分…、警戒して食事の時以外は、巣の結界から出ないようにしてるんだと思う」
「先輩でも成果なし、か」
真紀は考えこむ。
「どーも今回は、地道に足で探さないとダメみたいね」
魅子はハァッと溜息をついた。
「じゃあ、そろそろ出掛けたほうが良いんじゃないのかな?」
今まで、沈黙せざるを得なかった哲晴が提案する。
「そーね。じゃ行きますか」
魅子がさっと2枚の伝票を手にすると、カタンと立ちあがった。
「あ、お二人の分も払うから。大丈夫、接待交際費で落ちるから」
ヒラヒラと伝票を振りつつレジに向かって行く。蛍光ペンを片付けながら、哲晴はふと疑問に思う。
「接待交際費?」
「単なるジョークよ。おごる時の」
と、バサバサと地図を畳みながら真紀。
美姫は二人分の鞄を持って、トコトコと魅子の後に続く。


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