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放課後の吸血鬼

6150:2005/08/26(金) 01:09:03
二人は昨日と同じのファミレスに入る。昨日と違ってまだ空は明るく、今日は入店は二人一緒だ。
昨日と同じくまだ早い時間なのでガラガラの店内の、奥の窓際の席に座る。ただしそこは昨日とは違って4人席だ。
哲晴が指示された窓際のソファに着くと、今日は真紀もその隣にちょこんと座る。ちょこっと腕を動かせば、触れてしまうほど近い。
「えっと…」
心臓がドギマギする。顔には…多分出て無いと思うけど。
「あ、ほら、地図見るから、その…、向き同じ方がいいよね」
あたふたと鞄から街の地図を取り出す真紀の頬は、微かに朱がさしている。
「あ、うん…、そうだよね」
納得したような事をいいつつも、頬が熱くなるのがわかる。真紀を正視できずに、カクンとうつむき加減になる。つられて真紀もそうなる。
すぐに水を持ってきた来たウェイトレスに、真紀はオレンジジュース、哲晴はコーラを注文して追い払う。文字通り水を差されたせいで、一応は頬の熱が下がる。
気を取りなおして、テーブルにバサリと地図を広げる。地図には赤で高いビルを表す点がポツポツと打たれ、所々が緑の線でグルッと囲まれている。
赤が高いビルで緑が調査済みのエリア、注文したジュースが運ばれてきてこれ以上邪魔者が来なくなってから、そう真紀は説明した。
「で、哲晴には、高い建物を教えて欲しいんだ」
一呼吸おいて、冷えたコップを手に取る。
「具体的に言うと、10階建てくらいのビルとか、周りより突出した建物とかだね」
ツッと口を尖らせて、ストローに口をつける。代わりに哲晴がストローから口を話す。
「あ、うん。じゃあ」
真紀はジュースを一旦置くと、地図と一緒に取り出した蛍光ペンセットをヒョイと差し出す。
「お願いね」
まずは、ざっと地図を眺める。駅前や繁華街には赤点がポツポツと記され、さらに緑の囲いがすでにグルッとある。となれば、そこから離れた住宅街だ。
コップを片手に地図にポツン、ポツンと赤ペンで印をつける。10分程後、今まで点を打たれてなかった範囲にポツリポツリといくつかの点が打たれる。
「う〜んと。僕がわかるのはこれくらだね。あんまり役に立てそうもないけど…」
漏れが無いかどうか、今一度地図全体をグルリと見渡す。一応、思いつく限りは全部書いたはずだ。
「じゃあ、説明お願いできるかな?」
真紀は手をついて、地図の上にヒョイと身を乗り出す。長く艶やかな髪が、バサリと下がる。
「あ、ゴメン。ちょっと待ってて」
真紀はポケットから青いゴム紐を取り出すと、パチッと髪を縛ってポニーテールにする。
初めて見る真紀の白く滑らかなうなじが、妙に艶めかしい。あわてて、バッと視線を地図に移す。
「えっと、ここには銭湯の煙突がある…、あと、ここには新築のマンションが…。
 あ、そうだ。ここには送電線の鉄塔があったっけ」
哲晴がグルリと視線をさ迷わせて、赤ペンを探す。哲晴が見付けてサッと手を伸ばすのと、真紀も見つけて手を伸ばすのは、同時だった。
ピトッと指先が触れる。静電気に弾かれたように、二人してパッと手を離す。
「あ、ご、ゴメン」
「あ、ううん。ボクこそ」
再び二人とも顔をポッと赤らめ、うつむき加減に視線を逸らす。
一瞬、間を置いてから、真紀がそっとペンを手に取って哲晴に渡す。うつむいたままで。
「あ、ありがとう」
こっちも差し出されたペンを受け取る。同じくうつむいたまま。
「え〜っと、じゃあ続きだけど、良いかな?」
そうして暫く説明を受けてから、ようやく真紀が口を開いた。
「うーん。こうしてみると、やっぱり住宅地なんかは、漏らしてるが多いな…。しかも、それぞれが離れてて調べるのに手間取るし。
 ボクに人払いの結界が使えれば、本性のまま、街中を虱潰しに調べられるんだけど…」
腕組みをして考え込んでいた真紀が、ヒョイと顔を上げ、出入り口の方をむいてヒラヒラと小さく手を振る。
「あ、来たよ」
真紀の視線を辿ると、腰まで届く長髪をバレッタで留めた微笑む美少女と、背の低い眼鏡をかけたショートカットの元気そうな少女。


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