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放課後の吸血鬼

6049:2005/08/26(金) 01:08:30
放課後。
「やあ、今日どうします?」
掃除の後、例によってCDショップを冷やかしにでも行くか?と問う西根と横口。
「ごめん、今日も用事があるんだ」
そう、哲晴は手を合わせる。折角のチャンスだし、人々に害為す物の怪退治への協力なのだ。個人的にも一般的にも、そっちの方を優先すべきなのは明らかである。
いぶかしげな表情の横口が、ふと何か思いつく。
「…そうか、用事があるならしゃあねぇな。まぁ頑張れや、その用事とやらを」
横口は西根を連れて商店街の方に向かった。彼がニヤリと意味ありげな表情をしたのは、誰も気付いて無い。
日が傾く中、駅前に着く。人通りの向こうに見え隠れして、真紀がすでに待っていた。
真紀の身体は女らしい凹凸には欠けてスラリと背が高く、表情も普段は心なしか凛々しい。ズボンを履いて髪を短くすれば、きっと男と間違われるだろう。
しかし、制服姿で両手で鞄を持ち、駅前の時計のすぐ下でソワソワと楽しそうに手首の内側の腕時計などを見るさまは、いかにも女の子女の子している。
しばしぼうっと見とれていると、向こうがこちらに気付いた。ニコッと微笑んで人込みをスルリとすり抜け、スタスタと足早に近づいてくる。
「やあ。来たね」
例によって、男っぽい口調だ。
「ごめん。待たせちゃったかな?」
とりあえず詫びる。
「ううん。ボクも今来たところ」
真紀がニッと笑って、さっきの逆転が行なわれる。もっとも笑顔がキラキラと眩し過ぎて、哲晴には流石に続く台詞までは出てこないが。
「え〜と、まず何をすれば…」
「そうだね。まずは昨日のファミレスに行こうか。そこで、地図を見てもらいたいんだ」
ひょいと何気なく手を伸ばして、ギュッと哲晴の手をとる。急に手を握られて、哲晴の頬がカアッと赤くなる。
「さ、行こう」
タタッと軽やかなステップ踏み、先を歩く。急に引っ張られたので、バランスを崩して二三歩たたらを踏む。
「あ、それから」
クルリと振り返る。もう頬の朱は引いている…と思う。
「実は今日、そこで、今回一緒に調査をする仲間と会って欲しいんだ」
目的の重要性を考えて、二人きりじゃないのは残念だ、という言葉はグッと飲み込む。
「あ、吸血鬼じゃないよ。大丈夫、他の妖怪だよ」
その一瞬の沈黙を誤解したのか、真紀はニコッと付け加える。


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