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放課後の吸血鬼

57プロローグ:2005/06/29(水) 01:24:14
事の起りはこうだった。
「今日、どうする?」
夕方、掃除を終えて戻ってきた教室で、哲晴は待っててくれた友人二人に尋ねる。放課後の教室は、ガランとして残っているのは二人だけだ。
哲晴が当番のトイレ掃除を頑張ったせいである。
別に掃除が好きだとか、生真面目というわけでもない。ただ目の前にやる事があると、つい没頭するタイプなのだ。
「とりあえず、ゲーセンでも行きましょうか?」
さっきまでの横口とのプロレスごっこでズレた眼鏡をクイッと直しつつ、小柄な西根恭一が提案した。
「え〜、なんか新作入ってるか? オレあんま金ねーから、新作とかねーとやだぞ」
ヒョイと鞄を掴んで、坊主頭の丸々とした巨漢の横口和也が答える。
「じゃあ、どうしようか」
金をかけないとなると、本屋かコンビニで立ち読みか、誰かの家に集まるかのどちらかだ。しかし本屋だとさすがに長時間はいられないし、家に行くのには時間がかかる。
となると、いつもみたいに結局はここで駄弁るくらいか。そしてそれは採用された。
やがて暫く駄弁ってから、ポツリと呟く。
「なんか最近、こうして駄弁ってるだけの事、多くないか?」
勉強、スポーツ、趣味…とくに何か熱中するものが見つからず、のんべんだらりと日々を過ごしている。彼女でもできれば、恋愛に熱中するかもしれないが、生憎と色恋沙汰とは無縁だ。
とりあえず、目の前に具体的な“やるべき事”――トイレ掃除とか――が提示されればやるが、進学とか学校生活とかの漠然としたものだと、どうも今一つやる気が出ない。
昨日も、一昨日も、一昨昨日も、その前も、ただ何となく何をするでもなく、同じような日々を過ごしている。


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