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放課後の吸血鬼
52
:
妖怪に化かされた名無しさん
:2005/06/01(水) 00:47:10
あとちょっとで坂を登りきる、暗い雑木林を抜けて、満天の星空の下の野原に出られる。
そこでズルッと足を滑らせる。あわててバランスを保とうともがくが、どんどん足元がザラザラと崩れて行く。
後を振り向くと、そこは暗黒の奈落。一度落ちたら、二度と這い上がれぬ闇の空間。
――いつも、ここで“サンドイッチの女神様”が現れて、助けてくれる――
不意にピカッと光が射した。坂を登りきった野原の向こうから、日が昇り、正面から旭光で真紀を照らす。とても眩しい。
――何? こんなのは初めてだ。いつもなら夜のまま、輝く星々の下に出るはず――
足元はズブズブと沈み行く。このままでは奈落へ落ちてしまう。でも、今日に限って女神はまだ現れない。
振り向けば、奈落の底から手を伸ばし、ボクに掴みかかろうとする、かつて倒してきた妖怪達。口々にボクに呼びかけ、招く。
やはり、ダメなのか。ボクみたいな吸血鬼は、闇の住人は、罪深い生物は、光の下へ出る事は許されないのか。
もうだめだ、そう諦めた時。力強い手が、ギュッとボクの手を掴んでくれた。
――サンドイッチの女神様?――
しかし現れたのは、逆光の中にスックと立つ“野兎の騎士”。臆病なくせに、弱いくせに、ボクを力強くグイッと引き上げて、抱き寄せる。
輝ける朝日の中、間近になった黒い目が、そっと優しく微笑んだ。
気がつけば、朝。窓からさんさんとさしこむ光の中で、真紀は身体を起こし、ほっと一息吐いてから呟く。
「これって、やっぱり…」
頬を赤らめつつ、ぽりぽりと頭を掻く。
ファミレスで話し合っている時、真紀の漆黒の瞳が、キラリと輝いた。それ以来、彼女の事を想うたびに哲晴の胸はドキドキする。
吸血鬼の魅了の術。そうチラッと頭をかすめるが、それなら自覚があるはずがない。自覚すれば効果は半減するだろうから。
「これって、やっぱり…」
そう呟き、哲晴はもんもんと眠れぬ夜を過ごした。
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