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放課後の吸血鬼
41
:
34
:2005/06/01(水) 00:22:42
「憶えてなさい、この小娘っ」
そう言い残して窓から飛び出し、垂直の外壁をシャカシャカと走る。振り向くと、もう追跡はない。
やがて巣に戻り、アミはひとまず傷ついた身体を休めた。
ここしばらく、あまり派手な動きはなかったから、狙われる憶えはない。そして昨今は、人間に化けて暮らす妖怪の方が多い。だから、あれは恐らくそういった妖怪の一人で、たまたまあの学校の生徒だったのだろう。
妖怪同士は、運命的な奇妙な引力を持つ。偶然という形で、たまたま出会ってしまうのだ。或いは無意識に妖気とでもいうものを感知して、引かれるのか。
巣に張るのと違って、狩りの最中の結界は妖怪には効きにくい。だから多分小娘は、二人目の獲物の悲鳴を聞きつけて来たのだろう。或いは、吸血鬼らしく血の香につられてか。
ならば仲間を呼び、巣の位置を探り当て、襲撃をかけるまでにはまだ時間がある。早くても襲撃は明日、しかも人目につかぬように夜中になるに違いない。今日の明方に移動すれば大丈夫だろう。
しかし、その夜の内に小娘は手勢を率いて襲撃してきた。糸の振動で敵襲に気付いたものの、おかげで巣を畳み“食いカス”を片付ける間もなく、慌てて逃げ出すはめになった。
もし“連中”の手引きがなければ、じきに追いつかれて殺されていただろう。
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