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放課後の吸血鬼

3427:2005/06/01(水) 00:15:17
自分の巣に辿りつき、アミは振り返って後を確認する。結界が効いてるので、あの人間に媚びる小娘の追跡はない。
巣に辿りついて安心したのか、ぐでっとした疲労を感じ、ふぅっと一息吐く。
左胸の傷がじわりと痛む。プルンと突き出た形の良い乳房を、ぐっと少し持ち上げ確認する。ただのかすり傷だ。明日までには、すっかり治るだろう。
とりあえず出血が鬱陶しいので、ペタッと糸の塊を貼って止血する。
他人の目がないので、ふっと素に戻ってぼそりと昏く呟く。
「あの小娘…。殺してやる…」
水平に広がった巣網の上を器用に歩き、中央の糸を編んだ布状の部分、自分で台(うてな)と名づけたその場所にゴロリと寝そべる。細かな糸を編んで作られたそこは、フワリと身体を受けとめる。
夕暮れ時で、空は自分の気持ちを反映したような血色に染まっている。
ええい、憎い。そう心の中で呟く。岩手で付けられた傷がようやく塞がったというのに、また余分な血を流させられた。しかも自慢の大きな胸に。
「あの貧乳小娘、今度あったら胸を抉ってやる…」
知らず知らずのうちに、凶悪になっていく表情に気付き、シワを気にして元の表情に戻す。
疲れを取るために暫くゴロゴロしていると、眠気が出てきて、うとうととし始める。
今まで自分は巧くやってきた。
巣には、妖怪すら欺く結界を張る事ができるから、棲み家を知られる事は無い。
相手を眠らせる能力を持ち、牙には傷を麻痺させる毒を持つ。生存に必要な血液は少量で、健康な人間なら貧血も起こさない量。だから食事で気付かれる事も無い。
まれに、気が向いた時に人間を巣に連れ込み、血や精液を搾り取ることがある。しかし、搾り取った後は口封じに殺して、死体は見つかり難い山中などに捨てるから、獲物の口から漏れる事はない。
そして定期的に別の街に移動して棲み家を換えるから、死体を見つけられた時は、すでに遠く離れた土地にいる。もともと他の妖怪と殆ど交流を持たないから、人間に媚びる連中に気付かれる事はまず無い。
たまにそいつらに気付かれる事はあるが、結界のおかげで逃げ切る事ができるし、二・三街を移動すれば、もう追跡はしてこない。
だから、今まで比較的平穏に暮らしてきた。あの小娘に会うまでは。
あれは、たまたま岩手の高校に住みついた時だった。


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