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放課後の吸血鬼

3225:2005/06/01(水) 00:12:35
二人の前で、校内の見取り図と、関係者の似顔絵をさらさらと描いてみせる。
似顔絵なので、大分真紀の主観が混じっており、横口は実際よりもゴリラっぽく、西根はガリっと痩せ、野上はニヘラッと好色っぽい笑みで、被害者の長谷川は貧血っぽく描かれていた。
そして、中肉中背で小動物を思わせる黒目がちな目以外は平凡な容姿、そう説明された哲晴は、妙に格好良くかかれてたりする。
「電話の報告で、正体がばれたって聞いた時はヒヤヒヤしたけど、“うまく”いって良かったじゃない」
哲晴の似顔絵を見た魅子が、真紀に視線を移して、意味ありげにニヤニヤする。その意図に気付き、真紀はプイッと視線をそらして誤魔化す。美姫だけはそれに気付いてない。
その後は雑談に流れ、8時半を回ってからお開きになった。
駅に向かう途中、住宅街の道で、魅子はあっと小さく声を上げた。
「ごめん。忘れ物。先に駅に行ってて、すぐに追いつくから」
「またですか〜。しょっちゅうですね。じゃ鞄、預かりますよ」
「ありがと、じゃ、お願いね」
そう言いつつ、魅子は真紀のアパートへ、タタッと走り出す。
「あれ、先輩どうしたの?」
戻ってきた魅子に、カップを洗っていた真紀は尋ねる。
「たしか“まだ”でしょ? 大丈夫。美姫ちゃんは、先に駅に向かわせたから」
声を落としてそう答える。
「いえ、大丈夫です。折角ですけど、当てがありますから」
真紀は、わざわざ丁寧語でそう答える。
「そう? ならいいけど。絶っ対、遠慮しちゃだめよ。あたしにとっては、大した事無いんだから」
そう言いつつ、魅子はドアを空けて出ようとする。
「あ、それからね〜、明日の放課後、例の彼に会わせてくんない? だってさ、協力してもらうんなら、一回挨拶くらいは、挨拶したいし〜」
急に崩れた口調で真紀に頼む。真紀は承諾した。
「いいけど、…変な事言わないでよ。彼、真面目なんだから」
詳細を決めてからも、もう1度真紀は釘をさす。
「だ〜いじょ〜ぶ、だいじょーぶ。心配しないで」
ニカッと笑顔でそう言い残して、魅子はダッシュで駅まで向かった。


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