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放課後の吸血鬼

3妖怪に化かされた名無しさん:2005/03/03(木) 01:56:27
見つめ合ったのはほんの一瞬。少女はきびすを返し、開いていた戸から風の様に飛び出していった。まるで幻であるかのように。
しかし足元を見下ろせば、横たわる長谷川はそのまま、首筋からの出血が小さな血溜まりを作っている。
哲晴も我に返り、教室を飛び出した。
叫び声と共にこけつまろびつ階段を一階まで下り、昇降口の所まで戻る。
「で、出た出た。き、き、吸血鬼…」
混乱した頭では、そう吐き出すのが精一杯だった。
「その手には乗らねぇゾ」
「また、またぁ。冗談は休み休み言って下さいよ。…そう、“休憩付き”でね」
二人は一笑に付そうとしたが、哲晴の慌てっぷりに怪訝そうな表情をする。
「おい。ほんとに何かあったのか?」
不意に、西根が素っ頓狂な声を上げた。
「あぁぁぁぁぁーーーっ。血、血、血ですよ。中沢の上履きに…」
哲晴の指し示した哲晴の上履きには、べっとりと赤い染みがついていた。
西根と横口が顔を見合わせる。
「どこでどうした。中沢」
「き、教室に。長谷川さんが倒れてて…血が」
横口と西根は顔を見合わせ、廊下を駆け出した。


翌日、昼休み。3人は学食で掛蕎麦を啜っていた。ちなみに横口分は2杯である。

「いやぁ、驚いたよな。今日いきなり全校集会なんて」
「なんだよ、今朝のニュース見てなかったのか? やってたぜ、女子生徒一人が重傷って」
「校門の所にレポーターとかカメラとかいたじゃん」
「知らねーよ。今日は裏門から入ったから」

「で、結局どういうことなの?」
「マスコミに余計な事は喋るな、ってことでしょ」
「て、言っても何にも知らないよ」

「2-3の教室、警察が立ってたね」
「そのクラスの奴どうしてるんだ?」
「4階の空教室使ってるみたいだよ」

「襲われたのって、2-3の娘だろ」
「先週の吸血殺人と同じ奴の仕業らしいってさ」

聞き耳を立てなくても、昨夜の事件はそこら中で噂されているのがわかる。


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