したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

放課後の吸血鬼

2923:2005/06/01(水) 00:07:11
「じゃ、まずは、今回参加できそうな人から」
魅子はリストを取り出して二人の前に置くと、美姫の後ろに回ってその長い髪にサッサッとブラシをかけ始める。そして手元から目を離さずに、リストにある妖怪の名前とその予定をスラスラと挙げる。
続いて、真紀が地図を広げて、ペンで調査済みの地域にキュッとマーキングする。
魅子は地図を見つつ、手を休めずに慣れた様子で美姫の髪を好き勝手にいじる。鴉の濡羽色の髪は、三つ編みにされたり、リボンで束ねられたりと、次々にその姿を変える。
美姫の方もなれた様子で、静かに微笑んで大人しくされるがままでいる。そして一つの髪型が完成するたびに、魅子は、どう?と手鏡で美姫自身に見せる。
「相変らず、何にもしないのね、この髪」
真紀の説明が終ってから、魅子はそうコメントする。
「縛ったりすると、動かしづらいですから」
ニコッとした表情を崩さず、美姫はそう答える。
「ん、もう。せぇっかくの、射干玉のように漆黒で、黒曜石みたいに艶やかで、絹の様にしなやかで、鋼のように強靭な、ステキな髪なのに、もったいないよ」
「さらっと、妙な表現混ぜないで下さい」
固まったような微笑が、ピクリと僅かに崩れる。
「ほ〜ら、怒ったなら怒ったで、さっきみたいに表情を変える。美姫ちゃんはもう、充分に髪を抑えられるんだから、ね」
魅子が解き終わった髪は、さっきと違ってピクリとも動かない。それに気付いてあ、と小さく声を出した美姫に、魅子はギュッと抱きついて耳元で囁く。
「我慢もいいけど、あたし達といるときくらい、無理は禁物だゾ、と」
「あ…、はい」
美姫は今度は惰性ではなく、自分の意思でニコッと笑った。
そして真紀が今日の報告を始めた。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板