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放課後の吸血鬼

2519:2005/05/31(火) 23:49:27
「じゃあ、何で僕にこんな事を話したんだ」
哲晴は声を荒げる。もっとも、周囲に聞こえないような小声ではあったが。真紀は、手にしたコーヒーカップに目を落とす。
「愚痴…かな? 正体を隠して人気者の転校生を演じるのって、意外とつらいから。…ほら、ボクって元々はこんなしゃべり方だけど、できるだけ違和感がないように、学校じゃふつうの喋り方してるし。
 だから、こうして時々、つい本当の事を、全部喋っちゃうんだ。信用できる相手に…」
再び、哲晴をジッと正面から見つめた。
「もし、今日知った事がどうしても嫌なら、重荷なら…、記憶を消す事も、できるよ」
記憶を消す? そんな事をしたら、あの紅玉の瞳に雪の肌、林檎の唇に白銀の牙の記憶も…。そしてそれは、今後の彼女との繋がりも、スッパリと切られる事にもなる。
「…いや、それはいい」
おそらくは理由を善意か何かと勘違いして、真紀はニコッと微笑んだ。
「ありがと。さ、早く食べちゃってよ。コーヒー、冷めちゃうよ」
哲晴は沈黙のまま、サンドイッチを片付けた。
「じゃ、そろそろボクは行くから」
暫く後、先に食べ終わった真紀は立ちあがり、伝票に手を伸ばす。
「お勘定は、口止め料という事で」
と、哲晴がサッと手を伸ばして先にそれを取った。
「いや。僕も、友達も助けてもらったんだし、僕が払うよ」
「え、でも。ここに誘ったのはボクだし…」
「だったら、せめて何か協力させてくれ。その…、知ってて何もできないのは、辛いんだ」
君の力になりたい、という言葉は、恥ずかしくて、ぐっと飲みこんでしまった。
「ふうん、だったら…。そうだ、一つ協力してもらおうか」
真紀は何かを思いついて、ニッと微笑んだ。


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