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放課後の吸血鬼
2
:
妖怪に化かされた名無しさん
:2005/02/18(金) 02:14:07
一階東側の昇降口に向かいながら、話を続ける。
「そもそもいるのかよ? 吸血鬼なんて」
「本物の吸血鬼がいない、とは限りませんが、それより猟奇殺人犯の可能性がありますよ」
西根は嬉々として様々な血を飲む猟奇殺人犯を語る。
「そんなのが、めったやたらいるとは思えないけど」
「でしょうね」
「ってーこたぁ、おんなじ犯人なのか?」
「かもしれません」
「そういやあ」
哲晴がふと思い出した。
「その前にも他所で同じような連続殺人事件があったね」
「案外、全部同一犯で、ほとぼりが冷めてまた戻ってきたのかもしれませんね」
「まっさかーーっ」
「偶然だろ?」
「ですよねぇ」
下足箱の前まで来て哲晴は、ハッとして急に鞄を調べ出した。
「あ、やばい。宮崎から借りたCDを忘れた」
「今から教室に戻るのか? 俺はヤだぞ、あんな気色わりぃトコ」
「同感です」
「コラ。そもそも、お前が始めた話のせいだろが」
「ご愁傷様です」
「頑張って行ってこいや。骨は拾ってやっから」
「この薄情もーん」そう言って、哲晴は一階の廊下を西階段に向かって走り出した。
西階段を昇って薄暗い教室に一歩踏み入れると、ピシャッと水音がした。
一瞬遅れて、吐き気を催すほど強烈な塩っぽい鉄錆臭。
足元を見ると水溜り、その続いていく先を目で辿ると倒れている女子生徒がいた。
クラスメイトの長谷川浩子だ。
そしてその向こう、丁度もう一つの戸の前に一人の少女が立っていた。
しかし、窓からの光に照らされたその少女の姿は…。
卵型の整った顔立ちに、猫科の獣を思わせる吊り気味の目。しかしその中には血色に輝く不吉な瞳。
スラリとした鼻梁と鼻翼の小さな高い鼻に、小さめの口。しかし口元からチョコンと飛び出ているのは鋭い牙。
背が高く華奢な身体に、ほっそりと伸びた指、しかしその先端にはナイフのような鋭い爪。
背中まで髪を伸ばしたその少女は息を呑む恐ろしく、そして美しく、その場面は凍りつくほど凄惨で、そして幻想的な、1枚の絵のようであった。
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