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放課後の吸血鬼

1913:2005/05/31(火) 23:33:07
真紀は、目撃者の少年をトンッと軽く跳び越し、女郎蜘蛛の前に立ちはだかった。
「あらぁ、随分と遅かったじゃなぁい。でもねぇ、せっかくなら、もうちょっと遅れなさいよぉ。殿方とのひと時を邪魔するなんて、野暮よぉ」
女郎蜘蛛は、からかうような口調でクネッとしなを作るが、真紀は無言のままキッと睨みつけて身構える。
ダンッと床を蹴り、黒髪の尾を引いて女郎蜘蛛に肉薄する。ヒュッと風を切って、白銀の鋭い爪の手刀で突きが繰り出される。女郎蜘蛛はそれをガッと腕で受け流す。
二撃、三撃と次々に繰り出されるそれを、彼女はくすっと余裕の笑みを浮かべつつ防ぎきる。真紀が一呼吸おき、攻撃が途切れると、今度は闇色の爪の生えた腕が振るわれる。
予想される軌道は真紀を捕らえない、ならば。タンッとステップを踏み脇に避けると、粘つく糸の塊がヒュッと真紀を掠めて飛んで行く。
「あら、勘が良いのね」
真紀は再び懐に飛びこみつつ、ブンッと白銀の残像を残して爪を振るう。女郎蜘蛛はシャシャと多足を動かし、滑るように下がる。と、その豊かな左の胸に、シュッと僅かに爪がかすめる。
左の膨らみの先端、朱色の突起のすぐ脇に、より鮮やかな赤がジワリと滲む。
「痛いわねぇ。自分に無いからって、僻まないでよっ」
そう彼女はからかいつつ、豊かな乳房を強調するように、左のそれを下から掬うように手を添え、親指で、ツツッと血を垂らす傷をそっと撫でる。
それからスッとその指を口元にやり、親指を濡らす血を同色の舌でペロリと舐める。続けて指の腹から漆黒の爪の先端まで、ツッと舌を這わせる、ひどく淫靡な仕草で。
その口に浮かぶのは、血に酔いしれる淫蕩な笑い。その瞳に映るのは、暗くメラメラと燃える復讐の炎。
が、真紀はそれに取り合わず、無言で突きを繰り出す。
「いっやあん。こっわぁい」
しかし彼女はそれ以上応戦せず、おどけた声を残し、クルッと向きを変えて教室に飛び込む。
続いて真紀が教室に飛び込むと、女郎蜘蛛は窓を潜り抜け、ピョンと外へ飛び出すところだった。真紀もダッと駆け出して、バンッと手をついて教卓を飛び越え、スタッと窓際に到達する。
半ば身を乗り出すようにガバッと窓の外を見下ろすと、中庭には既に女郎蜘蛛の姿はなかった。正面に見える、職員室などのある南棟の外壁にもその姿はない。


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