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放課後の吸血鬼

148:2005/05/31(火) 23:08:34
「ひっ…」
背筋をゾクッと戦慄が駆け抜け、今まで温もりを感じていた背中が、サッと凍りつく。
「や、やめ…ろ」
哲晴の弱々しい抵抗の言葉は無視された。
今まで笑いの形を作っていた、目の前の小さめの口がカッと開き、キラリと冷たく輝く牙とチロリと蠢くピンクの舌、そしてその奥の底知れぬ奈落が見えた。
思わず顔を背けた哲晴の首筋に、ズン…と鈍い衝撃が走った。真紀の鋭い牙が、ズブリと食い込む。
「うぁっ…」
か細い悲鳴を上げた口が、白く細い手にピッタリと塞がれ、頭も動かせぬように、剛力を放つ腕でがっしりと押さえられる。
次第に哲晴の息を荒げるのは、恐怖か、喜びか。
鋭い牙が、輝く牙が、美しい牙が、皮膚を、肉を、血管を、突き、破り、穿ち、中まで、奥まで、深くまで、ズブリ、ズブリ、ズブリと食い込む。
グサリと突き立てられた真紀の白銀の牙が、肉体を、生命を、精神を削りとっていく。削られた命が、チュウチュウと吸われていく。
自分の17年の人生に、彼女の牙が深々と食い込み、途切れさせようとしている。
死ぬ、殺される、終ってしまう。人ではない、人ではない姿の、人ではない容姿の、人ではない美貌の彼女によって。
老衰でもなく、病でもなく、事故でもなく、彼女の牙が、彼女の口付けが哲晴に終焉をもたらす。
それは、とても、とても、とても……素晴らしい、死。


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