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放課後の吸血鬼

126:2005/05/31(火) 23:07:19
放課後、哲晴が当番の2階トイレの掃除を終え、4階にある臨時の教室へ向かおうとしているところだった。
他の掃除当番は、自分に割り当てられたところを適当に片付けて、さっさと帰ってしまっている。
昨日の事件の影響で部活動は全面中止となり、生徒は下校を促され、校内はガランとしている。と、2−2の教室から一人の女生徒が出てきた。
大日向真紀だった。向こうも、こちらに気付いた。
ゾクッと哲晴の背筋を駆け抜けたのは、戦慄か、或いは期待か。が、彼女は露骨に目を逸らし、クルッと向きを変え、反対方向へ歩み去った。
ふと、不吉な予感がして2−2の教室に入ってみた。
「お、何だ? 哲晴」
中では、野上がうーんと大きく伸びをしていた。
「お、そうそう。今、俺の方が一歩リードしたぜ」
垂れ目をニヤつかせて自慢する。
「さっきさ、俺が居眠りしてたら、早く帰った方がいいよ、とか言って起こしてくれたんだぜ。ま、これで俺の顔は覚えてもらえるな」
哲晴の顔色が、サッと変わった。
「そ、そうか、良かったな。ところで、身体は何ともないのか?」
「ハ?」
野上は、きょとんとした。
「いや、こんな所で居眠りするなんて、珍しいと思ってさ。なんか疲れでも溜まってるんじゃないかって思って」
「ん〜。いや、別になんともないよ」
「そ、そうか、そりゃ良かった」
哲晴は、曖昧な返事をして教室を後にした。それを怪訝そうな顔で見送る野上の首筋には、ポツリと二つの真新しい傷跡があった。


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