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ネタバレ専用談話室

294妖怪に化かされた名無しさん:2008/07/10(木) 03:17:12
校舎から出てきた美姫と魅子に、二人の青年が近づく。
一人は蝙蝠の翼で羽ばたく、細身で整った顔立ちの青年。
もう一人は、間の抜けたような柔和な顔の青年。
「デッド、EE」
「教え子が関わってるんじゃ、一肌脱がないとね」と青年二人。
互いに挨拶した後、魅子は柔和な青年に噛み付く。
「ちょっと、デッド。年頃の女の子に怪我させるような無茶な戦い方、教えてんじゃないわよ」
「ごめん。ちゃんと責任もって治療するから」
「もう治したわよ。大事な美姫ちゃんに、いつまでも怪我させたままにするわけないじゃない」
「終わったみたいだし、ちょっとその辺でお茶でもしますか」
「でも、真紀先輩がまだ」
「野暮はいけないよ」とさっきまで空を飛んでいたEE。

屋上にて、互いに疲労から回復した二人は語り合う。
襲った事、恐れた事、隠してた事、見捨てた事、それを互いに謝る。
哲晴は真紀の事を知り、その上で総て受け入れる事を誓う。
起きあがりかけた真紀は、脇腹の傷を抑えふらつく。
それを支える哲晴。
「大丈夫か? ええっと、そうだ。血を吸ったら回復が早まらないか」
「え、いいの?」
「うん。助けてもらってばっかりじゃ申し訳ないし、せめてこれくらいはしなくちゃ。それに君の力になりたいし」
「じゃ、お言葉に甘えて」
押し倒すようにして哲晴の首筋に口を寄せる真紀。
「え、ちょっと。できればさっき噛んだ腕の方から……」
「なーんてね。実は再生能力があるから平気だよ」
ペロッと舌を出して、そのまま抱き付く。
「信じるよ」
そっと抱き返しながら哲晴は言う。
「魅子ちゃんから君の話は聞いたよ。君の事を知ったから、君が今までしてきた事を知ったから、僕は君を信じるよ」
「ありがとう」
何か言いかけた哲晴の唇は、真紀の唇でそっと塞がれた。
そんな二人を、もうすぐ満ちようとする月が照らしていた。

何処とも知れぬ山の中の木造校舎。その一室の戸が開かれる。
入ってきたのは首無し少女。部屋に幾つもある棚には、老若男女、無数の首が置かれている。
少女は首がなくても見えるのか、その中にある一つを手にする。
さっき、美姫に切り裂かれたのと寸分違わぬ少女の首。
「あら、帰ってたの。首尾は?」
スカートの長い、紺ではなく漆黒のセーラー服を着た少女が戸口に現われ問う。
「ああ、ダメだった。元々ダメ元だったんだし、しゃーないでしょ。それより美奈萌ちゃんは?」
「それなら、さっき泣きながら帰って来たわよ」
「そう、良かった無事だったんだ。魅子め、憶えてなさいよ。今度あったらただじゃおかないから」


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