したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

454盤上の月2(17) ◆RA.QypifAg:2012/06/10(日) 01:28:57

「オレも食べるぞ〜、ほらアキラも熱いうちに食べろ」
箸で天ぷらをつまみながら、芦原はアキラに声をかけた。
「今、頂きますよ」
笑いながらアキラも天ぷらに箸を運ぶ。
「でも久しぶりだな。こうして3人で飯を食うのは」
緒方は芋焼酎のロックをぐいっと飲みながら、しみじみと言う。
「アキラの対局数が多くなってきたから、時間がなかなかあわないもんな。
今オマエ、名人戦と碁聖戦のリーグ入ってるだろ。オレも頑張らないと」
緒方と同様に芋焼酎のロックを口に流し込みながら、芦原は箸を動かす。
緒方は現在、十段・碁聖のタイトルホルダーであり、アキラは今後碁聖戦のリーグを勝ち抜き挑戦手合
い権を得ると、緒方への挑戦者となる。
追う者と追われる者とが一緒に食事をする。一見、奇妙な関係がそこにはあった。
―――いつか来る日だとは思っていたが、こんなに早く来るとはな………。
穏やかに笑いながら食事をするアキラを見て、緒方は少し複雑な心境になった。
わかってはいた。あの時からいつかこんな日が来ると。
………………オレは知っていた……………
緒方の目線は眼前のアキラや芦原を通り越し、別のところへと彷徨う。



―――約12年ほど前。
プロになりながらも、親の都合で緒方は高校に通っていた。
緒方の親はプロになることに賛成を示さず、緒方の兄弟や親戚筋は、皆一流大学へ進学して有名企業へ
就職していた。緒方の親はそのような進路を求めたが、緒方は自分の進みたい道を選んだ。
緒方が行洋の研究会へ参加するため塔矢邸を訪問すると、そこには大抵アキラがいた。
アキラはその頃は5歳ぐらいだと緒方は記憶している。
いつもアキラは1人で碁盤に石を並べていた。
緒方が友達と遊ばないのかと訊くと、アキラは悲しそうな顔をして緒方に言う。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板