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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

449盤上の月2(13) ◆RA.QypifAg:2012/06/03(日) 02:26:18

桑原は、ふむっと一言を発し、その場でしばらく考え込む。
「確かに棋院は昔から有力なパトロンがいて、創立した経緯がある。空襲でこの市ヶ谷の棋院は1度跡
形も無く破壊され、パトロンの援助で立て直されたからな。
だがな、佐賀さん。スポンサーやパトロンも確かに大事だが、普及の方を力を入れるべきではないか。
根本的な問題はそこじゃろうて。
人に愛されない、見向きもされないものは、廃れていくのが自然の摂理であるならば、そこをなんとか
関心を持つように時間をかけて働きかけるしかなかろうて………。
ワシの戯言と聞き流してくれてええよ」
「桑原先生のお話は痛いほどわかります。だが時間が無いのです……」
「まあ囲碁が普及しないのは、この老いぼれにも責任がある。出来るだけ力になれればと思うとるよ。
どうじゃろう、佐賀さん。世間から注目を浴びやすい国際棋戦や世界棋戦に、若手を参加させてみると
かは。見所のある低段者でも経験を積ませる。国の棋戦だけじゃ世界には通用せんよ」
「………………」
「佐賀さんも知っていると思うが、今の碁界は若手が育ってきておる。
リーグ戦やタイトル戦に名があがるようになった若手の倉田。
また昨年の北斗杯で名をあげた塔矢さんの息子である塔矢アキラや、進藤ヒカル、それに社。
活気が出てきておる」
「………古参の棋士先生方や棋院関係者らは、納得されないでしょうね……。
しきたりを重んじる時代錯誤の碁界では、特に進藤君は一部からあまり評判が良くない。
以前の手合い不戦経歴や、北斗杯で塔矢アキラを押しのけて大将についたことを良く思わない重鎮もい
るんですよ」
「進藤の小僧は、苦労するかもな……。ワシは気に入っているのだが。
力をつけて実力を奴らに見せつけるしかないじゃろう。それにいつでもどこでも、新しい風に歯向かう
輩はいるだろうよ。血を流す改革無くして風向きは変わらんよ、佐賀さん」
「………確かに経営を軌道に乗せるには、かなりの血肉を削らねばならないでしょうね……」
2人は部屋から見える曇空へ目を動かして少し眺め、互いに小さく息を吐く。
桑原は佐賀のいる部屋から出て喫煙室へ向かうと、そこにはすでに先客がいた。


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