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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

435戻り花火 ◆pGG800glzo:2008/12/15(月) 23:46:28
(107)

――そうあれは、もう過ぎ去った夏の盛りの出来事。
社が東京を去った後、ヒカルとアキラの間にはほとんど元通りと言っていいような
日常が帰ってきた。
ほんの少しの疚しさと痛みを、日常の顔の後ろに隠したまま。
あの夜起こった一連の出来事については、互いを責めることもなかったし
普段の会話に上すこともなかった。
それでも時折、真夏の熱に悪酔いしたようなあの夜の昂りがぶり返して
ヒカルを残酷な遊びに駆り立てる。
「し、進藤・・・んぅッ・・・!イヤだっ、あっ・・・あっ・・・!」
「んっ・・・、ンなこと言って・・・ぐいぐい締め付けてきてんじゃねェよ・・・っ、
ホントはオマエ、あの夜のこと思い出しながらすんの、大好きだってバレてんだよっ・・・!」
綺麗に畳まれた夜の布団が崩れそうに揺れて、
上気したアキラの肌から立ち昇るのは、あの夜と同じ仄かな火薬と煙の匂い。
荒い息をつきながらアキラの奥を穿つたび、己が精と共に、
この胸の底に鬱積したアキラへの愛憎も一緒に放ってしまえれば良いのにと思う。
そうしてアキラのことを忘れ去ってしまえば、いつかアキラが他の相手を選んだとしても
胸の痛みとは無縁でいられるのだから。
だが実際は、体を重ねれば重ねるほど苦しさも欲も募るばかりで、
アキラの体を意のままにすればするほど、心まで全て欲しくなる。
大阪に帰った社は、アキラの側にいられないせいで苦しい思いをすることもあるのだろうが、
アキラの側にいるヒカルには、側にいるがゆえの苦しみがあった。

限界が近づいた時、ヒカルの目の裏には、あの夜見た花火の光景が蘇った。
ヒカルと社、二人の花火に挟まれて灼かれ、鮮やかに花開いたアキラの花火。
三人の熱が溶け合うばかりに交じり合い、ただ一時だけ実現したあの混交の美――
あの時の花火のように、自分たち三人もあの夜狂おしい熱を貪り合い、
境も分からなくなるほどに交じり合い、
そのまま燃え尽きて消えてしまえていたら良かったのかもしれない。
そうすればヒカルも社もアキラを失うことはなく、
アキラもヒカルと社のどちらかを失うなどという選択をしないで済んだのだ。
実はそれこそが、あの夜三人が口に出さず心の底に押し込めていた本当の望みではなかったか?


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