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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

433戻り花火 ◆pGG800glzo:2008/12/15(月) 23:44:06
(105)
一晩中起きているつもりだったのに、やはり疲れが一気に来たのだろう。
薄青い明け方の光が障子から差し込んできたのを感じた辺りでヒカルの意識は途切れ、
目を覚ました時はもう予定の起床時刻を一時間以上も過ぎていた。
「げっ。ヤベッ」
両隣の布団は既に畳まれて、部屋の隅に寄せられている。
慌てて廊下に出て隣室を覗くと、障子いっぱいの白い光に満たされた室内で、
アキラと社が碁盤を挟み向かい合っているところだった。
無意識にヒカルの足は碁盤の脇に向かった。
ヒカルが傍らに腰を下ろしても、アキラと社の視線は動かない。
ヒカルも二人の顔を見てはいなかった。
誰も言葉を発さず、それでいて三人の心が真っ直ぐ一つの場所に向いていることを
三人ともが知っていた。
それは今自分たちが囲んでいる、碁盤の上だ。
きっとこの先何があっても――
たとえ修復不能なほどに互いの関係が壊れてしまう日が来たとしても。
自分たちは必ずこうしてまた帰ってきてしまうのだろう。
自分たちが出会うきっかけとなった、全ての始まりである十九路の交差の上へ。
そのために、幾度同じ過ちを繰り返し傷つけ合ったとしても。
一手一手噛み締めるように目の前で紡がれていく対局を見つめながら、
ヒカルの胸をそんな予感がよぎった。


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