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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

427戻り花火 ◆pGG800glzo:2008/08/12(火) 00:05:10
(99)

――何をしてるんだろう。なんでオレ、こんなことやってるんだろう。
そんな思いがぐるぐると濁流のように渦巻く。
アキラの両手首を押さえ付けるヒカルの目の前で、社はアキラを抱き、
その間ずっとアキラは声一つあげずに目を閉じていた。
狂気に駆り立てられた時は過ぎていき、やがてアキラの名を呼びながら達した社が、
我に返ったように汗に濡れた顔でアキラを見つめた時、
ヒカルは胸の奥からせり上がってくるものをこらえ切れなくなって部屋を飛び出した。

暗い廊下をよろめきながら突っ切り、一番手近な密室であるトイレに駆け込む。
そこでヒカルは、気道を圧迫して息をできなくさせている不安と不快の塊のようなものを
吐き出そうとした。
しかし何度えずいても、喉からは透明な唾液と苦い胃液とが唇を伝い溢れ落ちるばかりで、
不快な塊は無くなってくれない。
罰が当たったのだとヒカルは思った。
自分を裏切ったアキラに意趣返しをするために、あんな酷いことをしたから、
こんな苦しい塊が胸の奥に出来たのだ。
この苦しさは一生消えてなくならないのかもしれない。
でもそれも、自分が二人にしたことを思えば当然だ。
ヒカルはしゃくり上げた。するとさっきアキラが自分に酷いことを言われて嗚咽していた姿が蘇り、
頭がガンガン鳴った。
明日アキラに会った時、どんな風に声をかけたらいいのか分からなかった。
社にもどんな顔をして会ったらいいのか分からない。
ぐちゃぐちゃになった頭で辛うじて理解できるのは、
アキラと社の間に育ちつつあった信頼関係に対し自分がこれ以上ないほど深い傷を負わせたことと、
この数日間アキラと社と三人で過ごした素晴らしい時間は、
もう二度と返って来ないのだということだけだった。

へたへたと、ヒカルは扉を背にして座り込んだ。
――あの花火から後、自分たち三人の間に起こったことが全部夢だったらいいのに・・・
折り畳んだ膝の上に顔を伏せると、夢の中に落ちて行けそうな気がした。
身も心も疲れ切っていたヒカルは、いつしかそのまま眠ってしまった。


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