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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

412小花恋唄 ◆pGG800glzo:2008/06/24(火) 21:37:58
(83)
「・・・・・・お話中、失礼致します。公宏坊ちゃま」
襖の向こうで遠慮がちな声がした。真面目な話を途中で遮られた格好となり
照れ臭そうにヒカルに目配せをしてみせてから、筒井が振り返る。
「何だい?どうかしたの、爺や」
「もう一組、お客様がお見えでございます。坊ちゃまにお会いしたいと・・・」
「おう、筒井っ!オマエが会いたい相手を連れてきてやったぜ」
爺やの声に被さるように豪気な声が響いて、勢い良く襖が開いた。
そこに仁王立ちしていたのは、いつもながら堂々たる体躯に自信に満ちた表情の
彼らの親友――加賀である。筒井の枕元にヒカルがいるのを見て
加賀は白い歯を見せ片手を上げた。
「よっ。進藤、オマエも来てたのか」
筒井が気抜けしたように微笑む。
「なんだ、加賀じゃないか。爺やってば、コイツならすぐ通してくれて構わないのに」
「今日はオレ一人じゃねェからな。爺やさんも気を遣ったんだろうぜ」
ニヤニヤしながら加賀が親指で自分の背後を指し示す。
大きな加賀の陰に隠れていた少女が、おずおずと姿を現した。
「え・・・あ・・・・・・つ、津田・・・・・・さん?」
「・・・・・・」
少女は筒井と視線が合うのを避けるように加賀の身体越しにゆっくりと部屋を見回し、
肌寒い日とはいえ厳重過ぎるほど温められた室内の空気や、何種類もの薬袋と水差し、
布団の脇に置かれた洗面器や手拭や体温計、などを認めたようだった。
そして躊躇いがちに彷徨っていた視線が、とうとう布団の上の痩せ細った筒井に辿り着いた時、
彼女はわッと顔を覆って泣き出した。
「つ、津田さん」
「御免なさい、御免なさい、筒井さん。私何も知らなくて」
「な、泣かないで。でもどうしてキミが・・・」
「そりゃあよ、筒井。正義の味方が教えてやったに決まってんだろ?
邪魔者は退散するから、後はちゃんとオマエから彼女に話してやりな!ほら、行くぜ進藤」
「え?あ、あぁそうだな・・・それじゃ筒井さん、また来るから!」
加賀に引っ張られるようにして、ヒカルは筒井の家を後にした。


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