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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

398探偵妄想 ◆pGG800glzo:2007/07/15(日) 21:30:01
(88)
考え深い瞳で腕組みをしてアキラは言った。
「思い出してみてくれ。あの時、伊角さんは明らかに――
厨房に入っていくところだったんだよ、進藤。身体はもう厨房の中に入っていて、
ドアから顔だけ半分出してこちらを見ていた。だから厨房に何か用事があるのかな、
と思ったのに、ボクたちを探していたと言ってすぐ出てきたから
少し引っかかってはいたんだ。ボクたちを探してたなら、
物置にいるボクたちの話し声は廊下にも聞こえるし、ドアの隙間から灯りも洩れる。
現に伊角さんの少し前、永夏とルーリィは声と灯りを頼りに物置まで辿り着いた。
もし仮に物置にいることに気づかなくても、厨房のドアを開けて中を覗けば、
中にボクたちがいないことは一目でわかったはずだ。なのに伊角さんは
無人の厨房にわざわざ足を踏み入れて、おまけにそれを誤魔化そうとした。
だからあの時点でこの厨房には既に、伊角さんの秘密――
中身の減ったペットボトル、が存在したことになる」
ヒカルがなおも納得しない表情で口を尖らせる。
「でも、オレたちが物置を調べに行ったのって、厨房荒らしの事件の後だぜ?」
「そうだけど、厨房が荒らされてからボクたちが調査に出かけるまでの間は、
みんなでお屋敷内を探索したりお夜食をいただいたりで、ずっと団体行動だった。
それに食料が荒らされた後は現場保存のため、今夜は誰も厨房に立ち入らないようにと
言われただろう。つまり厨房荒らしの事件が発覚したその時から、
あのペットボトルの飲み物は誰にも見つけられず、誰にも飲まれないものに
なってしまったんだよ。そんな飲み物に、敢えて人目を忍んで細工する意味は
あるだろうか?・・・そう考えると、やはりあの飲み物は厨房が荒らされる以前に
捨てられていたと考えるのが自然だ」
「うーん、そうか。なるほどな〜」

ヒカルが頷く横で、伊角が寂しく微笑んだ。
「・・・・・・さすが塔矢アキラ、ってところか。
KOされてリングに沈むボクシング選手ってのは、こんな気持ちなのかな・・・」
伊角は初め自嘲するように、言葉の最後はむしろ清々しいような表情で、
息を吐き出しながら瞑目した。


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