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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

391探偵妄想 ◆pGG800glzo:2007/06/23(土) 18:45:02
(81)
伊角は頷き、再び目を潤ませた。
「悲鳴に続いて皆が部屋から起き出してくる音、階段を駆け下りて下へ行く音が
聞こえました。――死んでしまったのだ、と思いました。オレが格闘した相手は、
オレが突き飛ばしたせいで死んでしまった、オレは人殺しなんだ・・・と。
そう思うと怖くて、一度剥がした毛布をもう一度引き被って震えていました。
部屋から出てこないオレを心配して和谷が呼びに来てくれるまで、そうしていたんです」
室内はしいんとしていた。
誰もが、信じられないという顔、複雑そうな顔、同情を込めた顔で伊角を見ている。

零れ落ちそうになる涙を上を向いて堪えながら、伊角は続けた。
「和谷に連れられて厨房へ着くと、人だかりがしていて・・・倉田さんの話で、
オレ初めて、オレが突き飛ばしたのが楊海さんだったということを知りました」
「相手が誰か、分かってへんかったのか?」
社が唇を尖らせる。
「はい。信じてもらえるか分からないけど・・・オレ、本当に知らなかったんです。
厨房の入り口から声をかけられた時、相手の姿は逆光になってよく見えなかったし、
取っ組み合った時も厨房の中は薄暗かった・・・それに何よりオレ自身、
今日一日にあった色々な事件が頭をよぎって、殺されるかもしれないという恐怖で
相手の顔を確かめる余裕はありませんでした。ただ無我夢中で相手を突き飛ばし、
逃げ出してしまったので――」
「ちょっと待てよ。殺されるかもしれない?空々しいな。
今日起こった事件の犯人はアンタなのに、殺されるも何もないだろう」
永夏が豪華な睫毛に縁取られた目を眇めた。伊角がビクッとして青褪める。
「え――そ、そんな、違います。オレ、確かに楊海さんを突き飛ばしてしまったけど、
他の事件のことは知りません。本当です!」
「そう・・・伊角さんが他の事件の犯人ということはあり得ないよ、永夏。
理由はさっき楊海さんと管理人さんが言ったとおり、それらの事件が起こった時、
伊角さんにはれっきとしたアリバイがあるからだ。伊角さんが関わっているのは
楊海さんの事件だけだ」
アキラが告げると、伊角はほんの少しだけほっとしたように、涙ぐんで俯いた。


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