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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

390探偵妄想 ◆pGG800glzo:2007/06/23(土) 18:44:00
(80)
「・・・・・・」
アキラは同調も否定もせず、唇を結んで手を後ろに組んでいる。
まるでこれ以上を自分の口から指摘するのは本意ではない、とでも言うように。
その沈黙に耐えかねたように伊角が肩を落とした。
「どうかもう・・・オレのことなんか庇わないで下さい、楊海さん、管理人さん。和谷も。
オレは、そうやってみんなに信じてもらえる価値があるような人間じゃないんだ」
「どっ、どういうことだよ伊角さん!?」
和谷が詰問すると、静かに閉じた伊角の瞼から、涙が一筋流れ出た。
「楊海さんを突き飛ばして失神させてしまったのは・・・・・・オレなんだ。
塔矢・・・おまえにはお見通しなんだろう?」
「ええ。・・・ご自分から打ち明けていただけて嬉しいですよ」
頬を濡らすものを手の甲でそっと拭ってから、伊角は俯きがちに語り始めた。

「オレ、皆が寝静まった頃を見計らって、この厨房に来たんです。
物騒な事件のあった後で怖かったけど、その・・・どうしても用事があったから。
用事はすぐ終わると思ったので、電灯は点けずにドアを細く開けて明り取りにしました。
でも、オレが数歩歩くか歩かないかのうちに、ドアのほうで『おい、誰だ』って
鋭い声が聞こえて。その時はオレ、心臓が口から飛び出るかと思いました」
「威嚇のつもりで怖い声を出したからな。驚かせちまって済まない」
楊海が謝ると、伊角は激しく頭を振った。
「謝らないで下さい!オレが電気も点けずにコソコソしてたから悪いんです。
・・・それで・・・オレはどうしたらいいか、頭が真っ白になってしまって・・・
部屋の暗がりに慌てて隠れて、息を潜めました。でも誤魔化し切れるはずもなく、
部屋に踏み込んできた相手と取っ組み合いになって・・・オレが突き飛ばした拍子に
相手が呻いて床に倒れたので、今のうちにと一目散に自分の部屋に逃げ帰ったんです。
・・・部屋でベッドに入ってから、後悔と動悸で悶々としました。
オレが逃げても、彼は追って来なかった――打ち所が悪くて倒れているんじゃないか、
もしかして死んでしまったのじゃないか。『階下で物音がする』とでも言って、
誰かと一緒に様子を見に行ったほうがいいかもしれない・・・
そう思ってベッドから起き上がろうとした瞬間、凄い悲鳴が階下から聞こえました」
「それが倉田さんの声、だったんですね」


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