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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

359裏失楽園:2004/11/28(日) 22:28
 愛しているなんて――こういうときに言わないで欲しかった。
 口先だけのことかもしれないのに、それに縋りついてしまいそうになる。
 信じたい気持ちと信じたくない気持ちがせめぎ合う。
 緒方さんの心臓の音がそれは真実だと伝えているのに、どうしてボクの全部で信じられない
のだろう。どうして……全身を彼に委ねられないのだろう。
「信じろ。何も考えずに、オレだけ見てればいい」
 緒方さんの声はまるで催眠術だ。
「進藤のことを考えても、そんな風に泣きたくなったりはしないだろう。もし進藤がキミ以外の
人間と寝たとしても、キミは何とも思わないはずだ」
「そうかな…」
 呟くと、力強く頷かれる。
「キミは、碁を通じてでしか進藤と向かい合っていないんだ。身体を重ねたことは、碁で相手を
打ち負かしたい欲求をセックスと勘違いしただけだ」
 断言に近い言葉は妙な説得力をもってボクの胸に届いた。確かにそうなのかもしれない。
 身体を傾け、ボクの背中に隠れたままの進藤の顔を見る。彼が緒方さんの断定にどのような
反応を示すのかを確かめたかった。
「信じられない……」
 思わず呟いてしまう。
 ――進藤は眠っていた。ボクとソファの背中の間に顔をすっぽりと突っ込んで、普通にして
いても少し上を向いている上唇をほんの少しだけ開けて。


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