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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

350裏失楽園:2004/07/25(日) 16:24
「遊ばれてるって何だ」
「ボクの他にもたくさんの人がいましたよね。鈍いボクは気づいてないとでも思っていましたか」
 緒方さんは神経質だった。ベッドにはいつも糊の利いたシーツが掛かっていたし、長さや
色の違う髪が床に落ちていることもなかった。
 いつも同じところに、同じメーカーの避妊具や小物がきっちりと並べて置いてあるのも彼の
性癖の一つなのだろうが、その量が以前に比べ明らかに少なくなっていることにあるとき不意
に気づいた。
 そのことに気づいて用心深く観察していると、疑惑はすぐに確信に変わった。
 裏切られたという思いが湧き上がってくるのと同時に変な安心感に満たされたのは、心の
どこかで彼を信じ切れていなかったからだった。
 そういうときに今の進藤に出会った。
 進藤とは駆け引きめいたことはしなくていい。欺瞞とかそんなものとは無縁の世界で、ただ
お互いがお互いでありさえすればいい――そのことは、どれだけボクを魅了しただろうか。
「緒方さんのことをいくら好きでいても、抱かれてさえいても、いつも悲しかった。虚しいだ
けだった。そういうの、そんなの……! 恋愛とは絶対言えないでしょ……っ!」
 叫ぶと、唐突に抱き込まれた。意外と温かい彼の体温に、呼吸をするのを忘れる。
「それでも、恋愛なんだよ」
 ボクを抱きしめたまま、緒方さんは静かに呟いた。
「オレの心臓の音が聞こえるだろう? こんな風になるのは、アキラくんを愛しているからだ。
キミがそんな風に悩んだのも、不安になったのも、疑心暗鬼になったのもオレを独占したいと
思ったからで、それはやっぱり恋愛でしかないんだよ。……そうだろ」
 ドクドクと伝わる胸の鼓動はボクと同じ高鳴りで、それを感じているとふいに泣きたくなった。


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