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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

349裏失楽園:2004/07/25(日) 16:22
「……そうなのか?」
 緒方さんは呻くように呟く。その声音の奥に潜んでいるのは、紛れもない苦悩だった。
「恋愛をしているつもりなのは、オレだけだったなのか?」
 彼の視線が縋るようにボクを捉えている。
 ボクのほんの些細な仕草も見逃さない、そんな真剣な眼差しだった。
 ここに第三者がいることや、その進藤が好奇心を丸出しにして聞き耳を立てていることを
承知で、なおも本心を吐露しようとしている。そういう彼を――誰が軽蔑できるというのか。
「いいえ」
 溜息混じりに髪を掻きあげた。彼に『長いのも似合うかもな』と囁かれ、伸ばしはじめた
髪は随分と伸びてしまっている。
「ボクだって、緒方さんのことが真剣に好きでした。……でも、恋愛っていうのはお互いに
愛し合っていることが前提でしょう? 緒方さんの気持ちが判らないのに――」
 ベッドにキミの長い髪が広がるのを想像するだけで腰に来るね。
 そんな言葉でボクを甘く縛り付けた。
 ボクの行動は単純で、いくつかの選択肢があれば誰かに道を決めてもらう方が楽だった。
服装にしろ、髪型にしろ、食べ物にしろ、どうでもいいことだったからだ。囲碁以外の面倒
事に囚われていたくないというのが本心だった。
 ボクが判断を委ねる相手は大抵緒方さんで、ボクは流されるままに彼の意に染まろうとした。
 そういう日常の中で彼の判断を仰がなかったのが進路と進藤とのことだったのだ。
「遊ばれているって判っているのに、あなたと恋愛しているとは思えませんでした」
 高校に行かないことを決めたボクに彼が何も言わなかったのは、ボクの進路が彼の想像通
りだったのか、それともどうでもよかっただけなのかは知らない。
 しかし、進藤とのことは彼の予想外の出来事だったのだろう。
 だから彼はこんなにも熱くなったのだ。


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