したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

344断点・5 </b><font color=#FF0000>(b71tdwpI)</font><b>:2004/06/15(火) 00:27
塔矢の手から力が抜けて、オレの腕がぱたんと落ちる。
けど、塔矢はもうそんな事、気にしてもいないみたいだった。
ふらり、とよろけるように、塔矢がオレから離れる。
オレを見ないまま、オレに背を向けて、ふらふらと覚束ない足取りで歩き始めた塔矢が、よろけて躓いて
カベにぶつかる。
あっ、と思ったけど、オレは何もできなくて、ただ、そんな塔矢を見てるだけだった。
そうしてほんの少し、壁にもたれかかってた塔矢は、きっとゆっくりと息を吐いて、深呼吸をして、それから、
いつものように真っ直ぐ背中を伸ばして、また、歩き始めた。

塔矢の背中がだんだん遠くなる。
遠くなって、そうしてゆっくりと塔矢は碁会所から出て行った。
エレベーターがチン、と、到着を知らせ、ドアの開く音がして、それからまた閉まる音がする。
オレは動く事もできずに、塔矢が去っていく音だけを聞いていた。

今度こそ、もうお終いだ。終わりなんだ。
オレはもう塔矢を引き止めることなんかできない。
だってオレは佐為じゃない。
だって佐為はもういない。
塔矢が、ずっと追ってた、ずっと打ちたがってた佐為はいない。
もうどこにもいない。
そのことを、とうとう、塔矢は知ってしまった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板