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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

305裏失楽園:2004/03/16(火) 21:09
 愛人という単語を辞書で引くと、『愛している相手。特別に深い関係にある異性。情婦。情夫。
情人。』と出てくるだろう。食べ物の成分表示と同じで、先にある意味のほうが重要なんだ。
 ――緒方さんは、そんな意味のことをボクたちに告げる。
「……キミが家を出たがっていると聞いた。オレは間抜けなことに、キミがオレの家に来ると
信じて疑ってなかったんだぜ。浮かれたオレがまず何をしたか判るか?」
 緒方さんはポケットの中の煙草のケースを手に取ると、無表情でクシャリと握りつぶした。
「もしかして――」
 進藤は緒方さんと同じくらい真剣な表情で手を挙げた。
「踊った」
「ベッドを買いに行った」
 もしかして捨て身の冗談を言ったのかもしれないが、進藤はあっさりと緒方さんに無視され
ていた。可哀想な進藤は、滑ってしまった冗談を気まずく思ったのか、またころりと寝転がる。
 寝転がった進藤や、彼の冗談をまるで無視した緒方さんは、片頬を歪ませて自嘲気味に笑う。
「オレが他人と使ったベッドを使うのは嫌だろうと思ったし、オレもキミとの新しい生活を新
たな気持ちで迎えようと――ベッドだけじゃない、一緒に使う殆どを買い換えたつもりだ」
 だから、なのか。
 見たことのない家具、嗅いだことのない空気。
 知らない部屋に入ったような違和感があったのは、かつてのボクの気配を消すためではなく、
ボクとの新しい生活のため――だからだというのか。


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