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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

290裏失楽園:2004/02/29(日) 21:11
 成長のない人生などあり得ないはずだ。
 実際、ボクはあの頃よりも着実に成長していると思う。
 だからボクは、緒方さんの薄い色の瞳を見つめながら、もう逃げてはならないのだと決心する。
 そして、このようなときに持ち合わすプライドなど不要なものに他ならないのだと――そう、
何度も自分自身に言い聞かせた。
「ボクの好きなジュース、ボクのために用意してくれていたんですか。いつも」
「……別に、あれを好んで飲むのはキミだけじゃない。女だって大好きだしな」
「嘘だ」
 灰皿の上に入れられたパッケージは、そのジュースが未開封であったことを示している。
 一瞬まなざしを絡みつかせた後、視線を逸らしたのは緒方さんの方だった。
「嘘だと決め付けるのか? …随分と自信家だなオマエは」
 ボク自身の成長と彼の本心を証明するためのものなら、嘘でも、虚勢でもいいのだ。
 口にしていると、今は嘘でもいつかそれが真実になるかもしれないじゃないか。
「自信家ですよ。知らなかったんですか?」
 煙草を手で弄ぶ彼の言葉には嘲笑が混ざっていたが、ボクはそんな緒方さんを逆に可哀想だと
思った。
 ボクを貶めなければ、彼自身が捨てきれないでいるプライドを維持できないのだろう。
 常にボクよりも上位でありたい彼は、自分の存在を守るために平気でボクを傷つけ、貶めるのだ。
 そうすることしかできないのは緒方さんの弱さで、どうしようもない愚かなところだと思う。
 でもボクは、そんな緒方さんでも、何度傷つけられても嫌いにはなれなかった。


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