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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

280黒い扉 </b><font color=#FF0000>(G800glzo)</font><b>:2003/12/21(日) 21:32
(10)
食欲が減退するというそれ以前に、
そのリアル過ぎる形状と春画めいた非現実的なまでの巨大さに圧倒されてしまい、
アキラは一歩後ろに退いた。
トンと肩にぶつかったのは乃木九段――かつて名人位三連覇を果たしたほどの人物であり、
最近ではタイトルまで手が届いてはいないものの、アキラが尊敬する棋士の一人である。
「乃木先生・・・すみません」
「なに、構わんよ。ささ、早く食べてみたまえ」
「え」
「男にとっては嬉しい食べ物だよ。体がぽかぽか温まって、食べた晩から効果が出る。
私など、ここに来るたび土産に買って帰るくらいだ」
「で、でも」
「うん?」
乃木の手がさりげなくアキラの両肩に添えられる。
それにも気づかないくらいアキラは皿の上の物体に釘付けとなっていた。
人体の一部に似せて作られた食物のグロテスクさに怖じたということもある。
だがそれ以上に、それと似た形状のモノに対して普段自分がどのような行為をしているか、
もっと言えば、昨晩ちょうど自分の目の前に与えられた兄弟子のそれに対して
自分がどのように振舞ったか――
その記憶がありありと甦って、もしこの物体を口に含んだら
自分のあられもない日常を周囲に透かし見られてしまうような気がして、
今アキラは固まっていた。

そんなアキラの様子に首を捻った白川が、片手の指でそれを重そうにつまみ上げ、
ニコニコしながら「塔矢君、アーンして」と近づけて来た。
「・・・ゃっ!」
顔を背けた拍子に思わず声が洩れた。
近づけられたモノの先端が頬を掠めて、表面に濡れた感触を残す。
はっとして相手を見ると、白川は少しショックを受けたような顔をしていた。


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