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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

276黒い扉 </b><font color=#FF0000>(G800glzo)</font><b>:2003/12/19(金) 20:52
(7)
――座間王座。
アキラが入段した時の新初段シリーズ以来、何かと絡んでくる。
かつてアキラの父行洋が奪った王座のタイトルは、今は再び彼の元に戻っていたが、
アキラへの風当たりが弱まることはない。
いちいち気にしてはいなかったが、面と向かって敵意をぶつけられると
やはりいい気分はしなかった。
「座間先生、喧嘩は無しでお願いしますよ。ここは楽しむための集まりです」
芹澤が静かに言うと、座間は「けっ。分かってるって」と吐き捨て
席を探しに行ってしまった。
その遣り取りを眺めていた白川が驚いた顔をした。
「塔矢君、座間先生と仲悪いの?」
「いえ・・・」
曖昧に笑って誤魔化していると、岩崎七段が肩を竦めた。
「気にすることないさ、プロって言ったって結構子供な人が多いから。
座間先生も、普段は気さくで可憐な人なんだけどね」
気さくで――可憐?
意外な形容にどう反応してよいか困っていると、
畑中名人が切れ長の目を細めてクスリと笑った。
「塔矢君はまだ、同門の棋士以外じゃそれほど親しいプロはいないだろう?
ここに通うようになれば、外から見えないプロの素顔も自然と分かってくるよ。
緒方先生には早く塔矢君を連れて来てくださいよって、オレたちずっとリクエスト
してたんだよね。やっと会えて嬉しいよ。・・・今日はよろしく」
畑中はアキラの手を包み込んだままだった白川の手を引き剥がして、強く握った。
後から到着したプロたちにも、次々と笑顔で握手を求められる。
芹澤はカウンターの上に長い指を揃えて置き、穏やかに微笑しながらその様子を見ている。
――もうとても、帰りたいなどと言い出せる雰囲気ではなくなってしまった。
だが並み居る実力者たちとの歓談という要素があまりに魅力的で、
帰れなくなってしまったことに安堵している自分がいた。
それでも少しは気がとがめて、ちらりと緒方を見ると、
緒方は向こうを向いて座ったまま、スープに手も付けずに肩を落としていた。


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