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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

274黒い扉 </b><font color=#FF0000>(G800glzo)</font><b>:2003/12/19(金) 20:51
(5)
「芹澤先生」
「このスープは中々美味いだろう?私は冬はこれが楽しみでね」
言いながら芹澤は緒方の前に置かれてあった手付かずのスープカップを
事もなげに取り上げ、舌を出して中の赤い液体をゆっくりと一舐めした。
「まだ熱いな」
呟いて、熱に触れた舌を冷やすようにそっとカップの表面に押し当てる。
「・・・・・・」
何となく驚いて、だがきっと緒方が手を付けずにいたスープを
自分が代わって飲むつもりなのだろうとアキラは思った。
だが芹澤は長い指で静かにカップを緒方の前に置き、手を挙げて店員に合図した。
「私にも頼む。スパイスを多めに」
そのまま芹澤は緒方と反対側の、アキラの隣の席に腰を下ろしてきた。
「ここはカクテルも料理も美味い。・・・キミもきっと気に入るだろう」
「あ、はい。そのことなんですが・・・緒方さん」
アキラは緒方のほうを振り返った。
芹澤の好意はありがたいが、緒方が帰りたがるなら帰ってもよいと今では思っていた。
この店にはどこかおかしな雰囲気がある。
もしかしたらここで、緒方は毎週、自分に言えないような楽しみを
持っているのかもしれない。
だが先刻緒方は、自分を好きだと言った。
愛していると言ってくれたのだ。
言葉一つで満たされてしまうとは我ながら単純だと思うが、それでも緒方が望むなら、
自分ももう些細な事を詮索するのはやめて一緒に帰ってもよいと思ったのだ。


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