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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

270月の船(12)  </b><font color=#FF0000>(.QypifAg)</font><b>:2003/12/09(火) 00:31
徐々に寒風が強くなり近辺の木の枝を揺らし、カサカサと枝が擦り合う乾いた音が
辺りに鳴り響く。
身の切れるような冬の冷気に加え、寂しげな木々の音が余計に実際体感
している以上の寒さを尼僧に連想させ、体を萎縮させた。
それと同時に耳に届く音が、生まれ育った土地で常に聞いていた波音に
一瞬似ているように感じて目頭が熱くなり、俗世の幸せを捨てた女の瞳が
潤む。
遥か昔を懐かしむように尼僧は目を瞑り、涙が一筋こぼれ落ちた。
尼僧は黒袈裟で慌てて涙を拭い、視線を都の灯に再び移す。
「蘇芳の遺児は、健やかに育っているのでしょうか・・・・・・・」

複雑な眼差しで都の灯を見つめながら、ぽつりと尼僧は呟いた。




激しい寒波は都にも襲い、一人屋敷で書物に目を通している明の身へと
冷気が降りかかる。
明は思わず凍りつくような寒さに身震いし、肩から掛けている衣を掴み、
胸元に引き寄せた。
「今日はもうこれくらいにしようか・・・・・・」
明は火桶にしばらく手をかざし、少し温まると火を消して寝具に
横たわった。

「勤めも落ち着いたし、久しぶりに近衛に会えるかな」
小さく欠伸をすると明はすぐ寝息をたて始めた。


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