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プチ住民(゚ε゚)キニシナイ!!

248月の船(6) </b><font color=#FF0000>(.QypifAg)</font><b>:2003/11/03(月) 20:47
翌朝、明は師匠の館を訪ねるため、いつもより念入りに火取りに香を
たきこめ、卯花色の衣冠をその上に掛けた。
頃合いをみて火取りから衣冠を取り、それを纏って館を後にした。

明の師匠──賀茂定信は、初老の男で髪には白髪が混じっている。
雰囲気こそ柔らかいが、二つの目は人の心を見通すような厳しさを秘めて
いる。己が得た陰陽道秘奥の全てを明に託し、今は隠居をしている。
だが、類まれな知識・数々の経験を有しており、明の相談役を担っても
いた。

「お師匠様、賀茂明ただいま参上いたしました」
深々と頭を下げ、明は師に挨拶をする。
「うむ、よいよい。
・・・・・・はて、お主どことなく前より細くなってないかや?
食事を取っておるのか。自分の心身を常日頃、鍛えるのも陰陽師には
欠かせぬこと。それを心しておるのか?」
口調は淡々して静かだが、その響きにはどことなく鋭さが含んでいる。
それを肌で感じ、明は背中に汗がじんわり掻くのが分かった。
「すみませなんだ、お師匠様」
さらに頭を下げ、床につくのを定信は見届けると、クククと含み笑いを
した。
その笑い声が耳に入り、恐る恐る顔を上げる明に、定信はさも可笑しそう
に扇で顔を隠しながら笑みを浮かべている。


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